ネシスend
「もうわかったわよ、魔王様の妃になる(たぶん)だから、ここから出して」
(どうせ、これを言わせたかったんでしょうよ)
「無理だ」
「…なんで?」
「さあな」
(こいつまさか、本気でここを出る方法を知らないわけじゃないわよね。
しらばっくれているだけなのよね)
なんだか変な煙が、むくむくと隙間に入り込んできた。
何者かが崩れた岩の向こうから焚いているのだろう。
「なんだこの匂い…」
ネシスは地に膝をついた。
「これ、毒煙なの!?」
しかし、意図してネシスだけを狙ったのか、私には効果がないようだ。
「‘異界の女大魔王アンラー’‘彼の者へ絶対なる障壁を’」
ネシスの体全体に煙が近づかないようにバリアを張った。
「助かった、礼を言おう」
「別に、礼を言われるまでもないわ」
助けたのは、見捨てて消えられるるのは目覚めが悪いというか、ネシスを助ければ恩を売れるかもしれないと思ったから…公爵家の奴だし。
「とにかく、ここから出ないと…大魔王の魔法なんてさすがの私でも長くは持たないわ」
「この岩を如何にして始末するか…」
壊す他にどうすれば岩を消せるのか、洞窟を揺らさず岩だけ。
「槍で地道に粉にするか」
ネシスはどこからか、とりだしたランスの先で岩をカリカリと削りはじめた。
さすがに時間がかかる。
悪魔は気が長いが、こんなところは落ち着かない。
方法を考えていると、なにやら上から水滴が落ちてきた。
「そうだ…溶かせばいいんだわ!」
岩をドロドロの液状に溶かして、ようやく抜け出せた。
というわけで、ネシスから逃げるのを再開する。
丁度よさそうなボロ小屋をみつけた。
「ここなら見つからないわよね」
「それはどうだろうな?」
なんということだ。背後にネシスがいる。
「お前がどんなに逃げようと、また密室を作るまでだ」
私はどうやらネシスから逃げられないらしい―――。




