3話 最後
廊下から、足音が近づいてくる
ゆっくりと音を立てて…
「い、ないのか…」
ドアの向こうからかすかに聞こえる声。
「あ…け…て…く…れ」
声は聞こえるが小さすぎてほとんど聞こえない。
「お迎え…部屋」
かすかにそう聞こえた。
(お迎え部屋って…)
お迎え部屋とは霊安室のこと。
この事が分かるのは医師か看護師ぐらいしかわからない。と言うことは武か…。
「に…こ…い」
最後の声はほとんど聞こえなかった。
(来いって言ってたよな…)
その瞬間パソコンの画面が勝手に動き違うサイトを開いた。
お迎え部屋、お迎え部屋、お迎え部屋、お迎え部屋。
と赤い字で書いている。
お前も仲間だ。
と画面に直接書かれていた。
画面の中ではない。外だ。
真っ赤というか黒いというか…まるで人間の血ではないような色。
そして触ってみても固まっている。
それは濡れた肉のように生暖かかった。
普通の血液は固まるがそんなすぐには固まらない。
(人間の血ではない…)
天井から雨漏りみたいにポタポタと赤い血液が垂れてくる。
その液体が肩に垂れた。
液体はまるで冷やしたように冷たかった。
そう輸血を取り出してすぐのような冷たさ。
(これは…)
西島はそっと液体を拭う。
さっき血とは違いサラサラだった。
まるで水みたいにサラサラ。
液体は皮膚に吸収されるように吸い込まれた。
水のように。
本当に水に色を付けたような感じだ。
(何だこれは…)
その瞬間、体が熱くなり、鼓動が速くなる。
西島はその場で動けなくなっていた。
だがその瞬間に処置室は移動をしお迎え部屋の前まで来てしまっていた。
「や…っとき…て…く…れ…た。」
西島はヒョイッと持ち上げられお迎え部屋に投げ入れられた。
小さな声でこう聞こえた。
「次は…誰に…しよう。」と