初めての喧嘩
「恩って・・・・あのことはもう終わった事だろ?」
「俺は遊斗のおかげで今生きてられるんだ、遊斗は気にしなくて良いって言うけど俺には大切な事なんだ」
遊斗は怒りの表情を治め苦しそうな顔をしながら叫ぶように答える。
まだあの事をそんな風に思ってたのか・・・・
昔の件が有ってから、陽太の態度が少し変わったとは思ってたけどそこまで重く捉えてたなんて思ってなかった。
「俺は他人の命より陽太の命の方が大事だ。だから、お願いだ・・・・あいつと戦うのは止めよう。どうにもならないことだって有るんだ」
陽太はしゃがみ込み床に座ってる俺の方に手を載せながら顔を覗き込み、悲願するような顔で言ってくる。陽太の気持ちは分かる、人の命に優劣なんて付けられないとよく言うが、赤の他人より親しい人間の方が大切だと俺は思う。よく分かるが・・・・
「陽太、ごめん。俺は力がある以上は戦わないと」
「そんな義務、遊斗には無いだろ。戦える人間全員が、戦う訳じゃない。強大な力を持ったとしてもその力を大衆の為に使う義務なんて無いんだ」
「・・・・」
この力を手に入れた時特別になれたと自分でも思った。この力が有れば、色々なことが出来ると思って行動してた・・・・だけど、違った。俺の力で出来ることはほんのちっぽけな事。見える物しか助けられない、相手によっては見える物でも助けることが出来ないと気付かされた。ちっぽけない自分を恨んだし、何も出来ない自分が嫌だった。全部を助けることは出来ない、少しずつなら助けることは出来る。だから、今度こそ目の前にあることは助けたいって思うんだ。
「陽太、聴いて欲しい」
「・・・・」
俺は陽太の目を見ながら
「確かに、行方不明になってる人は他人だ。何の関わりも無いし、助ける義務もない。だけど、俺は助けられる人を見過ごせるほど強くないんだ。前は助けられないかった、だからこそ今度は助けられるなら助けたいと思うんだ」
「・・・・強いよ。遊斗は」
「ここで助けられる人を見捨てたら、遊斗を助けたことも否定することになる。だから、助けたいんだ」
「・・・・その言い方は狡くないか」
「ごめんな」
陽太は頑固だから、こう言わないと意地でも俺を止めるだろう。だから、狡い言い方をした。陽太は顔を俯かせると、息を大きく吸い顔を上げると何時ものしょうがないなという諦めているけど優しい顔を浮かべていた。
「しょうがないな・・・・遊斗は。どうせどんなに止めても、行くんだろ?」
「うん」
「じゃあ、少しでも生き残れるように一緒に行ってやるよ」
「まだ、死ぬって決まった訳じゃない。きっと突破法があるさ」
「俺だって見ず知らずの人だとしても助けたいって思うさ。なんとしてでも止めよう、だけどこれが終わったら俺を心配させた罰として何か奢れよ」
陽太は何時もの明るい笑顔で言うと、立ち上がった。まだ、少女の情報が少ないだけで勝てないと決まった訳じゃない。きっと弱点があるはずだ。話がひと段落して時計を見ると朝のHRまで後5分という大変な時間になっていた。
「やばい遅刻する急ぐぞ陽太!」
「おう」
大慌てで鞄を掴み身支度を済ませた俺達は、時間ギリギリで教室に駆け込むのであった。
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