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6話 自己紹介

 ようやくある程度落ち着いたみんなは、私の次元の狭間からここまでの出来事を真剣に聞いていた……が。


「異世界人なの? すごいね!」

「だーっはっは! 本当に猫にされたとかウケんな!」

「召喚者もこのような逸材を即座に捨てるとは馬鹿な奴らだ……」

「はぁ……変なもん拾っちまったな……」

「なんか……まだ目のやり場に困るんだけど……」

「あ、それ俺も……。彼女の耳見るといいよ。たまにピクピクってなって面白いから」


 話し終えた瞬間この有様だった。


「それと、私の名前は“さくら”です……」


 ようやく名乗れた私であった。


⸺⸺


 そして彼らもそれぞれ自己紹介をしてくれる。


「僕はジェイミ。見ての通りクルス族だよ。よろしく」

 見ての通りとか言われてもよく分からないけど……。

「うん、よろしく」


「俺はジャン」

 鳥のイケメン。雰囲気は(たか)


「私はクロード」

 耳の尖ったイケメン。絶対エルフ族。


「僕……リュカ……」

 魚のヒレの草食イケメンくん。


「俺はルシオだよ」

 やさおに。


「……レオンハルトだ」

 最後に私を拾ってくれた彼がボソッと呟く。なるほど、レオンは愛称でしたか。


「みんなレオンって言ってるから、さくらもレオンでいいよ」

 ジェイミがそう勝手に言うので、私も「分かった」と相槌(あいづち)を打った。


 それにしてもジェイミ以外は何族かも教えてもらえなかったけど、訳が分からなくなりそうなのでだんだん覚えればいいやと思うことにした。


⸺⸺


「それにしても、いつまでもそのままって訳にはいかないよね……ここには女の子の服なんてないし、困ったなぁ……」

 と、ジェイミ。


「あ、あの、そもそも私ってここに居てもいいの……? 猫じゃ、なかったけど……」

 私はシュンと(うつむ)いてそう尋ねる。

 今度は猫じゃないなら、と捨てられる可能性もゼロじゃない。


「いやいや、むしろその格好で出歩かれても俺らも困る訳よ」

 と、ジャン。


「確かにそうだけど……」


「ほら、レオン、君が拾ってきたんでしょ? 優しい言葉かけてあげて」

 ジェイミはレオンに振る。


「なっ、何で俺が……。まぁ、俺らはそのクソ召喚士共とはちげぇ。1回拾って思ってたもんと違うから、はい、さようならとはなんねぇよ。お前が居たければ居ればいい」


「レオン……ありがとう」


 彼の膝の上であんなことがあったから、もうちょっと嫌そうにされるかなと思ったけど、意外に優しい言葉で安心した。



「おぇぇっ。レオンお前どうした? まさかあれで惚れたのか?」

 と、ジャン。やはりいつものレオンとはちょっと対応が違ったようだ。


「はぁ!? んな訳ねぇだろ、てめぇみてぇなドスケベ野郎と一緒にすんじゃねぇ!」

 レオンは顔を真っ赤にしながら言い返している。


「あんな状態でカチコチに固まって何もできなかったむっつりレオンより俺はドスケベでいたいね」


「んだとてめぇぶっ飛ばすぞ」

「おうよ、やれるもんならやって見ろよ」


 レオンとジャンの身体の周りが赤いオーラで覆われていく。

 パワーアップの技か何かは分かんないけど、そのオーラは見た目通りものすごい殺気を感じ、全身の毛がゾワゾワっと逆立った。


「もー、2人ともアジトが壊れるからやめて!」

 ジェイミが2人の間に入り、なんとか2人の赤いオーラは収まっていった。


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