おぼれた姫君を助けた騎士
長編3作目の作品となります!今回は旅をしながらのスローなラブストーリーです。一緒に旅をしているような気分になって頂けたらいいなぁと思い、旅モノのラブストーリーを書いてみました。どうぞ宜しくお願い致します(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾
※1話でおぼれるシーンがあります。ドキドキさせてしまうかもしれません(つд⊂)
(沈んでいく……誰か気付いて!……誰か!)
音もなく静かに沈んでいくマリーンに近づいて来る者の気配は感じない。誰にも気付かれずに死んでしまうかもしれないとマリーンは恐怖を感じた。
事件が起こった日、グーネル王国の第二王女である7歳のマリーンは、初夏の暑さに耐えかねて6つ年上の第一王女であるジュエルと共に王宮の泉で水遊びをしていた。
と言っても姉のジュエルはもうすでに13歳であったので、まだ幼いマリーンが靴を脱いでパチャパチャと水際で遊んでいただけなのだが。
ジュエルは侍女達が用意した日傘にイスを置き、お茶を嗜んでいた。すっかり大人のような振る舞いをする姉の様子にマリーンは不満だった。
「お姉さま~!お水が気持ちいいですわよ!」
「マリーン、気を付けないとドレスが濡れてしまうわよ」
こんな感じで子ども側の気持ちに共感してくれないのだ。もう、すっかり侍女達みたいなことを言うんだから!とマリーンはずっとプリプリしている。
泉のほとりにはオレンジの花びらが鮮やかな花が自生しているのか、たくさん咲いていていた。蝶も花の鮮やかさにつられて飛んでいる。マリーンはヒラヒラと飛ぶ蝶に気を取られついつい追いかけた。
泉のほとりに咲く花に沿って蝶は奥へと飛んで行き、マリーンは蝶を無邪気に追う。侍女は制止したが夢中で追いかけるマリーンには聞こえなかった。
すると、蝶を追いかけていたマリーンの足元が突然サラサラと音もなく泉の中へと崩れていく。マリーンは体勢を崩して泉の中へと吸い込まれてしまった。
マリーンを見ていたジュエルや侍女達は、泉に入っているわけではないマリーンがおぼれるとは夢にも思わず、事件が起きた時にすぐに対処できず茫然と見つめていた。
ジュエル達は我に返るとハッとして叫ぶ。
「マリーンが!誰かマリーンを助けて!!」
ジュエルの大声に侍女達も我に返ると、マリーンの元へと向かった。その時、誰よりも一足早く上半身裸になった騎士が泉へと飛び込んでいく。
騎士は泳ぎが得意らしく、ひとかきふたかきするとすぐにマリーンの沈んだ場所へとたどり着き潜っていった。
沈んでいく自分に近づいて来る若い騎士を水の中で見たマリーンは、必死に騎士に向かって手を向ける。
だが、水を吸ったワンピースがやたら重くて思うように手を動かせない。もがけばもがくほど意思に反して泉の底へと引っ張られていった。
意識が途切れそうになった時、力強く支えられて水面へと浮上していくのをマリーンは感じた。水面に近づくにつれて太陽の光を眩しく感じる。
水面から顔を出すと、思い切り息を吸いたいのに空気を上手く吸えずにせき込んだ。意識が朦朧としてくる中、若い騎士は泉のほとりにマリーンを横向きに寝かせると、腹の上の方を押して水を吐かせる。
マリーンが水を吐ききると、若い騎士は断りを入れて人工呼吸へと素早く移った。強制的に空気が送り込まれた刺激で、段々と自力で息ができるようになってきた様子を確認すると、騎士は侍女達から渡されたブランケットをマリーンに巻き付けて救護室へとマリーンを抱えて運ぶ。
(私は助かったのね……)
騎士の腕に抱かれ、マリーンは安心したように目を閉じた。
その後、医師の診察を受けて自室で静養を受け元気を取り戻したマリーンは、自分を救ってくれた若い騎士に会いたくなり、呼んでもらうように頼むと願いは叶えられた。
若い騎士は、実はまだ見習いの騎士で本来ならば王女にお目見えする立場ではないらしいが、第二王女の命を救ったということで特別に王女の静養する私室まで来ることを許されたのだ。
対面した若い騎士見習いの名は“ナイン”と言い、見習いの身でいきなり王女の私室に呼ばれたことで、恐縮しきっている。
マリーンはベッドの背もたれにもたれて座っていたが、彼を側で見たくてベッドから降りるとナインの側まで歩み寄った。ナインはひざまずいて首を垂れる。
「ねえ、顔を上げて。私を助けてくれた人の顔を見たいの」
その言葉にナインは顔を上げた。ダークブラウンの髪と瞳を持つ体格の良い彼を“大型犬みたい”だなと、マリーンは思う。
「私を救ってくれてありがとう。あなたって大型犬みたいね」
「ありがたい言葉です。ですが、大型犬とは……?」
「うーん、身体が大きくて、おっきい犬みたいって思ったの」
年相当らしい少女の言葉に初めてナインは表情を崩して微笑んだ。
「オレは大型犬みたいですか。初めてそのようなことを言われました」
気さくに答えてくれるナインをマリーンはますます気に入った。
面会の後、マリーンは父王にナインを自分の護衛にしてほしいとおねだりしたのだった。
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