破壊具
二話目です
不定期投稿ですみません
いい感じになってるでしょうか
足を踏み出すたび、コツコツと石畳がこ気味よい音をたてる
俺は今、破生界に来て一番最初にあった少女……メモリに、始まりの街『ブレイフット』の案内をされていた
なんとなく中世を感じさせる街並みで、そこそこ好き
ブレイフットは、この街の中央に建てられた城『闘技城』を中心とし、放射状に建物が建てられているそうだ
今歩いている道は商店街のようで道幅も広く、両サイドに沢山の店が軒を連ねている。八百屋に服屋、アクセサリーや、雑貨店などなど
あ、魚屋もある。ここ海あるのか……ん?あぁ…淡水魚か、
こんなに店が沢山あると、働いている、買い物をしているなど、それなりに人も多く、みんな忙しそうに動きまわっていた
「なんか……凄いな」
「でしょぉ」
俺の素直な感嘆に、メモリは自慢げに口角を上げる
ちなみにこのブレイフット、破生界の中では二番目の大きさを誇っておりこういう都市のなかでも『要塞都市』と呼ばれるほどの大きさなのだ。ってメモリが自慢げに言ってた
なるほど、どうりで人が多いわけだ
ってか、なんで自慢げ?
っと、メモリの方を不意にみてしまった
ここで素朴な疑問が頭に浮かぶ
あらためて見ると、やはり忍者もしくは女戦士のような格好だ。それに露出も多い
なぜ案内役のメモリがこんな格好をしないといけないのか
「それはね、私がここの案内役兼、『破壊具』鑑定士だからだよ」
『破壊具』 それは、この世界で一番重要な物と言っても過言じゃない物。まず破生界から招待を受けてやって来た者を『破壊者』、創造神ウロボロス(人名)によって造られた原住民を『分身』と言い、人はこの2種族に分かれる
破生界を造ったのもウロボロス(龍じゃないよ)である
破壊具は、ブレイカー達が使う道具と言う意味でそうよばれる。そして破壊具はここに来る段階でウロボロスからそれぞれの人に合ったものが付与される
名前から武器防具ばかりだと思われるが、そんなことはない
あくまで、道具である
そして、ブレイカー達は破壊具を使って働き、戦い、生計を立てて生活している
以上、メモリの受け売り情報のコーナーでした。
「へぇ、メモリは鑑定士もしてんのか」
「えへへぇ、そうだよぉ」
「ん?でもそれじゃあ……」
「理由がかみ合わない?」
そのとうりだ、たとえ破壊具の鑑定士だとしてもこんな装備は必要ない
「すぐにわかるよ」
なんか、意味深な言い方
するとメモリは店と店の間にあった狭い道へ。抜けると洗濯物を干している家が多数あり、生活感あふれる光景が広がっていた
メモリはその住宅地を横切り、また狭い道へ
そして何度目かの狭い道を抜けようとした時
「はい、ストップ……あれ見て」
っと、メモリが住宅地の先を指さす
「ちょっ!やめろ!」
「うっせ!ガキが、黙ってそれよこせ!」
「おいおい、兄貴ぃ こいつガキにしては、良い体してるぜぇ 金取ったら俺にくれよぉ」
「うっせぇ!てめぇも黙ってろ」
そこでは女の子が、今まさにかつあげ&性犯罪が起きようとしていた
て言うか口悪いなあの子 っていやいやそこじゃなくて
「おい!あれまずいんじゃ」
「大丈夫だから、落ち着いて…ちゃんと見てて」
いや、そんな冷静に……まぁ見てるけど……本当に大丈夫か?
「あの男2人はブレイカー、そして女の子もブレイカーだよ」
でも、2対1に変わりは無い
うわぁ、そわそわするなぁ……
兄貴と呼ばれていた男が女の子の胸ぐらを掴み上げ、揺する
「さっさとよこせ!」
「誰がてめえ、なんかに!」
「うっほぅ!揺れてる揺れてる」
なんだあの変態
まずい、このままじゃあの子が変態の毒牙に!
もう我慢しきれず踏み出そうとしたとき
「いいかげんにしろ」
女の子の雰囲気が変わった、表情は笑っているようにも見える
次の瞬間には、胸ぐらを掴んでいた両腕の肘から先が綺麗に切断されていた。そして女の子の両手には赤と青の短剣が握られている
唖然とした……目のまえで起きた光景が信じられなかった
「ぐぁぁぁぁ!な、なんだ!?」
「あ、兄貴ぃ!」
兄貴の男の方はなにが起きたのか分かっていないようだ
俺もあの子がどう剣を振り、どうやって腕を切り飛ばしたのか見えなかった。とにかく速かったのだ
そして女の子は冷酷な笑みを浮かべ男2人に近づいていく
「だからいいかげんにしろって言ったろ……どうする?」
兄貴の男に顔を近づけ
「ここで死ぬ?それともお金を置いて逃げる?」
男2人は腰に付けていた麻袋を投げ出してそそくさと逃げてしまった
あれ?腕は?
