夢の中?
目覚めるとそこは白一面の部屋?世界?見渡す限り真っ白な空間に誰かが横たわっいる。歩はその横たわっているものに近づくと、それは人であり、どう見ても自分のようだった。自分がそこに横になっているという事は、死んでしまった。ここにいる自分は肉体から抜け出した魂?もしかして肉体に戻ったら復活するとか。歩は横たわっている自分に、てを触れようと何度もしてみるが、空をきるばかりで触れる事はできない。奥の方から誰かが近寄って来る。見覚えのあるその姿。おい、さき、咲。ここ、ここだよ。久々に見た咲の姿に思わず興奮して呼びかけてしまうが、咲にその声は届かないようで、終始暗い表情のまま、横たわる自分の横に座る。
「歩。ごめんね。私を助けるためにこんなに傷ついて。私にそんな助ける価値なんてないのに。私が父を殺してなんて願ったばかりに、歩のお父さんや本当の父親を殺してしまうなんて。そんな私は、本から出てきて生きてしあわせになんてなったらダメなの。さっき、歩の気になっていた黒ずくめの女性が、魔法を使いすぎたら本に帰っちゃうんだって言っていたよね、だからね、私、歩を治療するのにたくさん魔法を使って本に帰るの」
「おい、やめろ、そんなことをして何になる、自分の父を殺したって、自分の親父は失踪だから、死んでないから」
歩が必死で叫んでみても、その声は咲には届かない。歩の体の手を乗せ、何かを唱え続ける咲。歩の叫びもむなしく咲の体が透けて来るのがわかる。
「今までありがとうね。さくらちゃんにも合わせてくれたし、短い間だったけど楽しかったよ。さようなら、あゆむ」
「待ってくれ咲ーーー」
歩の叫びも虚しく、咲は霧のように消えていった。そこに残されたのは、身動き一つせず横たわる歩の姿。そこにスポットライトが当たると開演を告げるベルが鳴り響く。
そして幕は上がった。




