Ep.5
ロークさまから衝撃の言葉を聞かされた、翌日。
おれは父上とともに、王族主催の大きなパーティーに出ていた。
「あらぁ、アナスタシアさまかしら? 大きくなられて……何歳でいらっしゃいますの?」
「ああ、お久しぶりです、コルレさま。僕は今年で14歳を迎えましたよ。コルレさまも、ますます綺麗になられて」
にこりと作られた笑顔の仮面をかぶり、正直面倒くさい相手と会話する。だが、コルレさまは伯爵の第一夫人だ。序列は一応おれたちの方が上だが、絶対に侮ったり軽く接してはいけない相手である。
「それよりも……グレイティアさま、あのロークさまに嫁がれたのでしょう? 大丈夫、なんですの?」
突然、コルレさまがすすすと近寄ってきて、小さく囁いた。
……やっぱり、聞かれると思った。
おれはふわっと微笑みを浮かべて、言った。
「大丈夫、グレイ姉さまは幸せです」
「……え?」
「なぜなら——」
「——アーシャぁぁぁぁ~っ!」
おれが言い掛けると、突然おれの名前を叫びながら、誰かが走ってきた。
……っえ、
「フィユ⁉」
「ん? ああ、わたしはアーシャのだぁいすきなフィユちゃんだぞ!」
フィユこと、フィユネー・ナジール。
この国の第六王女であり、現在12歳。
そして、おれの幼馴染で——メイドと王の、隠し子でもある。
「だぁいすきなって……っていうか、大丈夫なんですか?」
「なにが?」
むんっと胸を張った体制のまま、フィユは不思議そうにこてっと首を傾げた。
「なにがって……国王陛下が崩御なさったじゃないですか。こんなときにパーティーなんかして、大丈夫なんですか? 最年長である第一王女さまでも18歳で、成人していらっしゃらないのに」
「あー……うん、父さまの跡継ぎな……フロウに決まったぞ」
「……はぁ? フロウが? 第三王子ですし、まだあの子は10歳でしょう? しかも、……隠し子ですし」
フロウこと、フローゼス・ナジール。
この国の第三王子であり、現在10歳。
そして、おれの幼馴染で——フィユの、実の弟である。
実の弟、ということはつまり、彼は——
王とメイドの、隠し子だ。
「それなー……わたしたちの実母が、王妃さまってことになってるんだよ。父さまが強引に隠蔽したから。ほんとのわたしたちの母さまは、王妃さまと一緒に亡くなってる。だからまあ……境遇的には一緒なんだよな、ほかの兄さま、姉さま、弟、妹たちとは」
「……複雑ですねー。というか、今最年少の第九王子さまはまだ8か月でしょう? 大丈夫なのですか?」
「リーリスのことか? リーリスな、すっごい賢いし、早いんだよ成長が……! 自然が好きな優しい子になるでしょう、って乳母さんが言ってたぞ!」
フィユは、にこにこと花のような可愛らしく笑った。
そして、おれは色々な人からグレイ姉さまとロークさまの結婚について聞かれ、言い続けていた。
——「大丈夫、グレイ姉さまは幸せです。なぜなら——超ドМだから!」と。




