神隠し
ランタンや対処法を知っていればあの世界を生き抜くことは出来るが、何も知らない人間があそこに迷い込んだらほぼ確実に死が待ち受けているだろう。運よく俺みたいに案内人と出会えたら、何とかなるだろうけど案内人も神出鬼没だからな~会える確率は低いな。
「もしくは、俺達みたいに力があれば何とか生き残れるかもな」
「あれって入った奴全員が使えるようになるのか?」
「俺達以外であそこに入ったことがある奴を知らないから知らん」
「武器は誰でも使えるかもしれないよな。俺でも使えるし」
あっちの世界に行ったことによって俺も陽太も、光の武器を作り出す力を得た。俺は他にもあっちに行く力を得たが陽太は得られなかったので入った全員が光の武器を使える可能性はある。光の武器さえ使えるようになれば1日は持つだろうな、脱出できるかどうかは別にして。
「でも、あれ体力ごっそり持ってかれるんだよな・・・・」
そう、光の武器を使うと体力を持ってかれるのだ。何回か使うだけなら何とかなるが長時間何十回も使うのは、長距離走の選手だった陽太でも無理だ。体力が切れる前に安全地帯か脱出方法を見つけないと黒いのの餌食となるだろうな。
「そんなほいほいあっちの世界に行っちゃうことも無いだろ。あっちで入った時は誰とも出会わなかったし」
「それもそうだな。黒いのはこっちの世界に来れないんだろ?」
「しっかりと出て来ることは出来ないと思うぞ。一部なら出てこれるけどな」
俺は電車の扉の隙間から出てきている黒い手とエアコンの格子から覗く目を指さしほら、そことかと言うと陽太はビクッとしながら指さした所を見るが陽太には見えない。
「見えないんだからそんな吃驚しなくても・・・・」
「見えないって言うのが逆に怖いんだよ!見えればまだ対処の仕様があるけど見えないと、どうしようもないだろ」
そういう物なのか~俺には常に見えてるからもう慣れちまったけど、居るのに見えないって確かに怖いな透明人間みたいだ。俺はあっちの世界に行く前から見えてたけど、陽太はあっちの世界に行ってもこっちでは見えない。
「確かにな~でもこっちの世界では黒いの気にしなくても大丈夫だぞ」
「分かってるけど、嫌なもんは嫌なんだよ」
黒いのは常闇の世界だと活発になり人を食べるほど力を持つが、こっちの世界では弱ってしまうのか体の一部しか出せないし出てる一部に触ったとしても、少し気分が悪くなるとか少し体が重くなるとその程度だ。命の危険があるレベルで俺達に影響を与えることは出来ない、まぁ例外はあるけどな。そんな事を喋っていると電車のアナウンスが駅名を告げる。
「次はー夜柱駅、夜柱駅です。お出口は右側です」
「お、次だな」
「早くなんか食べたい」
駅に着くと、多くの人が降りるため人の波に飲まれそうになるが何とか耐え改札に上がっていく俺達。こんなにも人が移動しているのに、誰一人逆走や1人当たらない様に気を付けてるのは凄いなと毎回思う。機械的に歩いていくのは俺達も一緒だけどね。改札から南口に出ると、正面にはロータリーと左には大きな百貨店、右には色々な専門店が並んでいる。おっカメラ専門店が在るのか、今度寄ってみよ。駅のすぐ隣にあるコンビニ入るとそこそこ人は居たが、目当ての商品はまだ残っていた。
「お、色々残ってるな~サンドイッチにしよっ陽太はどうすんだ?」
「お目当ての新作おにぎりが残ってたからそれにした。ほれ、水も買うんだろ」
「あざ~す」
レジに並び会計をすますと、外で行儀は悪いけど立ち食いすることにした。大きな駅だから人通りが多いな~
「そういえば、新作おにぎりって何味なんだ?」
「激辛豚チャーハンだぜ。一口食べるか?」
「要らないっす」
見せてもらったが、米と肉が真っ赤に染まってて見るだけで辛くなってくる。辛いのが苦手って訳じゃないが流石にあの赤さは火を吹くって。あれを新作にするのは中々チャレンジャーだなコンビニ。そういえば前にガッツリニンニクチャーハンおにぎり出してたな・・・・チャーハン推しなのかこのコンビニは。
「中々美味いなこれ」
「良く平然と食べれるなそれ」
「見た目よりは辛くないぞ?」
こいつの、味覚は信用ならないんだよな・・・・嫌いな物がないから何でも食べるけど、変な味とか不味い奴でも食べれなくはないで完食しやがるから何度被害を受けたことか。
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