全力の遊び
引きずり込まれたことによって、今まで色がついていた世界が一瞬で真っ黒に変わり目の前には少女の姿が・・・・
作戦は成功みたいだけど、いざ会ってみると凄い威圧感だな・・・・
覚悟は決めていたとしても、実際に対峙すると後ずさりする程の威圧感と恐怖。周りを見渡すと俺と同じように少女を見て固まっている陽太と夢さん。そして、少女から発せられるのはお決まりの言葉
「遊びましょ」
可愛らしい少女の声なのに恐怖しか感じられない。逃げ出したい気持ちを抑え込み歯を食いしばり少女の問いかけに応える。
「あぁ遊ぼう」
「ふふ、ふふふふふふあはははははははは 遊びましょ遊びましょアハハハハハ」
問いかけに答えると少女は頭をガクガクと動かし空を見上げると狂ったように笑いだした。そして、少女の足元から黒い泥のようなものが溢れていき俺達と周囲を囲い始めた。泥は俺達に覆いかぶさるように形成されていきすっぽりと俺達を覆ってしまった。囲いが完成すると同時に周囲の景色も切り替わる。さっきまでは小さな公園に居たはずなのに今は倍以上ある公園に居る。これも少女の力なのか?
「夢さん陽太大丈夫か?」
「えぇ驚いたけど大丈夫よ」
「おう、なんとかな」
あっという間に周囲の景色が変わってしまったことに唖然としていた2人だが、声を掛けるとすぐに気を引き締め少女を捉えた。少女は公園の中心におり、変わらず笑い続けてる。俺達は顔を見合わせると頷き、少女に近づくとグルンと少女が首を動かし俺達を見ると楽しそうな声で
「つーかまえてー」
そう一言言うと、笑いながら舞う様に走り出した。俺達はいきなりの事に驚いたが少女が言った言葉を理解し俺達も走り出す。
少女との追いかけっこが始まった。
「待て!」
「ちょっと何であんな早いのよ!」
「追いついたと思ったらパッと消えやがる」
こっちには元陸上部の陽太が居るのに全然捕まえることが出来ない。跳ねるように舞う様に少女は走っているのに早さが異常なのだ。しかも少女は体力という概念が無い、疲れることを知らず一定の速度で走り続けている。このままじゃ絶対に勝つことは出来ない。さらに厄介なのはやっとのこと追いついたら、パッと姿が霧のように消えてしまい遠くに移動してしまうのだ。
「こりゃ正攻法じゃ無理だな」
「だな。このままじゃ体力を消費するだけだ」
「そうね・・・・私の鎖で拘束しちゃう?」
俺達は軽く追いかけながら作戦会議をしていた。確かに夢さんの鎖なら簡単に捕まえられるだろうが、その方法を取ってもルール違反にならないかが心配だ。少女からは捕まえてとしか言われてないから多分大丈夫だろうけど・・・・
「いや、もう少し様子を見よう」
それから少し手を抜きながら少女を追いかけているとあることに気付いた。夢さんも気付いたのか頭を傾けながら
「あれ?もしかしてこれ同じ場所をずっと走ってる?」
「夢さんも気付いた?」
「ん?どういう事だ?」
陽太は気づいていないので、少女の動きを説明する。
「この公園は大きな四角形になってるんだ。そして、さっき少女が居た場所を中心として左上の角には色々な穴が開いているトンネルの遊具、右上の角には滑り台右下にはジャングルジム、左下にはブランコって配置になってる」
「そうだな」
「それで少女は中央から右上、右下、中央っていう順番にしか走ってないんだ」
「順番が分かったとしても近づくと消えちまうんだ。あんまり役に立たないんじゃないのか?」
「いや、消えた後に現れる順番も決まってるんだ」
「そうなのか?」
「そうよ、右上で近づいたら右下にワープ、右下で近づいたら中央にワープ」
「じゃあ中央で近づいたら右上にワープなのか」
「そう、なら私達3人がばらけて3つの場所に居て走ってくる少女に近づいてワープさせれば」
「ワープ先で待ってた奴が捕まえるってことか」
「そういうこと」
「よしじゃあ早速」
俺達は少女を捕まえるために、作戦を開始した。
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