黒き者達を抜けて
俺達は屋根から立ち上がると勢いよく助走をつけ、安全地帯に飛び込んだ。安瀬地帯の大きさは直径4mくらいの円、その真ん中に子どもが倒れ込んでいる。子供を踏まないよう気を付けながら着地し、二人には周囲の警戒をしてもらい俺は子供の生死を確認する。見かけは中学生くらいの少年、行方不明になった子で間違いないだろう。もしも、死んでいた場合2人には負担が大きすぎる・・・・頼む生きていてくれ。
首に手を当て脈を確認すると、弱々しいが脈はしっかりと有った。呼吸もしてるが、体をゆすっても意識は戻らない。
良かった生きてる・・・・だけど弱り切ってるな。早く病院に連れて行かないと不味いな。
俺は、少年を背負い心配そうに見ている2人の目を見ながら
「大丈夫、生きてる。だけど早く病院に連れて行った方が良い、外傷はないけど黒いのに体力を吸われてるかもしれない」
「良かった・・・・すぐに脱出しましょう」
少年が倒れていた傍には鞄が置いてあり、中には水とお菓子が入っていた。これのおかげで今まで生きてられたんだろう。少年を背負いながら、鞄を回収した。
「それじゃあ、作戦通りに。両手がふさがってるから俺は援護が出来ない」
「任せろ、最短で抜ける」
「早く病院に連れて行きましょう」
陽太は剣、夢さんはショットガンを構え安全地帯のギリギリまで近づき大きく息を吸い込むと、陽太から激しい光が発せられると同時に黒いのの集団に向かって光を放つ衝撃波が撃たれた。
黒いのは衝撃波に当たり吹き飛び、家の塀までの一本の道が作られた。俺達は衝撃波が撃たれたと同時に道を走るが、人の気配を感じ黒いのが押し寄せ道を塞ごうとしてくる。伸びる黒い触手や腕、もしあの手に掴まれたら終わりだ。押し寄せる手を避けるように走っていると前方に居る夢さんが淡く発光し始めた。
淡い光は段々強くなっていくが、それと同じように拓いた道にどんどん黒いのが集まってくる。早く黒いのをどうにかしないと全滅だ。手長を拘束したような強い光はまだ夢さんから放たれていない。黒いのが俺達を捕まえるまであと少しの距離、だけど夢さんならやってくれる。
その時目を覆うほどの力強い光が夢さんから発せられた。
夢さんから発せられる光がはじけるのと同時に地面から無数の鎖が出現し、黒いのたちを拘束していく。鎖で縛られた黒いのは指一本動かせないようで、固まりながら道を作っていた。俺達は黒いのが拘束できたことに喜びながら、作られた道を走り抜け塀に昇り屋根に上ると黒いのが居ない場所を探し、一旦ショートカットに少年を連れて行った。
ショートカットに入ると少年をソファーに寝かし、この後のことを話すために2人を見ると心配そうな様子で
「早く病院に連れて行かなきゃね」
「それが問題なんだ」
「え?」
「現実世界では少年を探して多くの人が動いてる。その人たちにどうやって説明するかが問題なんだ。警察に事情聴取もされるだろうから、全員で口裏を合わせておく必要がある」
「そっか、こっちの世界で見つけたなんて言えないもんね」
「幸い、この住宅地の近くには大きな林がある。そこで見つけたことにしよう。探していた理由は、ネットで行方不明になった子供を探してると聞き手伝おうと思ったって理由で」
「「分かった」」
俺は少年を抱え直し林の近くの扉で、現実世界に戻りスマホで救急車を呼ぶ。
「119番消防署です、火事ですか?事故ですか?救急ですか?」
「救急です」
「救急ですね。今いる場所は分かりますか?」
「はい。夜柱夜鳥○○ー××です」
「どのような状況ですか?」
「林で倒れている少年を見つけて、呼吸は有るんですが脈が弱く呼びかけに答えません」
「救急車が向かってます、道路から見えるようにしておいてください」
「分かりました」
俺達は通報をしながら一旦林の奥に入り、出るという行為をし怪しまれないように足跡を残しておく。少年を横にしながら、オペレータの人に現状報告をしながら待っていると約7分後救急車の音が聞こえてきた。陽太に救急車から分かりやすいように道路に出て手を振ってもらうと俺達の前に救急車が停まった。
「通報者の方ですか?」
「そうです、この子が林で倒れてて応答もしないんです」
「分かりました。僕聞こえるかな?聞こえたら手握ってみて」
救急隊員の人は横になっている少年の胸に聴診器を当て心臓と呼吸の音を聞くと肩を叩き意識を確かめた。
「応答なし、病院に搬送します。付き添いはどなたが?」
「全員付き添います」
「分かりました」
救急隊員たちは少年をストレッチャーに載せ、救急車に運び込むと俺達も乗り込む。救急車は病院へと向かい走り出した。
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