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癒ししかできない無能聖女として追放されましたが、私がいなくなった国はもう保ちません  作者: 蒼井 玲


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第72話 増えていく光

 丘へ登ってきた三人は、疲れた顔をしていた。


 旅の埃。

 長い道の跡。


 先頭の青年が頭を下げる。


「……ここで、光のことを教えてくれるって」


 レオンは少し困った顔をする。


「教えるっていうか……」


 横からエルナが言う。


「勝手に集まってるだけ」


 青年は苦笑する。


「それでもいい」


 彼は手を見せた。


 指先に小さな火花。


 弱いが、確かに共鳴。


「三日前から出るようになった」


 後ろの二人も頷く。


「俺も」


「私も」


 丘の空気が少し変わる。


 数が増えている。


 それは希望でもあり、


 同時に危険でもある。


 リリアは三人を静かに見た。


「名前を教えてください」


「ルーク」


「マナ」


「トビアス」


 短い自己紹介。


 全員、未熟な共鳴。


 だが共通している。


 胸の奥に、


 世界と繋がる小さな震え。


 レオンが聞く。


「どこから来た」


「西の街道」


 ルークが答える。


「レヴァルトの話を聞いた」


 空が裂けた都市。


 あの事件はすでに広がっている。


「怖くなった」


 マナが言う。


「でも、知りたかった」


 沈黙。


 エルナが空を見上げる。


「増えるわよ、これ」


「ええ」


 リリアは頷く。


「拡散は止まりません」


 丘の上には、今や十五人がいる。


 弱い光。


 まだ危険なレベルではない。


 だが。


 レオンは空を見上げた。


 歪み。


 まだ見えない裂け目。


 だが確実に感じる。


 胸の奥の引力。


「……集まりすぎ?」


 ぽつりと言う。


 リリアはすぐ答えない。


 数秒、考える。


「まだ安全圏です」


「まだ?」


「はい」


 その言葉に、全員の顔が硬くなる。


 セレナがゆっくり言う。


「閾値がある」


 それが問題だった。


 一定を超えれば、


 世界が動く。


 エルナが肩をすくめる。


「爆発みたいなもんね」


 レオンは頭を抱える。


「……じゃあどうする」


 リリアは静かに言う。


「学び続けます」


「それだけ?」


「それしかありません」


 簡単な答えではない。


 だが嘘でもない。


 そのとき。


 丘の空気が変わった。


 全員が同時に胸を押さえる。


「……っ」


 共鳴が揺れる。


 遠く。


 どこかで。


 強い光が発動した。


 リリアの目が細くなる。


「……北です」


 レオンが顔を上げる。


「また?」


「はい」


 今度は南でも西でもない。


 北。


 遠くの空で、


 ほんの一瞬、


 白い線が走った。


 裂け目の予兆。


 世界はまだ、


 中心を決めていない。


 だが試行は続いている。


 丘の上に立つ十五の光。


 それはまだ小さい。


 だが、


 もし増え続ければ。


 その中から、


 世界が選ぶかもしれない。


 誰か一人を。


 均衡の中心として。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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