物語の背景 登場人物 第三章までのあらすじ
第三章までの背景と登場人物、あらすじをまとめてみました。
最後に載せています『あらすじ』は、第三章までの内容を細かく書いています。
途中まで読まれている方はネタバレしていますので、ご覧にならないほうが良いと思います。
ちょっと内容を知りたいな。または面倒なので今までの内容をとばして次を読んでみようかな?と思われる方はどうぞご覧ください。
※背景の説明以外はフィクションです。
(背景についての解説)
この物語の舞台は、15世紀前半のインカ帝国……現在のペルー、ボリビアの東部に位置する地域になります。
この地域は南半球。
そこで太陽は東から昇り、北を通り、西へ落ちる。
北は赤道に近く暑い熱帯の地域。南に行くにしたがって温暖~寒冷になります。
ただ西の砂漠、中央の高原、アンデス山脈、アマゾンに続く熱帯雨林など変化に富んだ地形なので、
単純に南に行くほど寒いと言えるわけではありません。
物語の中心であるクスコは、アンデス山脈の山間に位置する温暖な気候の盆地に築かれた都です。
季節は大雑把に分けて
11月頃から4月頃の雨季・・暑くて雨の多い季節・・夏
5月頃から10月頃の乾季・・寒くて乾燥した季節・・冬
になります。
日本の逆ということです。
(登場人物)
●クシ●
ケチュア族のときの皇帝ビラコチャと正妃ロント・カヤの三男。優れた才能を持ちながら、奔放で親しみやすく、貴族にも市民の間でも人気がある。しかし異母兄である皇太子ウルコの妬みによって様々な試練を与えられる。
いつかはウルコから王座を取り返して、理想の国を作ることを夢見る。
●キヌア●
勇猛な部族キリスカチェの『天の女王』の娘。幼いころから戦士として鍛えられ、有能だったが、ケチュア族と同盟を結ぶためにビラコチャ皇帝の側室となった。クシが武術の指導を願い出たのがきっかけとなり、宮殿の貴族の子息たちに武術の指導をする教室を開く。
●ウルコ●
ビラコチャ皇帝に後継者として指名されている皇太子。平民出の母をもつ庶子でありながら皇帝の一存で確固たる地位を与えられた。凡庸で怠惰な彼が皇帝の代理として玉座に就いたことで、途端に国は乱れ、内乱寸前に陥る。クシの才能や人気に嫉妬して、クシを陥れようと画策することには熱心。
●アマル●
クシの長兄。慎重で争いごとを好まない。常に落ち着いているが、臆病な面もある。貴族たちはアマルを後継者に推すが、アマル自身はクシが最も皇帝に相応しいと思い、クシの後援に回る。
●リョケ●
クシの次兄。陽気な性格で、ユニークなアイデアを打ち出すのが得意。クシの才能を認め、いつもさりげなくクシを支えている。
●ワイナ●
クシの幼馴染であり、親友。努力家で探究心が強い。クシの才能に惚れ込み、将来はクシを支える存在になるために腕を磨き、見聞を広めている。
●ティッカ●
キヌアがキリスカチェにいるときから仕えている侍女。育ての母がケチュア出身だったため、ケチュアの言葉に通じ、クスコの伝承にも詳しい。キヌアとは何でも語り合える姉妹のようでもある。
●ビラコチャ●
クスコの皇帝。若い頃は勇壮な皇帝として知られていたが、年老いてその影はない。キヌアに自分の母親の姿を重ねて見ているうちに、キヌアの前では正気を失って子どもに戻ってしまうようになった。
●アナワルキ●
クシの異母妹。クシとは幼い頃はよく遊んでいたが、成長とともに会えなくなった。優雅な貴婦人の所作を真似ようとするが勝気でお転婆なところが垣間見える。クシのお后候補に上がったが、将来は神殿の巫女になると言い張る。
●アンコワリョ●
チャンカ族の少年。チャンカ族が生贄となる捕虜を捕らえる目的で集落を襲うことに疑問を覚え、仲間が捕らえる前に敵の命を絶ちその命を解放しようと考える。多くの敵の命を奪ったアンコワリョの腕を首領は高く買っているが、仲間からは残忍な『殺戮の亡者』と恐れられる。
