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第四話

この小説を開いてくださりありがとうございます。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

咲月は優しいし、人にも話しかけられやすい。

街を歩けば、道に迷ったおばあちゃんとか、観光客の海外の人とかからやたらと道を聞かれたりする。

学校でも頼み事をされたりする。そしてそれを断らないのもいけないとこだ。

今だって一人じゃ持てない量の荷物を持っている。

多分先生にでも運ぶのを頼まれたのだろう。

流石に見過ごせないのでそばまで行く。


「持つよ」

と言って荷物を八割がた取った。

「あ、えと…」

と咲月は困惑してる様子だったので、一人じゃ持てないだろと言って一緒に歩き始める。

「あの、ありがとうございます」

「いいよ、この量一人は無理だって。

先生でしょ?これ頼んだの。誰?」

「えと理科の田口先生です」

この量女子一人に持たせるなんて、、

後で文句を言いに言ったのはいうまでもないだろう。

でも大方、誰かと一緒に持っていってね。

と言われたけど一人で持ってきたってのが正解かな。

「先生には友達とでも持って行ってほしいと言ってたんですけど…」

ほらビンゴ。

「なんだか言えなくって」

と笑ってはいるが、内心俺に申し訳なく思ってるのだろう。

「この荷物理科室であってる?田口先生ってことは」

はい、と君が答えながら階段を降りる。


よく考えれば、咲月とはあまり二人で話すことは無かった。

話す時は涼太とかヒマとかがいたし、今考えれば家に来てくれた時くらいか。

咲月もどうやら接し方に迷っている様に見えた。

「もう学校には慣れた?だいたい一か月くらいたったけど」

「はい、お陰様で。毎日楽しいですよ」

と君は笑ってくれるが、会話は続かない。

本当は話したいことはいっぱいある。

でも咲月にとって俺は記憶を失う前に数年いた幼馴染、でしかない。

俺もそう思うと一人で話しかけには中々行けなかった。

あの、と咲月が口を開く。

「私の記憶のために色々と本当にありがとうございます。

それ以外でもいつも良くしてくれていますし」


俺は一言では表せない感情になった。

嬉しいとか、良かったとか、今セリフ言ってた時の顔かわいいなとか。

「あの、大丈夫ですか?私まずいこと言っちゃいましたか?」

と咲月は慌てていた。

俺は気づけば泣いていた。


今まで何年も探してきた彼女は記憶を失っていたけど、もう今や幼馴染ですらない彼女が。

俺に感謝を伝えてくれた。

今までずっとこらえていた事があった。

昔咲月が引っ越した時、俺は、あの時からずっと抱えていた。

本当は泣きたかった。

でも俺はかっこつけるために決して泣かなかった。

彼女がいなくなって数か月してから気付いた事があった。

彼女が忘れられなかった。彼女が隣にいた時から好意は自覚していた。

でも忘れられると、忘れると思ってた。

その時自分にとってどれだけ彼女の存在が大きかった知った。

その時から彼女を探し始めた。

泣いてる暇なんてなかった。そんなことしてるなら近所の人でも、何か知ないか聞きたかった。

でもあれから何年も経って君は今再び俺の隣にいて。

溢れてしまった。ずっと抱えていた。

俺は高校生にもなって大号泣していた。


しばらくして落ち着いてから再び歩き始めた。

さっき目の前であれだけ泣いたので少し、いやかなり恥ずかしいが、咲月も話かけてこなかった。

理科室につき荷物を置いて、一仕事終えると、咲月が話しかけてきた。

「あの…「ひゃい!!」

とビックリして裏声を出してしまった。

もうこう以上恥は上書きしたくないのだが。

咲月はクスクスと笑ったあと再び口を開いた。

「あの、連絡先交換しませんか」

と連絡先?と思ったがよく考えれば知らなかったので交換することにした。

「あ、あぁするか。はいこれQR」

とQRを差し出してが俺はもう頭が大して回っていなかった。

ありがとうございますと笑った君は理科室を出て、授業が始まりますよと言って。

俺も続いて理科室を後にした。

連絡先・・・何だかいい響きだと思ったのは内緒でね。




























最後までお読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!

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