「あれが破壊具、そしてブレイカーの力だよ、すごいでしょ」
「ああ、はっきり言ってすさまじかった、あの技といい、女の子の変わり身といい、ブレイカー達はみんなあんなのばっかりなのか?」
「ううん、今のは極端な例だよ、あの女の子は逆かつあげをするためにああやってからまれてた」
なるほど、そういうのもありなのか
メモリはまずからまれないために武装をしていたと言えるだろう
でも、
「それだけじゃないだろう、メモリが武装してる理由」
「するどいねぇ、たしかに理由はまだあるよ とりあえず歩きながらはなそうか」
そう言ってメモリはもと来た道を戻りはじめた
それくらいならすぐ分かる、メモリの実力ならあんなちんぴらなんて武装なしでも追いはらえるだろう
それよりも大きな理由は、この街の外
「この街に来る途中ずっと……あの森にはいったいなにがいるんだ?」
俺はこの街に案内される間、ずっと森からの気持ち悪い異様な視線を感じていた
だか、どの視線もとどまっており襲ってくることは無かった
それはなぜか………きっとメモリのおかげだ、メモリには勝てないと本能的に判断し、そのまま観察していたのだろう
「あの森は『モンスターフォレスト』って言って、街の周囲2キロくらいをおおってる、その中には凶暴なのもいてねぇ、主にそいつらを近寄らせないための装備なんだよ まぁ、街の中で着てるのはただの趣味なんだけどね」
街の中より外の方が危ないってことか、メモリがいなかったらさっそく俺死んでただろうなぁ………ありがたやぁ
疑問も解決したし、あぁスッキリ
そこでメモリからも質問が、
「でも、よくそんなとこ気づいて聞いてきたよねぇ 普通は気づかないか気づいてもスルーするでしょ」
「武器とか防具とか、そういうのが好きなんだよ、気になったらそりゃ聞くさ」
そんな話をしている間に商店街のすぐ裏まで戻ってきていた
するとメモリは商店街には戻らず道の先を指して
「この先に私の店があるんだ、招待するからついてきて」
「お、鑑定屋だな 俺の破壊具がどんなのか楽しみだぜ」
「ここが、私の店だよ」
「ほおぉ」
いや、ほおぉってなんだよ どういう感想表現だよ
さっき居た場所から道なりに歩いて数分、メモリが経営しているという鑑定屋に着いた
店の看板には『メモリ鑑定事務所』と書いてある
どこぞの探偵を思い出すフレーズだな
2階建てになっていて1階で鑑定、2階で生活といった感じだろう、石と木材で建てられ、石の冷たさと木の暖かみがマッチしている
始まりの街と言うだけあって新人ブレイカーも多く、だいたい毎日お客が来るそうだ
毎日お客が来てるのに俺の案内なんかをしていていいんだろうか
でもメモリもそこはちゃんと調節してるんだろう、本人が親切でやってるんだからそこを突くのは失礼ってもんだ
しかも、臨時休業ってちゃんと書いてある
ちゃっかりしてんな、休業期間は………未定?!まじかよ…
「店ばっかり見てないで、ほら、入って入って」
と、メモリに促され中に入る
中は、手前に七畳程のフロアーその奥にカウンターがあり、なんとなくバーを思わせる内装になっていた
そしてメモリはカウンターの後ろにまわって
「じゃあさっそく鑑定しようか、さて……奨真君の破壊具のランクはいかほどかな」
破壊具は保有する能力値によってランク付けされる
低い順にD、C、B、A、そして最高がSだ
ちなみにランクというのは、まあレア度のようなもので、本人が強くなければ結局は宝の持ち腐れ、なんてことにもなる
破壊具のランクは上げることができる、持ち主のブレイカーしだいではDからSになることも不可能ではない、つまりブレイカーと一緒に破壊具も強くなっていくということだ
破壊具に真名とは別に名前をつける人も多い、ブレイカーにとって破壊具は大切なパートナーなのである
「それじゃあまず破壊具を出そうか、これ付けて」
っと、メモリが差し出したのはピンク色の『魔法陣』だった
破生界では魔力の概念があり、その魔力を術式とともに封じ込んでいるのが魔法陣
種類はとてつもなく多く、それでもって機能もなかなかおもしろい、魔法陣には実体があり、持ったり、貼ったり、投げたり、浮かせたり、他にもいろいろ出来る
魔法陣に込めた魔力が切れても、実体があるので無くなることは基本的にない、だから回収もできるし、魔力を込め直すことも出来る
ちなみに魔力は自分で、熱やら光やら風やらに変えることもできるが、すこし高度な技術が必要で、しかも攻撃に使うような威力は出ない
だから魔法陣が役立つのだ、魔法陣を通せば込めた術式に合わせて魔力がダイレクトに変換され、何倍もの威力を発揮することが出来る、魔法陣と破壊具を組み合わせて戦うのが上手な戦い方といえるだろう
以上……メモリの説明、
「このピンクの魔法陣は召喚陣って言って、破壊具を簡単に召喚するために作ったんだあ」
うん、自慢げだ
「魔力の流れを見た感じ……ここがいいかな」
っと、メモリは俺の右肩に召喚陣を貼る
「これで…どうするんだ?」
「まずは魔力の流れをイメージするの、体を流れる血みたいな感じで」
血……かぁ、まぁやってみよう!血の流れとかケガしたときくらいしか感じないけどな!
