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7話 後悔
病院から電話が掛かってきて、私は絶望した。
咲希…岩村 咲希ちゃんが亡くなったと…
連絡があったのはつい数日前。
それと同時に手紙も入っていた。
明後日の夜、貢納学園の裏に来てください
待ってます。
絶対に来てね…!
宛名も住所も書かれていない不思議な手紙。
こんな手紙読む気にもなれなかった。
咲希には辛い思いをさせていた。
咲希が10歳になっても漢字が読めないのは私が教えなかったから、教えられるのに…。
数十年前のあの日のことがトラウマで教えられない。
そんなことがいけないのは分かっていた、けど、咲希がいなくなった以上、私には行かなければいけない場所がある。
決意を決めた瞬間、手紙は真っ赤に染まった。
(斎藤さんかしらね…)
夢でもあの日のことを思い出しては気持ち悪くなり嘔吐。
夜も眠れない状態が数十年間ずっと続いている。
あのことを今でも後悔していた、だけど咲希が亡くなって気づいた。
こんなことで咲希に勉強を教えてやらなかったのかと…
涙を袖で拭こうとした瞬間、袖は真っ赤に染まっていた。
(これも斎藤さんの仕業かしらね…)
私は重い腰を上げ、教員免許を持ち家を出た。