6話 あの世
看護師さんが走っていった後、他のお医者さんも走って部屋の方へと行っていた。
「あの人たち何してるの?」
「…何もしてないよ、ただあの世に行きかけているだけ…」
「あの世って?」
「関係ないよ…咲希ちゃんには…」
看護師さんは笑いながら車椅子を押してくれている。
だんだんとエレベーターに近づく。
エレベーターには白しみが付いていた
床にも白いしみ。
壁にもついている。
「なんで白いの?」
「気のせいだよ…」
看護師さんはボタンを押してくれた。
でもそのボタンも白いシミが付いていた。
扉がひらいてエレベーターの中に入る。
中は白いシミだらけ。
そしてエレベーターは下にゆっくりと移動した。
上からポタポタと白い液体が垂れてくる。
その瞬間、ガタンと、エレベーターが揺れた。
「着いたよ…」
看護師さんがそう言った瞬間にドアが開いた。
着いたところはさっきのところよりは暗かった。
それなのに真っ白。ドアも床も壁も全部。
「咲希ちゃん、このお部屋…入ろっか…」
看護師さんはドアを開け私だけを中に入れた。
「それじゃあね…」
ゆっくりとゆっくりとドアが閉まった。
中は真っ暗で何も見えなかったけど、赤色の白衣が見えた…。
「次はお母さんも来てくれるよね…」