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最初の討伐と、義賊の噂

普通の女子高生なのに、どれだけガッツがあるんだよ。

……負けてられねぇ。


俺は近くの大木に触れ、能力を発動させる。

ブチブチと根が千切れ、木が“意志を持ったように”動き出し、ケモノへ突っ込んだ。


「俺の能力は圧死だ。直撃前に離れてくれ!」


「りょ、了解っ――うわっ!」


エリィが背中にしがみつき続けているせいで、ケモノは完全に混乱していた。

木に体当たりしてエリィを振り落とそうとしているが、彼女は全く落ちない。あの筋力どこから出てんだ。


――だが、今がチャンスだ。


木がケモノへ直撃する直前、エリィはタイミングを合わせて大きく跳んだ。

俺はそのまま彼女を抱きとめる。


「どうだ……!」


視線を集中させる。

呼吸器官なんて無いはずなのに、ケモノは喘ぐように首を振っている。

しかし、もう遅い。


木はそのままケモノに衝突し――


ドンッ!


大樹に押し潰され、ケモノはバラバラになった。


「すげぇ……倒したよな?」


「たぶん……倒した、と思う……」


恐る恐る近づき、転がった木の下を覗く。

そこには乱雑に砕け散った骨の山があった。


「死んでるね。死んでる……で合ってるのかな」


「まあ、多分。てか、探究者になって最初の仕事が討伐で良かったのか?」


「いいんじゃない? 得られた情報も多いし。

私の“溺死”が効いたってことは、このケモノ、呼吸してるって証拠だよ」


「神経反応もある。視界もある……見た目は骨だけなのにな」


落ちていた骨を拾う。

見た目は化石展示室に置いてありそうな普通の骨。

だが、生きていた。明らかに、生き物だった。


「情報は集めて損ないし、骨もギルドで通貨になる。上出来だな」


二人でハイタッチを交わした瞬間――


■ ミラ、登場


「うぷぷぷ。うぷぷぷ。

天才最恐最凶最強天使エンジェルハイパー女神・ミラ様、爆・誕☆!」


空中で小さく爆発が起きたかと思うと、ミラが現れた。

ハエみたいに俺の周りをぐるぐる飛んで、肩をバシバシ叩いてくる。


「いいねいいね! 早速探究者として仕事してるじゃん。ようやくニート卒業? ママ感動……って誰がこのゴミムシのママやねん!

うぷぷ。まあ、最弱ザコザコ転生者でも協力すればケモノ倒せるって証明されたし?

さぁ、これからも調べまくれ。がんばれ諸君!」


「いきなり現れてなんだよ……」


気だるいミラを横目に、俺たちは街へ戻る。


■ 帰還、そして義賊の噂


採取した木の実をカバンに詰め、街に戻ってギルドへ。

報酬を受け取りつつ、俺は周囲の視線に胃が痛くなった。

敵意とも軽蔑ともつかない目。……慣れねぇ。


外で待っていたエリィが心配そうに覗き込む。


「情報量と骨の数で、寿命一ヶ月分は大きいね。……でも、私が多めにもらっちゃってごめんね?」


「大丈夫。エリィのおかげで倒せたし、俺も通貨まだあるから」


夜の街へ戻る途中、通りすがりの若者が声を上げた。


「おい! また富裕層の区画で義賊が出たらしいぞ!」


「マジ!? 寿命もらいに行こうぜ!」


義賊? 富裕層?

聞き慣れない単語にエリィが首をかしげる。


「何だろうね。行ってみる?」


「気になるな。行ってみるか」


「そうだそうだ、いけいけ無名!

張り込みはアンパンと牛乳を持ってやるんだよ。張り込み張り込み〜!」


ミラのよく分からない煽りに背中を押され、義賊の現場へ向かう。


ミラはいたずら好きな子供のように横を並走しながら言った。


「この貧困まみれの街にもね、富裕層エリアってのがあるのさ。

貴族が住み、質のいい木の実や資材は全部あいつらの独占。

貧困層を誘拐して性奴隷にしたり、寿命を奪って殺したり……うぷぷ、まあクズよね」


エリィが怒りを含んだ声で尋ねる。


「なんでそんな格差が……? ケモノと戦うどころじゃないじゃん」


「うぷぷぷ、元々そうだったのよ、この街は。

ケモノが来る前から富裕層と貧困層で完全に区分けされてた。

貧困層は木の実と傷んだ肉、富裕層は高級食材で優雅な生活。

ケモノが来て余計に悪化しただけ〜。

ね、面白いでしょ?」


「面白くないよ。お前……なんでそんな詳しいんだよ。街の精霊か?」


「まあね。伊達にこの世界で長く生きてないのさ。

うぷぷ、私様には優秀で苦しみ可愛い部下が情報をくれるのだ〜」


何か意味深なことを言いながら、ミラはニヤリと笑った。


俺たちは、富裕層区画で起きている“義賊事件”を確かめに走る。

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