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23話 お城で昇天

⸺⸺ブライリアント城⸺⸺


「これはレオンハルト様! 本日はどういったご用件で?」

 城の入口に立っている門番にそう尋ねられる。

「マルクスに用事がある、通せ」

「はっ、かしこまりました! 国王陛下は本日は玉座の間におられる……はずです……」

 門番は自信なさげにそう返す。というかレオン、国王陛下を呼び捨て……?


「……お前らも大変だな」

 レオンは不憫(ふびん)そうな視線を送る。

「お心遣い、感謝致します……お連れの方も、どうぞお通りくださいませ」

「あっ、ありがとうございます」

 レオンのおかげで私まで顔パスでお城に入れちゃった……。


 私はレオンの後について赤い絨毯の敷き詰められたふかふかの床を進んでいく。

「すごい……私お城なんて初めて入ったよ……」

 田舎者みたいにキョロキョロが止まらない私。

 そんな私にすら、すれ違うメイドさんたちは丁寧にお辞儀をしてくれる。

 慌てて私も深くお辞儀を返すとメイドさんもまたお辞儀を返してくれて、レオンに「時間の無駄だ」と回収される。

 そんな私をメイドさんは微笑ましそうに見送ってくれた。


 そして3階まで上がると、2人の兵士の見張る大きな扉が現れた。

「レオンハルト様、お疲れ様です! 国王陛下へ謁見でしょうか?」

「そうだ、あいつちゃんといるか?」

 今度は国王陛下を“あいつ”呼ばわり……。


「はい、本日はいらっしゃいます。どうぞお入りくださいませ」

 兵士さんがそう言うと、もう1人の兵士さんも息を合わせて両開きの扉を一気に開放してくれた。

 兵士さんたちも国王陛下の許可なしに勝手に開けちゃうんだ……。


 私はレオンに続いて緊張気味にその部屋へと足を踏み入れた。


⸺⸺玉座の間⸺⸺


 音もなく静かに閉じられる扉。兵士さんたちの気遣いが伺える。


 そして大きな玉座に、足を組んで座っている濃いめの青髪のイケメン。種族はレオンと同じ普通の見た目の“ヒュナム族”だった。

 え、待って、あの人がもしかして国王様!?

 私はてっきり白い顎髭をふさふさ伸ばしたおじいちゃんっぽい人を想像していたんだけど……若くない!?

 レオンと同じくらいの年に見える……。レオンはクランのメンバー表で見たんだけど25歳だった。ホントそれくらいに見える。

 そしてガッチリとした鎧をまとって、とても国王には見えない。どちらかと言うと騎士様って感じだ。


 私たちが入るなり、そのイケメンも立ち上がって仁王立ちで待っててくれる。

 私は思わずレオンの服の裾を掴んで彼の影に隠れながらそのイケメンと対面した。


「よぉー、レオン! なんかお前のクランにヴァーデルンの女の子が入ったと思ったら、まさかお前の嫁か? 結婚の報告か、この野郎」

 彼はそう意気揚々と言った。

「けけけけ結婚……!?」

 私は顔がボンッと熱くなり、レオンの背中に顔を埋める。

「んな訳ねぇだろ。何でそうなんだよ」

 レオンはダルそうに返す。


「何でって……だってその子お前にベッタリじゃねぇか」

「はぁ? って、さくらお前何くっついてんだよ!」

 レオンの慌てた声が聞こえてくる。

「無理です、恥ずかしくて顔が見せられません……」

 私は意地でもレオンの背中にくっついていた。


「てめぇ、離れろって! マルクスに勘違いされるとロクな事がねぇぞ!?」

「だって、だって……け、けけけ結婚って……!」

 そんな私たちのやり取りを見て、青髪イケメンは笑い転げていた。


「あっはっはっは! めっちゃおもろいなその子! おーい、さくらだったか? レオンとはもうキスくらいはしたのか?」

「てめっ、そういう事言うと……」

「き、キス!? レオンと!? ふぇぇ……」

 沸騰しきった私はそのまま気絶した。

「ほらな」

 そんな私をレオンが抱きとめていてくれたらしいけど、私は知る由もない。


「えっ!? どうしたの!?」

「お前が茶化すからだろうが……」

「マジ? うわ、ごめん……」

「全くだ」



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