7
バタン
「ティアスー」
陽気そうな声をだしながら部屋に入ってきたのは悪友とも呼べる幼馴染だった。
「なんだヒューズか」
「おい、なんだとはなんだよ。せっかく幼馴染の俺様が応援にきてやったのに」
「応援?」
何を言っているんだ?という表情を浮かべながらヒューズの顔を睨む。
「婚約者作らなきゃなんだろ。お前も大変だよなぁ」
ははっ。と楽しそうな声色でティアスを見る。
「そのことか。なんで知ってるんだ?」
「カウリ様から聞いた」
「そうか」
それ以上はその話題にあまり興味ないかのように、机に視線を戻す。
「で、相手は見つかったのか?」
「はぁ。それどころじゃない。お前には俺の目の前にある書類の山が見えないのか」
「はは。王子も大変なんだなぁ」
「ったく。お前の相手をしてる暇なんてないんだ。さっさと仕事に戻れ。お前にだってやることくらいあるだろう」
シッシッ。と部屋から出ていくように手をふる。
「へいへい。わかりました。戻りますよ。俺にだってきちんと仕事がありますから」
「ああ」
ヒューズなんかに興味はないかのように感情すら込めずに返事をかえす。
国王のいた執務室とはまた別にティアスの仕事をする執務室がまたある。
ヒューズがその執務室からでようとし丁度扉に手を伸ばそうとした時、ドンと大きな爆発音のようなものが聞こえてきた。
「なんの音だ!?」
いきおいよく椅子から立ち上がり周りの様子を確認するティアス。
「中庭の方からだったぞ!!」
音のした方を冷静に判断し、主であるティアスの報告するヒューズ。
「いくぞ!ヒューズ」
そばに置いてあった剣へと手をのばし、急いで中庭へと歩を進めた。