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「ティアス様の他国とのお見合い話が上がっておりまして・・・その事の報告に参ったのです」
横になりけだるそうに書類に眺めていたティアスがその言葉に驚き体を勢いよくおこす。
「お見合い?!どういう事だ。それは!」
鋭い視線を話をもってきたアレンにむける。
「国王陛下がそろそろティアス様の婚約者を決めないと。と申しておりまして」
視線に委縮しそうになりながら聞いてきた内容にきちんと答える。
「父上が?!まったく何を考えてるんだ!
アレン!父上はどこにいる!?」
苛立ちをかくせない様子で問いかける。
「国王なら執務室におられるかと」
事実を端的にのべる。
「わかった。報告ご苦労だった アレン。助かった。
カウリ。俺は執務室に行くからここの片付けを頼む」
「かしこまりました」
臣下に後始末を言い渡し、急いで国王のいる場所へと向かった。
バダン
「父上!!」
勢いよく執務室の扉を開く。
「ティアス。執務室にはゆっくりと入ってくるものだぞ」
自分がさっきアレンに言った言葉をそっくりそのまま返され、口を閉ざしそうになる。
が、しかしひるむ様子を見せず、国王陛下へと口を開く。
「そんなことどうだっていいです。それよりお見合いとはどういうことですか!」
思いもよらなかった質問に一瞬眉をひそめる。
「なぜ知ってるんだ?・・・そうかアレンの奴かぁ」
なるほどなぁという口ぶりで飄々とした様子を見せる。
その様子に更に苛立ちを強くし声をさらに荒げてしまう。
「なぜ知ってるかなんて関係ないです。それは事実なんですか!」
「・・・はぁ。そうだよ。事実だ。お前にお見合い話はある」
めんどうだという口ぶりで事実をのべる。
「どういうつもりですか!父上!!」
国王の真意を確かめるように強い口調で問う。
「お前はもう23だろ。そろそろ婚約者でも決めてもいい年齢だろ」
「まだ23ですよ。そんなの早過ぎます」
あくまで婚約者はいらないという口ぶりに国王も呆れた声をもらす。
「はぁ〜。ティアス。お前はこのセルティア国の王子なんだぞ。王子の役目はなにも執務だけではない。大事は世継を作る事も含まれておるのだぞ。お前にはその自覚あるのか」
ギロッと最高権力者である威厳たっぷりの強気な口調をティアスへとむける。
「それは・・・わかってるつもりです。しかし・・お見合いだなんて横暴すぎます。父上だって相手は自分で見つけてたじゃないですか!」
ひるみながらも自分の意見をしっかりとのべる。
「わしはお前の年でもう婚約してたぞ」
現国王は今の王妃と夜会で知り合い、一目ぼれというおとぎ話のような状況で21歳で婚約したのだ。
「それは・・・。とにかく俺はお見合いはしませんから」
かたくなな息子の主張に陛下もしぶしぶながらおれる。
「・・・わかった。今回の件は急だったしな。ただし条件がある」
「条件?」
「次のお前の誕生日までに婚約者を作れ。もし出来なかったらおとなしくお見合いをしてもらうからな」
国王はこれでも最大限に譲歩したというような表情をうかべながら、息子であるティアスをみる。
「・・・わかりました」
しばしの沈黙の後、小さい声で了承の言葉をのべた。
「なら今回のお見合いは無しにしよう」
近くいた側近にも聞こえるように声を出していうと、話は終わったというような様子で机の上にのっている書類へと顔を戻した。
「はい。話を聞きいれていただき誠にありがとうございます」
通例の通りの礼をとると荒らしく扉をしめ、執務室から出て行った
残された執務室で国王が「まだまだ青いのう~」とほくそえんでいたとは知らずに。
国王はティアスより何倍もうわてですね(笑)国王陛下の名前はまた今度に。