●キータ●
長年、チャンカ一族の命運を占ってきた呪術師。チャンカが罪も無い人を捕らえ生贄にすることを批判し、その運命に翳が差していると預言したことで牢獄に監禁されてしまう。世話をしてくれたアンコワリョにえにしを感じる。
●アストゥワラカ●
チャンカ一族の複数の首領の頂点に立つ大首領。
●トゥマイワラカ●
首領のひとり。アストゥワラカの次に権威がある。アンコワリョが属する部隊とその他複数の部隊を取り纏める。敵を容赦なく斬り捨て、チャンカの侵略戦争に貢献しているアンコワリョ少年に期待を寄せる。
●天の女王●
キヌアの母。キリスカチェの首領。夫の偉大な王カリの亡きあと、傾きかけた部族を再興した。
●地の女王●
キヌアの姉。天の女王と並ぶキリスカチェの二大首領。
(用語)
◎ケチュア族
風光明媚な盆地クスコの都を中心に暮らす部族。歴代の皇帝のもとで多くの周辺部族を統合し、その国は帝国の様相を呈する。しかし近年は戦いを知らずに平和に暮らしていた。
◎クスコ
ケチュア族が作った国の中心となる都
◎キリスカチェ族
老若男女、誰もが優秀な戦士である勇猛な部族。天と地、ふたりの女王が治める。
◎チャンカ族
クスコよりも遥か遠い西北から、多くの部族を殲滅させ拡大してきた獰猛な部族。
◎ハナン(天)派
クスコの貴族たちを二分する派閥(系統)のひとつ。第六代皇帝から現皇帝までがこのハナンの出身。皇子、皇女たちは、母親の出自で派閥が分かれる。
クシは正統なハナンの家系であり、ウルコは皇帝によってハナンに新たな家系を与えられたので、ふたりともハナン派に属する。
正確には(上)と訳すが、ここでは(天)とする。
◎ウリン(地)派
ハナンに対して、地(または下)を意味するもう一つの派閥。初代から第五代皇帝までを輩出したが、その後表舞台に立つ機会が得られなかった。無能なウルコがハナンの頂点に立ったことで、ウルコに取り入って実質的な権威を握った。
◎ロハ
流刑になったクシが一緒に暮らしていた、西の大平原の遊牧民。
(第三章までのあらすじ)
ときの皇帝ビラコチャの三番目の嫡子クシは、武術に秀で、優れた才覚をもち、人々に神童として知られていた。
皇帝より直々に後継者に指名されている異母兄ウルコはクシの才と人気を妬み、彼を罠に嵌め無実の罪を着せて西の辺境へと追いやった。
西の地で遊牧民とともに暮らしていたクシは、未知の土地から得体の知れない獰猛な部族が勢力を伸ばし周辺の部族を次々と襲っているという噂を耳にする。
刑期が明けて帰還したクシは都の防衛を強化するための策を練り、それを実現させるために奔走する
今や老いた皇帝の代理として国の権力を握るウルコに不満を持つ貴族や、庶民、農民たちの支持を得て、クシはクスコの大改革に着手する。
クシは、皇帝の側室であるキリスカチェ族の女戦士キヌアを武術の師として尊敬するかたわら、密かに想いを寄せていた。キヌアのほうもクシに想いがありながらそれを認めることはできなかった。
老いた皇帝はキヌアの前だけで常軌を逸したふるまいをするようになる。国の存亡に関わるその秘密を誰にも明かすことができないでいたキヌア。耐え兼ねて侍女ティッカにだけそれを告白する。
その秘密を打ち明けられたティッカはキヌアを憐れに思い、キヌアがクシに想いが伝えられるようにとふたりを引き合わせる。
想いを通わせることができたふたりは、皇帝の外出しない新月の晩に密かに逢瀬を重ねる。
しかし偶然にもウルコにその場を発見されてしまった。
ウルコは罪を見逃す代わりにクシに都から出て行くように命令する。
腹心の友ワイナを伴って都を後にしたクシはウルコの差し向けた追っ手に命を狙われる。逃げ延びて深い森に迷い込み行き先を見失ったクシは、不思議な泉で神の声を聞く。
声はクシにある聖地を示し、そこで神託を得て都からの迎えを待つようにと告げる。