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「ティアス様。どうでしたか?」
陛下の執務室から戻った自分の主へと聞きたかった疑問をたずねる。
「カウリか。婚約者を作ることになった」
めんどうを隠しきれない口調で結論のみをのべる。
「婚約者ですか?!」
目の前の主から発せられた予想外の言葉の目を白黒させてしまう。
「ああ。次の俺の誕生日までに婚約者を作らないと俺は、政略結婚をさせられるらしい。世継ぎの為にな」
「そうですか・・。で、あてはあるんですか?」
感情のない声で淡々と物事をのべる主に大切なことを聞く。
「あて?」
「婚約者になりそうな人ですよ」
しれっと当然ですよという調子でたずねる。
「いないな」
「いないんですか」
だろうなというような感じで答えを返した。
「女なんてめんどうなだけだからな。体だけの相手しか作ってない」
「そんなことだろうと思ってましたよ。これからどうするおつもりですか?」
「・・・考えてみるよ」
「はぁ。わかりました」
大変なことになったなぁと側近であるカウリは心の中で溜息をつくのだった。