あの数は無理
「来た・・・・」
戻ってきた通り魔は周りを見渡し、敵がいないことを確認している様だ。周囲を注意深く見渡し、居ないことを確認すると猛スピードで道を駆け始めた。
「速っ!」
「見失う!」
通り魔は持ち前の素早さを発揮し一本道を猛スピードで駆けていく。何とかカメラを使って姿を捉えてはいるが、カメラがない場所に行ったら追いきれない。通り魔の後ろを付いていくには速すぎる。
「家の上に!この先は道が入り組んでる少しはスピードが落ちるはずだ」
陽太の声に従い家の上に上り、家の屋根を走り家から家へと飛び移りながら通り魔の後を追い駆ける俺達。道が入り組んでしまえば、直線距離で動ける俺達の方が速い。十分に追いつけるはずだ。目論見通り通り魔は入り組んでいる道を曲がるためにスピードを落とさなけらばならなかった。素早く直角に曲がりながら道をどんどんと進んでいく通り魔。この先にきっと・・・・
屋根を走りながらある程度距離を空けながら、付いていくとどうやら通り魔は結び氏の中心に向かっている様だ。建物はすべて黒塗りになってはいるが、見覚えのある景色が見えてくる。このまま進むと駅のはず・・・
「隠れろ!!」
突然先行していた見吾が叫ぶと、家の屋根に横になったので俺達もそれに続き屋根に隠れると見吾が無言で指をさす。
「うわ・・・・4体か」
「あの数を相手するのは無理ね」
「見た目も変わらないし、恐らくほかの分身体じゃないか?」
指さした方を見てみると、駅周辺に通り魔と同じ個体だと思われる黒いのが4体集まっていた。その4体は近づいてきた通り魔を見るが動くことは無い。俺達が追いかけてきた通り魔が合流すると一緒にまた走り出した。
「あいつら、何してるんだ?」
「さぁ?仲間を待ってたって感じだっけど」
「あんなに沢山いたのね。今まで同時に現れなくてよかったわ」
「ふむ、このまま進むと・・・・」
合流し5体となった通り魔を追い駆ける俺達。周囲にいる黒いのや後ろには見向きもせずただひたすらにどこかを目指して走る通り魔。見吾の言う通りこの先にあるものと言えば・・・・
「結神社だな」
「この先にあるものと言ったらあそこしか無いけど・・・・どうしてかしら」
「さぁ?分からないけど行けばわかるんじゃないか?」
通り魔は俺達が予想していた通り、結神社の前まで来ると通り魔は階段を登り始める。
「やっぱりか・・・・」
「この先って社があるぐらいで他に何もないよな」
「えぇ、神社の先は森が広がっているだけで建物は何もないはずよ」
「地図でも建物は映ってないな」
「じゃあ目的地は結神社か」
おそらくだが、この階段を上った先に通り魔の本体が居るはずだ。会談は社まで続く長い長い階段、上から見下ろされたら丸見えだから、少しずつ会談の端に生えている木に隠れながら一定の距離で付いていく。
この階段キッツ・・・・あのスピードで駆けあがるとかマジでやめて欲しい。
体力はあるけど、全力で階段ダッシュはきついって。見失う訳にはいかないから通り魔が登りきる前に早く行かないと。あと少しで通り魔は登りきれば戦いが始まるはず、登りきる前に息を整えみんなと目を合わすと階段を登り切った。
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