ENTER THE BOX 3
前回よりファンタジック(笑)な感じになってます^^;
自分でもちょっと恥ずかしいです(笑)
今日は、箱の中をいろいろ動き回った。
翠雨の願いで箱の端をたどる。
『“見えない壁”はどうですか?硬いですか?痛いですか?』
純は面倒くさそうな顔をして、でも少しやさしい顔をして、頼みをきいてあげている。
「うーん・・・、硬いというか、これ以上はどうやっても進めない。強く叩いても痛くない。腕を伸ばしたいんだけど腕の長さが足りなくてこれ以上伸ばせないような、水が出ているホースの口を塞ごうとしてるような」
『うわーいいなぁ!僕も触りたいです・・・!』
そんな微笑ましい2人を黙ってみていた私は、さっき浮かんだ疑問をぶつけてみた。
「2人はどういう関係?」
「・・・・・・・・・別に、ただの相棒」
『ひどいですね・・・実際にはそうなんですが・・・・』
翠雨はちょっと心外っぽい。
「まぁ、出会いから話すと3時間じゃ足りないから、また今度な」
ほんとかな・・・ただ面倒くさいだけじゃ・・・・?
でももしほんとだったら、
「また今度、か・・・」
純がなんともいえない顔をして、こっちを見ていた。
「・・・・そんなにニヤニヤして、何考えてるんだ・・・?」
「・・・べ、別に何も・・・・・・・・」
あと10分。
私たちは入り組んだ狭い路地に移動していた。
「ここのほうが逃げやすい」
「な、なるほど・・・」
意外に頭いい。
「一応言っておくけど、何があっても助けようなんて思うな。自分が逃げきることだけ考えろ」
絶対言われると思った。
「・・・・・・・・・・・・」
でも、純を見捨てるなんてできるのかな・・・・・
「いいな?」
今までで一番真剣な顔。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
「よし」
『では計画を確認しましょう』
あと1分。
ついに、あの男が現れた。
「スタート、だ」
純の合図で私は男と反対側に逃げた。
純がその間に立ちはだかる。
私は頭の上の翠雨に話しかけた。
「ねぇ翠雨、大丈夫かな・・・・?」
『僕の相棒ですよ?こんなところで負けるようなやつではありません』
翠雨はきっぱり言い切った。
「そっか、そうだよね」
・・・・・・・・・・・・・・
でも、やっぱり・・・・・
突然、私は急停止した。
『・・・・・どうしました?まさか戻ろうなんて・・・』
「考えてるっ」
私は踵を返して再び走り出した。
『鈴さん、落ち着いてください!あと40秒もないんですから!』
最近走るなんてしてないから、すぐに息があがる。でも、でも・・・
「やっぱりっ・・・・・置いてくなんてっ・・・できないよっ」
戻ると、純が男と戦っているところだった。
明らかに男の優勢。
純と一瞬目が合った。狼狽するかと思ったが、あまりしていない。
私の行動は予測済みだったのか、それとも余裕がないのか。
『・・・・あと15秒です』
翠雨は私を引き止めることができないと判断したのか、素直に諦めたようだ。
純と男は相変わらず戦い続けている。
と、純が体勢を崩した。
「あっ」
私はとっさに口を両手で覆った。
純はその後もなんとか男の攻撃をしのいでいるが、かなり危険な状態だ。
私は意を決して、深く息を吸った。
「・・・・・・っそこの男の人!こっち見なさい!!」
男は純を攻撃するのをやめ、こちらを向いた。
純は突然のことに唖然としている。
「あなたの狙いは私でしょ?!そんなヤツ相手にしてないで私と遊べ!!」
「『馬鹿!』」
2人の声が同時に聞こえた。
・・・とりあえず、男は私を標的にしてくれたみたいだ。
「・・・・さて・・・・・・・」
私は誰に言うともなく、というよりむしろ自分に向かってつぶやいた。
なんとか抑えようとする純を振り切って男がスタートしたことを認識した瞬間、
「にげるっ!!」
私はまた同じ道を走りだした。
ちょっと後ろを振り返ると、予想よりも1まわり拡大されている男が目に入った。
た・・・たった今、もう振り返らないと決めた。
「あと何秒?!」
『あ、あと6秒です』
い、いけるかな・・・・。
でも、もう純がボロボロになってしまうのは、嫌だ。
後ろの気配が近づいてくるのを感じる。
やばいと思った瞬間には肩を押され、いとも簡単に倒されてしまった。
男がナイフを振り上げて―――
男はそのまま黒い煙となって消えた。
「・・・・?」
『・・・あと1秒で、また死んでましたよ』
翠雨が心底疲れた声で言った。
そっか、
「間に合ったんだ・・・」
起き上がって、でも腰が抜けていることに気がついて、地面にへたり込んだままの体勢でとりあえず息をついた。
そして、
「なんか・・・地面ちょっと揺れてる?」
