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悪魔令嬢  作者: 滝革患
24/27

ヤミュエールend

私は神に創られ、初めから、容姿、声、思考がほとんど等しく。

まるでカミュレットそのものであるかのように、周囲から求められるのは神の言葉を聞き、助言することで神の代弁者となる立場であった。


何より規律、感情、悪を廃すこと。

誰よりも、理性や聡明さ、善を持つこと。


しかし、私には堕落した悪魔の持つ妄愛だけでなく、天使の持つ慈愛すら欠落していた。




『久しいな、天使長ヤミュエール』

『ラクエル…いや、魔王・マーグス』

『道中悪魔の少女に見られていた』

ビスティエ=コンビフス、彼女を最初に見かけたのはいつのことだろう。

上位天使であったマクエルが、魔王となり堕落した作った場所の少女。


人間界からサンプルを集め、まるで創造神のように造り上げた世界。


なぜ私は創られ、彼女がいたのか、それはわからない。


しかし、かつて人間界へ降りた時に、彼女と似た少女がいた。


たった一度見ただけなのに、懐かしい気がしたのは何故だろう。


最後に姿を視たカミュレットは私に、人や悪魔の愛を見届けることを任せた。


私には神の云う愛が欠落していた。

助けること、長として天使を纏めることは愛ではない。

愛は堕落したものである。

それは天使であっても抱く概念。

しかし、私には無かった。

なぜ神は失敗作である私を存在させるのか、愛を知らない私に見届けることなどできない。


『ヤミュエール、何か良いことでも?』

『魔界で悪魔の少女が…』

彼女が見ていたのは、私が魔界に居ない天使だから。

自分でもわかっているはずだ。

いぶかしむ部下に、何でもないと言い、詞を飲み込んだ。

――――

ビスティエ=コンビフスは走り去ってしまった。一体どうしたのだろう。

天使長の様子もなにやら変だ。

この女ただの下等悪魔相手、そう思っていたが、どうやら違うらしい。


「…天使長ヤミュエール」

妙に気になって、訪ねてみることにした。


「何か?」

「コンビフス家といえば魔界の貴族では?」

「…それがどうかしたのか?」

珍しい。天使長がこんなに負に近い感情を表に出すなんて。


「いえ、貴方が魔界の情勢を知っていることは

なんら不思議ではありません」

「そうか…」

「しかし、彼女がただの下等悪魔でないことを何故知っていらしたのです?」

「…君には関係ない」

天使長は踵を返した。

―――

「ビスティエ=コンビフス」

「ヤミュエル!?」

また魔界に訪ねてくるなんて、一体なんの用かしら。


「私は恐らく、貴女を意識しています」

「意識!?」

ヤミュエルが私を意識――――?


いつのまにか眠りについて、見ている夢ではないのか。

現実なのか、確める術はない。


一先ず自室で寝よう。

夢から覚めればこれは間違いなく本当だにヤミュエルだ。


「ちょっと一回睡眠を摂ってくるから

起きるまでそこ…じゃなくて客間に居てくれる?」

ヤミュエルを貴賓室のソファに座らせる。


私は眠りについた。


「おはよう」

「おはようございます」

「夢じゃなかった…」

貴賓室のドアを開くと、ちゃんとヤミュエルはそこにいた。


「ちょっと待って、ヤミュエルが私を意識だとか、いつ好きになったのか解らないんだけど」

流されるところだった。

ヤミュエルは天使、嘘や偽り、騙しや詐欺ではないと、彼の立場からでは解っている。


しかし、私自身ヤミュエルをただ遠くから見ていただけで、どうしていきなり意識なんて――――。


「…意識はしていますが、おそらく愛ではないです」

「ああそう…」

ちょっと先走り過ぎた。


「自分自身、何がしたいのか、判断できません」

「…私だって」

悶々と悩む前に、初心者用の恋愛マニュアル本を読んでみる。


「まずは…手でも繋ぎますか?」

「どこで!?」

私達が手を繋ぐ光景を見たら天界も魔界も滅茶苦茶になる。

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