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62話 多様性の可能性

「猫娘! 紹介するぞ、我が息子らだ!」

 エルフたちが仕事に戻っていくと、次にカーサ国王が9人のオーガの男性を連れて私たちのテーブルへとやってくる。


「第一王子アレクシスです」

「第二王子ベルノルトです」

「第四王子クルトです」

「第五王子デニスです」

「第六王子エルマーです」

「第七王子フェリクスです」

「第八王子ゲオルクです」

「第九王子ギードです」

「第十王子ライナーです」


 いや、無理無理無理。覚えきれないって。

「は、初めまして……さくらです……」

 私は引き気味に愛想笑いをする。


「あなた方黒狼の牙の皆さんのおかげで、“血の儀式”と呼ばれる後継者を決める殺し合いの制度がなくなったのです!」

 アレクシス殿下がそう嬉しそうに言う。

「うわぁ、良かったです!」

 そんな野蛮な制度なくなって正解だよ。


「で、猫娘、子を残すならどれがいい? 複数選択可だ」

 と、カーサ国王。彼がそう言った瞬間、オーガのみんなが襟を正す。


「ま、待ってください、私そんなつもりは……。っていうか複数選択可って何!?」

「一妻多夫制でも良いということだ」

 カーサ国王は自慢気に答える。

「もー、父さんもみんなもさくら困ってるからやめてよ……!」

 ルシオが顔を赤くしながら家族を向こうへと追いやっていた。

 何でみんなそんなショボンとしながら去っていくの!?


「だっはっは。さくらはもうここに既に3人も旦那がいんのに更に10人は身体が持たねぇな」

 と、ジャン。

「もぅ、何言ってんの……」

 私は照れ隠しに白い目でジャンを見た。


 ジェイミは照れてはにかんでいるし、レオンは顔を赤らめてうつむいていた。

 みんな満更でもないね!?


⸺⸺


「カーサ国王、下で働いているメイドは全員エルセイジ王国の貴族ですよ。宜しければ閉店後お見合いしませんか?」

 と、ビクトリア王妃。


「おぉ、ビクトリア王妃! それは願ってもないことです! ぜひともうちの鬼どもに高血なエルフの血を混ぜてやって下さい! いやぁ、今後とも我がベルセルク王国をよろしくお願い致します」


「ははは、こちらこそですよ、カーサ国王。貴殿の古い仕来りを排除するという英断、我々は全力で肯定致しますよ」

 と、メルキオル国王。

「メルキオル国王、勿体なきお言葉です……!」


 確かに、ルシオだけが助かるのではなく、ルシオの兄弟全員が殺し合いをしなくて良くなって本当に良かった。

 そうなったのは、ルシオが恐怖の対象だった父親へ歩み寄ろうと勇気を出したからだ。


 私はちょっと協力はできないけど、ベルセルク王国にもこれから色んな種族が訪れるようになればいいなって、私は思った。


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