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練習あるのみ!

現在鳴海チームは鳴海がアウトとなり外野へ。

生き残りはこむぎと彩萌。


対する小春チームは小春とゆきがアウトになり、内野はまさかの磨里亜一人。


外野が増えれば側面攻撃が可能となり有利となるのだが、いかんせんトロい磨里亜。


大丈夫なのだろうか?


ボールは磨里亜の手の中。


ちょっと助走をつけて投げた。


「突撃チャームブルー!」


たぶん技名と思われる名前を叫びながら投げた。


球速は遅めだが、普通に投げられる程度。


「おっしゃ!チャンスボール!」


こむぎが取る体制に入る。


そして普通にキャッチした。


「ちょっと磨里亜!こっちにパス回してよー」


ゆきが文句を言いながら手を振った。


そりゃ、魔球ばかりの中で普通の球を投げてもあっさり取られるに違いはないけど。


体力的に炎天下の中ひたすら魔球ばっか投げるのも酷な話。


技名つけて投げればフェイクにもなる。


そんな作戦だったんだろう。


「これで決めるよ!磨里亜お覚悟を!」


こむぎはそう言ってボールを投げた。


しかし、威勢の割には放たれたボールは弧を描くように飛び、すっぽりと磨里亜の腕に収まったのだ。


「…あれ?すっぽ抜けた?」


「もう!何やってんのよー」


こむぎが彩萌に文句を言われる。


鳴海も地面を見てがっかりしていた。


しかし、こむぎはただすっぽ抜けただけではないことになんとなく気付いていた。


(投げる直前、ボールが手から離れていく感覚が…)


しばらく右手を見ていたこむぎだった。


「突撃チャームブルー!」


やはり同じ名前を唱えながら投げた磨里亜。


球は先ほどと同じくゆっくりしたもので、特にそれ以外の特徴がない。


今度は彩萌がキャッチした。


「よし!行くよ!」


彩萌が投げた。


「え!?」という声と同時に。


やはり彩萌もすっぽ抜けたのか、こむぎが投げた時と同じようなパスのような球を投げてしまった。


「ちょっとー!二人ともどうしたの?」


鳴海が外野から叫んだ。


「どうしたー?熱中症か?休むか?」

俺もちょっと心配になって声をかけた。


「大丈夫だよおにーちゃん!そんなんじゃないから!」


なぜか返事をしたのは磨里亜だった。


なぜ磨里亜にそんなことが分かるのか。


それは答えは一つしかない。


「磨里亜…。わざとすっぽ抜けるように仕組んだわね」


彩萌がようやく分かったというように磨里亜を見た。


「えっ…え~と…なんの…こと…かしら?」


ダメだ。

あいつ嘘が下手だ…。


「やっぱり…」


これには磨里亜側の外野もビックリしていた。


磨里亜は自分で投げるのを止め、小春にパスを回した。


小春とゆきで側面から挟み撃ちする気だ。


ドッジボールだとよく見る作戦の一つ。


ただ、意思疎通が上手く行ってないと。


「ああ!もう!ゆき!」


「ごめーん」


ほら。


ゆきがこむぎを狙い過ぎて変なとこに投げた。


そしたら小春はキャッチできずにテンポよく続いていた連続攻撃が途切れてしまった。


今回はこむぎがわざと囮になったようにも見えた。


一度テンポが崩れると一気に挟み撃ち戦法も崩しやすくなる。


最初の一発目をキャッチしてしまえば…。


「鳴海!」


「はいよっ!」


彩萌がキャッチして鳴海にパスし、外野と内野で挟み撃ちにした。


「わっ!あわわ…!」


磨里亜は避けるのだけで精一杯だった。


こうなると助走が必要な魔球より普通に連続攻撃する方が強い。


あとは相手が疲れるまで猛攻を続ける。


変に狙うよりは直線的に投げ続けて、ペースを崩さないことが大切。


狙うのであれば、外野が動いて内野と外野を直線で結んだ線上に相手を持ってくればいい。


外野は動く必要があるから大変だけど、そうすれば…。


キャッチミスの可能性を最大まで減らした状態で相手を追い詰められる。



最後はあっけなく終わった。


「キャッ!」


体力的に限界がきた磨里亜が、足を滑らせて転んだ。


あとは介錯のように鳴海がポンと当てて終了。


こむぎ、彩萌の消耗も激しかったが、一番疲れたのは鳴海だろう。


かなりタフなんだろう。


それでも試合が終わったら地面にペタンと座り込んだ。


「はぁ…はぁ…。もうダメ!疲れた!」


そう叫んでいた。


「まぁ、とりあえず何か飲めよ」


何かと言っておきながら、学校の水道しか無いのは知ってた。


こむぎだけは水筒があるけど。


こむぎ以外が水道から戻って来るのを待って、見た感じのことを伝えた。


「あのな…ドッジボールは足狙うと楽だぞ。あと、外野を使ったコンビネーションアタックは相手を狙うより仲間との連携を優先するんだ」


なんか…エラく普通のことを言ってる気がする。


「おー!さすがおにーちゃん!」


磨里亜に妙に感心されてしまった。


「あとは、それぞれ持ち味を生かした魔球を開発しよう!」


正直今回は魔球勝負になる気しかしない。


あとは体力か。


走り込みとかやるか。


早朝の暑くない時間に。



持ち味を生かした魔球。


磨里亜は相手の状態をいじくる、言ってしまえば催眠系。


小春は不規則に飛ぶ球を投げるコントロール系。


鳴海はスピード重視のスピード系。


彩萌もコントロール系。


こむぎは…。

電気球投げたからな…。

…物理ダメージ系。


ゆきは…?


ゆきは魔球を投げてない!


早々にアウトになった関係で、決め技を投げてなかったんだ。


よし、ならゆきの特徴を見てから作戦を組もう。


そう思った。

ゆきまだ投げてなかった!


作者が気付かなかった衝撃の真実です。


急遽流れが変わりました。


意図しない形でゆきがキーパーソンに。

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