五つの薔薇は、死の運命を書き換える
世界には空がなかった。
ただ果てしなく広がる白い空間だけがあった。
5人の少女が同時に目を覚ました。
混乱していた。記憶も、過去も失っていた。
そして彼女たちの手には…一輪のバラがあった。
「ここは…?」
誰も答えなかった。
すると、空気が張り詰めた。
そして、囁く声が聞こえた。
それはどこからともなく…そして同時にあらゆる場所から聞こえてきた。
「ようこそ、あなたの物語へ。」
5人の少女は互いに顔を見合わせた。
彼女たちの目に恐怖が宿った。
「あなたたち一人ひとりが…選ばれたのだ。」
バラが光り始めた。
一輪目は青い花びら。
「あなたは…永遠の眠りに落ちる。」
黒髪の少女は震えた。
二輪目は紫色。
「あなたは…毒に侵されて死ぬ。」
三輪目は白色。
「お前は…世界から忘れ去られるだろう。」
4番目、赤。
―お前は…生贄として死ぬだろう。
5番目、黒。
―そしてお前は…裏切られるだろう。
沈黙。
重苦しい沈黙。
非現実的。
―…これは冗談なのか…?
誰も笑わなかった。
薔薇たちは拳を握りしめた。
まるで意思を持っているかのように。
―彼らの物語は既に書かれている。
―逃れる術はない。
そして…そのうちの一人が前に進み出た。
赤い薔薇を持つ薔薇。
彼女の瞳は燃えるように輝いていた。
―ならば、彼女を変えよう。
声はすぐには返答しなかった。
まるで…観察しているかのように。
―面白い。
世界が震えた。
無限の白が砕け散った。
そして舞台が現れた。
城。
森。
村。
まるで物語の断片のよう。
「第一幕」と声が言った。物語は始まる。
数日が過ぎた。
いや、そうでもないかもしれない。
時間が現実味を帯びていなかった。
青いバラを持った少女は眠りに落ち始めた。
ますます深く。
ますます深く。
「眠っちゃダメ!」
「しっかりして!」
しかし、彼女の目はもう言うことを聞かなかった。
「消えたくない…」
彼女は倒れた。
そして、目を覚まさなかった。
青いバラは枯れた。
一つ減った。
紫のバラを持った少女は食べるのをやめた。
「もう無駄…すべてはもう決まっている…」
ある日…彼女は水を飲んだ。
ただの水。
そして、彼女は地面に倒れた。
口から泡を吹いた。
毒。
「だめ…だめ…だめ!」
もう遅かった。
紫のバラは黒く染まった。
2人減った。
世界は変わり始めた。
3人目の少女が口を開いた…
しかし、誰も答えなかった。
「もしもし…?」
「聞こえる…?」
他の2人は…彼女を見るのをやめた。
「ねえ…冗談はやめて…」
しかし、それは冗談ではなかった。
彼女の声は消えた。
彼女の存在は…薄れていった。
「…消えたくない…」
そして…彼女は消えた。
3人減った。
残ったのは2人だけ。
赤いバラを持った少女。
そして、黒いバラを持った少女。
「これは…これは間違っている…」赤いバラを持った少女が囁いた。
「ずっと間違っていた」と、もう一人の少女が答えた。
彼女は微笑んだ。
しかし、それは温かい微笑みではなかった。
それは…諦めの微笑みだった。
「これは物語よ。そして物語には終わりが必要なの。」
「だめ!変えられるわ!」
「だめよ。」
黒いバラを持った少女が手を上げた。
するとその手に…短剣が現れた。
「私の運命は裏切られること。」
「何を言っているの…?」
「誰かがやらなければならないってこと。」
彼女は少女を刺した。
白いバラに血が染み込んだ。
しかし少女は死ななかった。
まだ。
「私が物語を続けなければ…すべてが崩壊してしまう。」
「ならば崩壊させてしまえ!」
沈黙。
黒いバラの少女は最後に彼女を見つめた。
「本当に…すべてを破壊したいの?」
赤いバラの少女はバラを握りしめた。
強く。
「ええ。」
世界が震えた。
「物語」の壁が崩れ始めた。
偽りの空が引き裂かれた。
声が戻ってきた。
「それは…許されない。」
「構わない。」
「物語がなければ…君は存在しない。」
「ならば…新しい物語を作ろう。」
初めて…
声はためらった。
黒衣の少女は微笑んだ。
「ならば、やって。」
彼女は目を閉じた。
そして短剣を落とした。
黒い薔薇が…咲いた。
しかし、それは枯れなかった。
その運命は…打ち砕かれた。
世界は崩壊した。
すべてが消え去った。
すべてが…を除いて。
二人だけは。
呼吸。
生きている。
静寂。
暗闇。
そして…
新しい空。
本物の。
青い。
「…私たちは…やったの…?」
赤衣の少女は自分の手を見つめた。
バラは…消えていた。
黒衣の少女は優しく微笑んだ。
「わからない…」
しかしその時…
新たな声が響いた。
柔らかな声。
しかし聞き覚えのある声。
「歴史は書き換えられた。」
二人は顔を見合わせた。
困惑して。
「さあ…続けよう。」
赤い服の少女は何かを感じた。
彼女の内側に何かを感じた。
力。
意識。
そして彼女は理解した。
「…私たちはもう歴史の一部なの。」
黒衣の少女は笑った。
「じゃあ…台無しにしないで。」
そして初めて…
二人はあてもなく歩き出した。
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