ロレウスend
悪魔は病気にならないし、怪我は魔法で治せる。
だから魔界に医者はいない。
昔はいたようだが、すぐに潰れたのだ。
「そうだ天界に…」
天使も病にはかからないのだから、医者などいるわけがない。
どうすればいいのだろう。
「邪女神ナフタルよ彼の者の傷を癒せ!!」
病気に効くのかわからないが、蘇生魔法をかけた。
「…ビスティエ」
ロレウスが意識を朦朧させながら手を伸ばしてくる。
私はその手を取って、誰ともわからない存在に願った。
でも、熱は下がらない。
ロレウスの私物から本を取りだし、人間の医療について読んだ。
本の通りにロレウスの額を冷やして、部屋を暖かくする。
「ロレウス!?」
彼は冷たくなって、動かない。
昨日までなんともなかとたのに、人間というのは、こうもすぐに死んでしまうんだ。
私の目から溢れた涙がつたって、ロレウスの頬に落ちた。
「なによ…」
彼の体に黒のオーラが取り込まれていく。
「ビスティエ、俺は死んだのか?」
ロレウスの背から、悪魔と同じ黒い翼が生えている。
「人間が悪魔になるなんて…そんなことより体はどうなの!?」
「熱、いや…体温がない」
ロレウスが私の頬に触れて、体温を調べた。
「…もう!」
私はロレウスに飛び込んだ。
「どうした…病み上がり相手に、はしたないレディだな」
嬉しいのにわけがわからない。
ロレウスともう会えなくなるかと思った。
だけど彼はここにいる。
「もしかしたら蘇生魔法で悪魔になったのかもしれないわ…」
「気にするな」
ロレウスは人の頃から何事にも冷静であった。
だから人でなくなっても動揺すらしないのだろう。
けれども少しくらい取り乱す姿を見たい。
「でも人間として寿命まで生きて、年を取れないのよ、生まれ変われなくなったのよ…!?」
「お前も悪魔なんだからそうだろう」
「私は生まれたときからそうだけど、あんたは違うでしょう!」
人間からいきなり体が変化して、なんで平気なの。
逆にこっちが心配になる。
「それに人間界で大事な人とか、いたでしょ?」
「構わない、お前がいれば幸せだ」
色恋沙汰に興味無さそうなロレウスに、今ものすごくナチュラルに口説かれた気がする。
「ロレウス…どうしちゃったの
まだ病気が治っていない?」
「俺には大事な家族なんていない、元より魔界に骨を埋めに来たようなものだ」
「一人でカンケツしないでよ」
「…ビスティエ、迷惑だろうが聞いてほしい」
「なにを?」
ロレウスは照れ臭そうに、咳払いをした。
「ここに来たときから、俺はお前に惹かれていた人間だから相手にされないと、諦めてきたが…」
「え…え…?」
「今は対等になれた。他に好きな男がいたとしても、愛している」
ロレウスが返事をじっと待つ。
「これは恋なのかわからないけど、今はロレウスのことしか考えられないわ」
私も、ロレウスが好き。




