第三話
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「おい風間、柊はちゃんと来るんだろうな」
「知りませんよ、やるだけやりましたけど」
朝、担任の先生は最近学校に来ない柊の事を風間に頼んだらしい。
「相馬来るのかな」
と少し不安そうにヒマも言う。
ガラガラと教室のドアが開けばそこには相馬の姿があった。
「よぉ久しぶり、色々とありがとな」
まだ朝のHR前の人がまばらな教室には最近来なかったからか、俺に視線が集まる。
涼太もヒマも嬉しそうに俺に話しかけてくれた。
席に座ってはいるが、咲月も少しホッとした顔をしていた。
家に来てくれていた三人にそれぞれお礼を言っていたら、チャイムが鳴り再び教室に入ってきた先生がHRを始める。
少し久しぶりだが変わらない日常。
咲月がいてもいなくても、俺には友達が居た。
そう思えばその日常に、咲月もいるだけだ。
こう考えれば楽になる。実際そうだと思ったからでもあるが。
休み時間になれば涼太が俺の席にやってくる。
どうやらヒマは次の授業の準備に駆り出されてるようだった。
少し他愛もない話をした後咲月が俺の席にやってきた。
そう、俺は昨日記憶を取り戻す事を手伝う約束をした。
恐らくその事だろうと思っていると、本当にそうだった。
とにかく三人で作戦会議をする。
ちなみに約束は涼太にはさっき言ったばかりだ。
「実際どうするよ、なんか考えあんの?」
と最初に口を開くのは涼太だった。
「取り敢えず、昔あったこととか、そういう情報を片っ端から言っていこうと思ってる」
単純ですねと涼太は言ったが、実際お医者さんや家族が手を尽くしても無理だったことを、たかだか数年過ごしてただけの幼馴染にできることなんて、このくらいのもんだ。
「休み時間とか、そういう時にちょくちょく話しかけに行ったりする感じでどうかな?」
と尋ねると彼女はうんと言って頷いた。
(いやでも休み時間なんて話しかければいいの?
「こんにちは!、昔はこういうの好きだったよ!!、じゃあまたね!」
とでも言えというのか?)
なんて事考えてたら次の移動教室の準備を涼太に急かされたので、また後で考えることにした。
昼休み俺達はいつも三人でお昼は食べるのだが今日は違う。
「あの、私も一緒に食べてもいいですか?」
と咲月があまりに可愛くいうもんだからもちろん快諾した。
…ちょっと今のはキモイな。
四人で何気ない会話をしながら昼飯を食った。
「あの、私どんな食べ物が好きだったりしたんですか?」
と何とも面白い事を聞いてきたが状況が状況なので真面目に答える。
「大体の物が好きだったよ。嫌いなものなんてあったかすら分からないくらい」
実際そんな彼女に引っ張られて、俺も嫌いな食べ物なんてなくなっていったからだ。
「でも特に好きな物でいったら、、なんだろピザとか?」
ピザ何だか以外とか言ってヒマは驚いてた。
咲月を見ればどうやら今も好きらしい。味の好みは変わってないようだ。
「後は、お洒落な料理も好きだった。カフェとか行ってみたいって」
と続けて言えば。
「確かにカフェとかよく行くかもしれません」
と自分でビックリしながら言ってた。
何だか面白くて他にも聞きたいこととかない?と聞いてみることに。
「あ、何か好きだった事とか、場所とかも聞きたいです」
と真剣に聞いてきた彼女に俺も真剣に答える。
「きれいな景色とかが好きだった、イルミネーションとか。
でもそういうのよりも、案外公園とかから見える景色が好きだった」
あと写真も好きだった気がすると付け足した。
彼女は律儀にもメモを取っていた。
すると涼太とヒマが顔を合わせてから俺に聞いてきた。
「なぁ、相馬お前バイト掛け持ちしてたよな。何やってたっけ。」
と涼太が聞いてきたので裏があることは分かったが答えた。
「えっと、カフェと、ピザの宅配と、イベント会場のスタッフとか?」
「イベント会場って何、公演とか、あの、、イルミネーションとか?」
とすぐさま聞いてきたのでそうだなと返すと。
二人は少しヒいているようだった。何とでも思われてもいいと気づかないふりをした。
咲月はそれを聞いてすごいです!とか言って目をキラキラさせていた。
それはそれでと思ったがとにかく流すことにした。
「つってもやめたけどな、宅配とイベントは」
涼太は何だか意味を理解したらしい。
女子達は分かっていない様子だった。
そんなこんなで昼休みを過ごしていると授業が始まるからと皆は席に戻っていった。
何だかこんな日も良いもんだと俺は窓に向かいながら気づけば笑みを浮かべていた
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに!。