4.セルティア国
「ティアス様。ティアス様!?」
バタン バタン
「まったく、どこにおられるんだ あの方は」
行方のわからない主への不満をついこぼす。
「アレン?こんなとこで何やってるんだ?」
困惑しながら立ちつくしていると、顔なじみの騎士の装いをした青年に話しかけられる。
「ヒューズ!ちょうどよかった。ティアス様見なかったか?」
「ティアス?ティアスなら中庭にいたけど」
最後に見かけた場所の名を口にする。
「中庭だな。ありがとう。じゃあな」
ヒューズの言葉を聞いて、挨拶もそこそこに中庭の方向へと慌てて走りだした。
「 ? なんなんだ あいつ」
その後ろ姿を怪訝そうに見送った。
城の中央に位置する中庭は中心に噴水が置かれ、その周りには世界各国の花が植えられておりとても美しい景観を楽しみことが出来る場所だ。
その中庭の噴水近くのベンチに腰をかけ、難しい書類と向き合ってる男が1人。
サラサラの金色に近い茶色の髪、海のように碧い眼、完璧ともよべる美しく整った顔。
見た目からは想像出来ないような鍛えぬかれた体。
彼はまさに生きた芸術ともよべるような男だった。
バタバタバタ
「ティアス様!
はぁはぁ。やっと見つけましたよ」
「うるさいぞ アレン。中庭でそのような大きな声は出すものではないぞ」
突然の来訪者に怪訝そうな目をむける。
「す、すいません。
って、そんなことよりもティアス様!!」
主の冷静な様子とは裏腹に声をあらげる。
「おや。騒がしいと思ったら、アレン殿がおられたのですね」
「カウリ様!」
ティアスの優秀な側近も顔を見せる。
「そんなに慌てて、どうかなされましたか?」
カウリの促すような口調に本題を述べる。
「じ、実は・・・」