『え?ここで地震は起きていないようですが・・・・』
周りを見渡すと、その原因がわかった。
純がすごい勢いで走ってきている。
やばい、怒られる・・・・
とにかく衝撃や大声に備えて目をつぶった。
―――しばらく待っても、なにも起きない。
「・・・・・?」
恐る恐る目を開けると、すぐ隣に純がしゃがみ込んでいた。
ため息が聞こえる。
「えっと・・・・・・大丈夫?」
「――――・・・・・・ほんと焦った・・・・・」
純が翠雨と同じような声で言った。
なにはともあれ、箱は消滅したようだった。
私の知らない時間が流れ始めた。
私は死なずに済んだようだ。
当たり前のことだが、あのあと私は純と翠雨にこっぴどく叱られた。
「お疲れのところちょいと失礼」
ちょうどお叱りが収束したところで、聞いたことのない声が降ってきた。
そう、まさに降ってきた。
空から人がゆっくり下りてきているのだ。
「トップの方が何か用ですか」
純が突き放したように言う。知り合いっぽいけど・・・
その人はようやく地面に降り立ち、私のほうを向いて笑顔で言った。
「はじめまして、お嬢さん。私は神サマです」
「・・・・・・・はじめまして」
明らかに胡散臭い。見た目チャラ男だし、赤いジャージ着てるし、何か威厳みたいのも全然ない。
「―――疑っていますね・・・。さみしいです」
自称神様はしゅんとした。
『あたりまえでしょう。どうして正装でないのですか』
翠雨もこころなしウザそうだ。
「あんな白い布のどこがいいのですか!着るの大変だし、動きづらいし、汚れ目立つし・・・。なにより慌ててきたのです」
そこで自称神様ははっとした。
「そうですそうです。私はここら辺一帯にできたバグを見に来たのです。何か天上界からもノイズがひどくて見れないし・・・・。何があったのです?」
ここで純が口を開いた。
「Bらしきものが発生し、ループ現象が起きていました。この少女が巻き込まれていて・・・・」
「・・・・・・・・・・そうですか。お嬢さんには迷惑をおかけしましたね。私の管理ミスです」
神様は深く頭を下げた。
Bだとかよくわからないけど、そこらへんはきっと業界用語なのだろう。黙っておこう。
「いえ、解決してよかったです」
「それで、ポイントは?」
純がすぐさま口を挟んできた。
あ、もしかして試験がどうとか言ってたやつ?
「うーん・・・・規模も大きかったし、大変だったでしょう。ということで、100ポイント差し上げますよ」
『本当ですか!すごい高得点ですね』
「あと、420点だな」
私はその光景を少し遠くで眺めていた。
ひととおり神様(?)との話は終わったらしく、登場したときの一連の流れを巻き戻ししたみたいに空に帰っていった。
あぁ、当たり前のことだけれど、これで私たちはお別れだ。
これまで過ごした1日分にも満たない時間は“特別”だったのだ。
「・・・鈴、」
「あ、助けてくれて、ありがとう。そういえば言ってなかったね。・・・ちょっとの間だったけど、すごい楽しかった。試験、頑張ってね」
純はまた少しだけ笑って、どうも、と言った。
『僕もきちんとした人と一緒にいられて楽しかったです』
そのあと純のじとっとした視線が向けられたのは言うまでもない。
そんなわけで、私は2人と別れた。
2人はどこに向かうんだろう。
とりあえず、彼らの旅路が安全であることを祈っておこう。
というわけでとりあえず1話が終わりました!ぱちぱち!
ここまで読んでくださった方、おつかれさまです^^
なんだかお気に入り?に入れてくださった方がいらっしゃるようで・・・?
なんかよくわからないのですが・・・
ありがとうございます(´∀`*)ノ
あんまり内容に触れるのは恥ずかしいので控えますが(笑)、
なぜ「ENTER」THE BOXなのか・・・・
一番最初は、
「大きい箱の中に街があって、同じ時間をくりかえしている」
という漠然としたイメージだけでした。
それにつきます。←
なんか新しいのを考えるのも面倒だったのでそのままにしちゃいました。
『元勇者』もそうですが、タイトルのネーミングはかなり安直です。
考えるの恥ずかしいです。
あっもしよろしければ感想などいただけたら嬉しいです(`・ω・´)
全力でからみます!(?)
第2話については詰んでる状態です(笑)
いきあたりばったりなので・・・
かなりストックがあるので他の話を投稿しちゃう可能性が高いです^^;
今度はギャグっぽいの投稿できたらいいなーと思いますけど・・・
それかBLですかね・・・(笑)
この話を読んでちょっと脱脂綿に興味をもってくださった方で、BL苦手ーという方は申し訳ないです;
なるべくジャンル偏らないように頑張るつもりです(´・ω・`)
最後に、
読んでくださった方、本当にありがとうございました!!