マリーンに惚れた跡取り息子
マリーンはさっそくリム達を応援する行動を起こすことにした。
「リム、私ちょっと疲れてしまったから先にナインと宿に戻るわね?」
「我らも一緒に戻ります」
「いいわよ。ナインがいるし、宿まですぐ近くだし。リムはルンナの食事が済んだら一緒に戻って来て」
「そうですか……ナイン、マリーン様を頼んだぞ」
「お任せ下さい」
リムとルンナを酒場に残し、マリーンとナインは外に出た。昼間と違って夜は少し冷える。
「リムとルンナ、上手くいくといいわね」
「そうですね……」
「まだ、フクザツなの?」
「それはそうです。早くに子が生まれていれば親子ほども違う年齢ですから」
「年齢にこだわるのね」
「男は女性よりも早く亡くなることが多いですから」
「そうとは言えないわ。リムのかつての想い人は病気で亡くなってしまったと言っていたでしょ?私のお母様も病気で早くに亡くなったわ。人がいつ死ぬなんて誰にも分からないことよ」
「..........その、悲しい出来事を思い出させるような言い方をしてしまい申し訳ございません。もしかしてですが、姫様はそういう思いもあって恋人を作られたのですか?」
「私? そこまでは考えていなかったけど、人から大切にされるのはステキなことだと思うわ。ナインこそ付き合ったことはないの?恋するヒマは無かったみたいなことを言ってたけど」
「オレのは……“恋”と言えるもんじゃないです」
「どういうこと? あの、ホントにお姉様に想いを寄せていたとか……?」
「………そんなわけありません。ですが、その方はオレにとっては遠い人でした」
ウソが苦手はナインの返事は、マリーンの答えを肯定しているようだった。マリーンはフクザツな思いになる。マリーンが9歳で王宮を去ってからナインは何年も姉のジュエルに想いを寄せ続けていたのだろうか。
姉は19歳で結婚している。もし、姉を想い続けていたならば5年近く片思いをしていたことになるが……。
(だとしたらちょっと悔しいな)
姉のジュエルはキレイだし、とてもおしとやかで姫らしい人だ。マリーンはお転婆なのでいつもたしなめられていた記憶がある。
昔の記憶に浸っていると、波の音が不意に大きく耳に入ってきた。
「ねえナイン、少し海を見て行ってもいい?」
「少しならば」
酒場の裏を少し進むと港がすぐ近くにある。昼間のにぎわいとは違って今は波の音しか聴こえない。堤防から見える海は黒く、月の明かりに照らされた部分だけが静かに輝いていた。
「夜の海って少し怖いわね」
「飲み込まれそうな不気味さがありますね」
「私、船を見ると、違う国を見てみたいと思うの」
「他国に興味がありますか?」
「知らない文化について興味があるの。どんな言葉を話してどんな物を食べて、どんな生活をしているのかとか気になるじゃない?」
「マリーン様は、好奇心旺盛ですからね。目を離したらどこかへと行ってしまわれそうだ」
「子どもっぽいって思ってる?」
「いえ、色々なことに興味を持たれる年齢なのだなと」
「ナインは私より8歳年上だからって、たまにとてもお兄さんぶって言う時があるけれど、私はそんなに子どもじゃないわよ」
マリーンはナインがずっと姉に片思いをしていたのかもしれないと知って、まだ面白くない気持ちだった。姉に対抗するわけじゃないが、子ども扱いされるのはシャクに障る。
「マリーン様は確かにもう子どもではないですね」
ナインが年上らしく余裕ぶって言うのでマリーンは膨れたのだった。
翌日、お店でいつもの様に薬販売をしていると、常連のお坊ちゃんことランドルがやって来た。彼はこの町で一番大きな商会の跡取り息子と聞いている。特に今すぐ必要ではなさそうな薬や栄養剤なども毎日、寄っては買って行ってくれるのでマリーンは彼に感謝していた。
「マリちゃん、今日もキレイだね。マリちゃんに会うと元気をもらえるよ」
「お上手ですね。今日もお仕事の途中で抜けて来たのでしょう?また従業員の方が呼びに来ますよ」
「毎日、ここに顔を出しているから僕がいないとここに探しに来るんだよね。だから、今すぐ、ちょーっとだけ僕に時間をもらえないかな?」
「え、今ですか? 丁度、売る物も無くなったから良いですけれど……」
「心配しなくても大丈夫。お店の横で少し話をしたいだけだから」
マリーンがルンナを見るとルンナがうなずく。何かあればルンナがすぐに来てくれるだろう。
「では、少しだけ」
マリーンとランドルが店脇の路地で向き合うと、ランドルはマジメな表情になった。
「マリちゃん、僕は君と出会って間もないけど、“運命”を感じています!どうか僕と付き合ってください!」
ランドルからの好意は薄々、感じていたが、予想以上に早い告白にマリーンは驚いた。
(え、まだランドルさんとは会って1週間くらいなんだけど......)
ランドルはお店に薬を買いに来てくれる“いいお客さん”だ。強引なところも無いし、いつもお店の様子も気にしてくれる。だけど、惹かれる要素があるかというと.......可も不可もない人だ。何と答えるべきだろうか。
「私、旅の途中でしばらくしたらこの町を出て行くことになるの。だから、申し訳ないけどあなたの気持ちには応えられないわ。お店に来てくれるのはとても嬉しく思っているのだけど........」
「また、旅に出るというのは知っているよ。このお店を貸し出しているのはウチの商会だし。だけど、君との縁はこれきりだと思いたくない。お願いだ!僕のために残ってくれないか?」
「え?」
今日のランドルは少し強引だった。マリーンは何と言えば納得してくれるだろうかと困る。
「マリちゃん。この後、あの丘にある古城にデートしに行かない?僕のことをもっと知ってほしい。チャンスをくれないか?」
マリーンが言葉を返そうとする前にランドルは次々と言葉を重ねてくる。さすが商会の跡継ぎ息子だけあって話の進め方がうまかった。
マリーンは必死に言葉を探すことになったのだった。
モリーナの町に美人さんがやって来た!とマリーンとルンナはひそかに注目されていました(※本人たちは気付いていない)
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