これは遊びじゃない!
1時間後、この空間では体の疲れは出ないが精神的な疲れが溜まってきてはいる。だが、何とか遊びが終わるまで避けきることが出来た。いきなりすべての攻撃が止まると、
「おーわり」
と可愛らしい声が公園全体に響いたと思ったら少女が少し俯いた。しかし、すぐに顔を上げるとさっきと同じように新たな遊びを俺達に告げた。
「たたかって」
「は?」
「え?」
「ん?」
俺達は攻撃が止んだ後少女の前に集まっていた。そして、予想外の言葉に間抜けな声が出てしまった。戦って?蓮君の話には出てこなかった遊びだが、戦ってって物騒だな・・・・いや、さっきの遊びも相当物騒だったが。言葉のが表す遊びが分からず、全員首を傾げていると少女がいきなり宙に浮かび上がると地面から黒い泥のようなものが溢れてきた。
「うわっ」
「なんだあれ?」
「此処に来る時見たやつに似てるわね」
湧き上がる黒い泥から距離を取りながらしばらく観察していると、泥が突然2mくらいまで噴き出すと周りに散った泥が段々形を作っていき1mくらいの子供の姿と成っていった。その数は10体、子供の姿なら可愛らしく思うがその手に持っているものが全く可愛らしくない。1mをゆうに超える大剣を持っている者が2体、ミニガンのような物を持っているのが1体、チェーンソーが2体、ロケランが一体、後は全員槍を手に持っている。
「戦ってってそういう事かよ!」
「見た目は可愛いのに持ってるもの最悪過ぎない!?」
「ミニガンとロケラン最優先!あんなん撃たれたら一溜りもない!」
戦ってと言う意味を理解した俺達は、慣れたように武器を取り出すと一番の脅威であるロケランとミニガンに飛び出していく。子供の黒いの達は、少し散らばっていて固まっていない、速攻をかけるなら今がチャンス。俺は威力を重視しデザートイーグルを作り出し、しっかりと両手で持つと歩みを止め2体に3発ずつ撃ちこむ。ロケランとミニガンは撃たれた衝撃によって体勢を崩したので、その隙を逃さず夢さんはロケラン、陽太はミニガンに切りかかり真っ二つにされた2体は消滅した。
「よし、後は近接のみ」
「槍は近づくのがあぶねえ、遊斗!」
「あいよ!」
攻撃していて気付いたがこいつら足は全然速くない。ただ、攻撃は速いので槍に近づくのは危険だ。俺は陽太に言われた通り、2つFN-SCAR-Lを作り出すと2人に渡し俺も自分の分を作ると、こちらに向かってくる黒いのたちに一斉掃射を始めた。
この1週間常闇の世界を探索した収穫はこれだ、仲間同士での武器の交換。夢さんの「武器って交換できないのかしら」という発言からやってみたら交換できたのだ。ただし、武器を作り出す体力はその個数分持ってかれるし使うと体力も持ってかれる。だが、今の様に全員が射撃武装で黒いのを殲滅することも出来るし、夢さんの高火力武器を3人で持つことが出来る。これにより、対応力や作戦の幅が物凄く広がった。
遠距離攻撃を持たない黒いの達は、俺達の一斉掃射になすすべなく、一体また一体とどんどん消滅していき、3回目の遊びは俺達の圧勝で終えることが出来た。最後の一隊が消滅すると宙に浮いていた少女が地面に降りてくると、また俯く。さっきより長く3分ほど俯いていた後何事もなかったように笑いだすと次の遊びを告げる。
「に~げて」
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