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30話 猫の特権

「なんとかして次元の狭間の管理人さんに会えないかな」

 私はそう提案してみる。


「さくらがこっちに召喚するときにスキルをくれたりした人だよね」

 と、ジェイミ。

「うん、人かどうかは分からないんだけど……。こんなに短期間にいっぱい召喚されたら、管理人さんも迷惑じゃない?」

 私がそう返すと、さっき召喚されたばかりのユウスケさんが会話へと入ってくる。


「そう言えば、最近同じ位置への召喚が多くて嫌になるって言ってました!」

「ほら、やっぱり。夢の中で会えたから、管理人さんに会いたいって思いながら寝たら会えないかな……」


 更にカズキさんが会話に入ってくる。

「この村に残る20人とさくらさんで、今晩そう願いながら寝てみませんか?」

「おぉ、いいですね。マルクス様、ちょっとやってみてもいいですか?」

「まぁ、何も試さねぇよりはいいか、んじゃ異世界人さんらよ、それやってみてくれよ」

 そうマルクス様に許可をもらって、私たちとマルクス様に虎丸さんは今晩村に滞在することとなった。


 王都へと移住する人らは国の兵士さんたちに連れられて、馬車で王都へと向かっていった。


⸺⸺夜。


 宿屋の個室のベッドで、1人丸くなる私。


 どうしよう……もうすぐみんなでそれまでに寝ようって約束した22時になるのに、全然寝付ける気がしない。


 昼間、あのウェルマーってやつとその取り巻きの魔道士たちが言っていた言葉が頭の中をぐるぐると回っている。


『異世界人も馬鹿だよな。こんな捨てられるとも知らず、ほいほい召喚に応じるもんな』


 だって夢だと思ってたんだからしょうがないでしょ!?

 捨てられるなんて分かってたら誰も召喚になんか応じないよ!

 でも、そのおかげでレオンに拾われて、イケメンに囲まれた幸せな生活を送ってるんだけどね。

 そうだ、レオン!


 私は起き上がり個室を出て猫の姿に変身すると、レオンの個室の戸をカリカリと引っかいた。


 すぐにレオンが戸を開けてくれたので、開いた瞬間にスッと中へと入り込む。

「さくら? もう22時になるぞ。何やってんだお前は」

 彼がそう言いながらも戸を閉めたのを確認すると、私は彼のベッドの布団の中へとゴソゴソと潜り込んだ。


「ちょ、おまっ……まさかここで寝るって言うんじゃねぇだろうな」

 焦るレオンの声が聞こえてくる。


「にゃ~……」

 だって一人で寝られないんだもん。

 猫なら私も恥ずかしがらずに寝られそうだし、レオンは猫の私にはツンが発動しないって私知ってるんだから。


「はぁ……ったく、しょうがねぇな……。急に人の姿になったりすんじゃねぇぞ、いいな?」

 ほら、ゴリ押せた。

「にゃ!」


 レオンはまだベッドには入ってこなかったけど、彼と同じ部屋にいる、それだけで私は安心してコロッと寝付けてしまった。


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