表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔令嬢  作者: 滝革患
15/27

アルセルルート

天界に来たのいいが、またフィッシエルと遭遇したくない。

暫くは下層で様子を見ることにした。


「久しぶり、ヤミュエルには会えた?」

彼等の住む場を訪ねると、丁度アルセルが出て来たところで、にこやかに私を出迎えてくれた。


天使は普通は悪魔を追い出すべき立場なのに、それすらも慈悲というものなのだろうか。

堕天使にされたから吹っ切れているんだと思うけど。


「会えたけどフリだしに戻った…!!」

私は脱力し、テーブルに腕と顎をつける。

「おお、すごい落ち込みようだ」

アルセルが慰めるように私の頭を撫ぜる。

堕天使と言っても天使と変わらない潔白な翼の男に…。

欲を言うならヤミュエルがよかった。


でもこれはこれで悪くない。


「フリだしどころか彼への道を外れたわ」

「へえ」

「あんなロマンのない出会い方

するくらいなら会わないほうがよかったかも」

「でも、君はずっとアイツに会いたかったんだろ?」

アルセルの言うとおり、ヤミュエルの姿を間近で見られたのはよかった。


「ヤミュエルに会えたときは…出会い方なんて気にしなかったわ」

「会えただけで嬉しかったんだ?」

「うん」

ただ純粋に、それだけで幸せな気分だった。


「なら、これからもヤミュエルとの距離を縮める為に頑張れるんじゃない?」

「縮めてどうするの、相手は悪魔の敵の天使だし…その長なのよ」

私が良くても周りが許してはくれない。


「だって君はあいつが好きなんだろう?

それなら長だとか、敵だとか抜きにして立ち向かえばいいんじゃない?」

「アルセル、妙に応援してくれるのね」

「そうかな?」

まるでそういうかなわない恋の経験があるかのようだ。



簡素な白木製の椅子に座って話していると、したっぱの堕天使が腰を低くして、近づいてきた。


「アルセル様、夕食をご用意して参りますが、ご希望はありますか?」

「ああ、君も食べる?」

「いいわ」

さすがに天界の食物は抵抗がある。

逆に向こうも魔界の物は食べないはずだ。


「アルセル様、お食事のご仕度が整いました」

ずいぶんと準備が早いわね。


「…アルセルは堕天使のリーダーなの?」

堕天使たちは、異様にアルセルにへこへこしている。


「うん、一応」

「見た目は若いのに」

普通はこういう所を纏めるのは老いた長老ってヤツではないのか。


「オレが普通に天使だった時はそこそこ偉くて、いまここにいるのはその頃からの部下なんだよ」

「へえー」

まあ見た目だけならそう見える。


「たまに思うんだ

オレはなんのために天使になったのか、って」

アルセルはまるで、天使でないときがあったかのような話し方をする。

天使も悪魔も、存在したときからソレではないのか、少なくとも私は初めから悪魔の娘であった。


天使にも悪魔にも存在からの終わりはない。

例外で、天使や悪魔が力を使って悪魔を消すことはできても、人間でいう老いからの消滅は、悪魔にはないのだ。


そして、理由はわからないが悪魔より権限の強い天使は、悪魔より消滅のリスクが少ない。

むしろ皆無、といったほうが正しい。


堕天使は天使よりも未知である。

悪魔からすれば天使と変わらない。

羽の色が白から灰に変化しただけに見える。

それなのに、なぜ分ける必要があるのか、不思議だ。


「天使と堕天使ってどう違うの?」

目の前にいるのだから当人に聞けばいい。


「…神の不興を買った者と、そうでないものだよ」

「ああ、たしか新しい神がどうとか聞いたわ」


「君にとっては最近だろうけど、新らたな神によって天界内が荒れたのは大体1000年ちょっと前だよ」

そんなに前のことが、私にとって数日しか経過していないことなんて、信じられない。


「天界と魔界で過ぎる速度は違うみたいだけど…どれくらい?」

「長ければ長いほど利息みたいな感じに差が出るような仕組みだよ」

「利息って何」

聞きなれない単語だ。


「人間の世界にある銀行という機関で金を借りた場合、返す金が年数で増えること」

「金?人間の世界は面倒そうね」

そもそも金とやらは何に使うものかわからない。


「そうだね。ありがたいことに、天界も魔界も金は存在しない。

だからわかるのは人間界を見たことのある奴くらいだろうね」

アルセルは人間界へ行ったことがあるのか。

人間とはどういうものか、すこし興味がわいてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