心臓をでて肺へ、そして太い血管から毛細血管に……体のすみずみまで………………
ん?体を何か流れてるような、この感じは……
「お、気づいたみたいだね こんどはその流れを右腕に集めるように」
右腕に集めるように……
体全体を流れる感覚を右腕に集中、よぉし……だんだん流れの印象が強くなってきた
「OK,OK だんだん集まってきてるよ、奨真君筋が良いねぇ」
すると右肩に付けた召喚陣が光出す、だんだん強まっていき、光が右腕を包み込むように広がっていった、そして完全に右腕を光が包み込んだとき、ひときわ強く輝く
光は収束していき、そのシルエットが見えてくる
光がすべて消えた、そして俺の右腕には今まで無かったものが装着されていた
「よし!全部出てきたね、ではさっそく……召喚!」
メモリはそう言い放ち左手を前へ、すると黄色く輝く粒がどこからともなく現れ、一瞬でメモリの手のひらで収束、形を作り上げた
それは虫眼鏡のようで、取っ手、その上にリングと真ん中にレンズがはまっていた
だがそれは、ただの無骨な虫眼鏡ではなく美しい装飾品のようだ
「これが私の破壊具、『観察眼鏡』シークレット・アイだよ これを使えばどんな破壊具だって能力もランクもおみとうしぃ」
召喚された破壊具は虫眼鏡の形をしており、精緻な装飾を凝らした持ち手からは芸術品のような輝きを感じた。
「うぅん、ふむふむ………え!まじ?!」
おいおい、どしたどした
メモリが目をまんまるにしてこっちを見ている
そんなに驚くなんて、何かあったのだろうか
「まぁ、とりあえず言うね……破壊具の真名は『破壊の龍腕』、ランクは………S」
「は?!これが?!」
驚きを隠せなかった、バッチリ驚いた
こんな……
色の大部分は鉄色、装飾的な黒が目立った
鱗のたぐいは一切無いく、まあ極端に言えば機械の腕のようだ
だが、四角ばかりのTHEロボという感じではなく、丸みを帯びた部分や曲線的な角があり、鈍くとも美しく光を反射させる
指の第1関節の部分は爪のように尖り、黒い宝石のよう
手の甲には紋章をかたどった様な黒い水晶、前腕の表部分には、長い楕円形の黒い水晶がうまっていて、両サイド手首付近に、短い楕円形の黒い水晶
二の腕にはこれといった装飾は無く
肩を覆っている、後方に角の突き出した鉄色の装甲が特徴的
そこそこカッコイイ形をしてるし、なによりSランクだ
俺は、ガッツポーズで喜ぶ
「よっしゃぁ!さい先良すぎ、これもうチートのレベルだろ!」
だがメモリは喜んでいなかった
「奨真君、よく聞いてね…」
っと、重苦しく話し出す
「ランクが最初からSってことは、最高レベルってことで……」
メモリは心底言うのが嫌そうな顔で
「もうランクが上がることは無くて………イコール、伸びしろがなくて……」
もう泣いてしまいそう、それでも言った
「これ以上……強くなれない」
どうでしたでしょうか、奨真君の破壊具のイメージ
ちゃんと伝わったかなぁ、
分かりにくかったかもしれません
できれば絵ものせたいな