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常闇の街を今日も俺達は散歩する  作者: 和吉
1学期 連続通り魔事件編
154/155

やるべき事は

 声と同時に光によって俺達が照らされる。その光を持つ人は・・・・


「大藏刑事・・・・」

「君たち何をやってるんだ・・・・!?」


 誰も居ないと思っていた建物から出てきたのは、大藏刑事だった。懐中電灯で俺達を照らし、険しい表情で俺達に向かってくるが俺たちがやっている事に気づいたらしく驚きの表情へと変わる。


 しまった・・・・まさか建物の中にいるとは思ってなかった。現場を見られたらもう誤魔化しようがない。どうする・・・・


 混乱する頭をどうにか落ち着かせようと、色々と頭を回すが良い案は思いつかない。みんなの方を見てみると、反応は三者三様だった。陽太は顔をしかめこの状況をどうにかしようと考えている様で、夢さんは驚きで固まってしまっている。見吾は特に反応することなく通り魔を逃がさないように睨みつけていた。


「何をやってるって訊いてるんだ」


 問いかけに答えない俺達にもう一度語気を強めながら聞く大藏刑事。なんて言い訳すれば・・・・真実を話すか?いや、本当のこと言っても信じてくれないだろう。どうしよう、どうしよう、どうしよう


 心は焦っているのに、体は硬直して動かない。でもこの状況を何とかしないとどうしようもない。


冷静に考えるんだ、今やるべきことはなんだ?


 もうすぐで消えてしまう通り魔、答えない俺達に、近づいてくる大藏刑事。今捕まったら通り魔を逃すことになり退治できる人間もいなくなってしまう。自由になった通り魔は呼び出した人間が飽きない限り永遠と人を傷つけ続ける。そのうち傷つけるだけじゃなく、殺し始めるだろう。3人には悪いが、今やるべき事は・・・・



「俺達はやらなきゃいけない事をしてるだけです」

「は?答えになってない」

「今それを答えてる暇はありません」


 未だに通り魔を見て困惑している大藏刑事の目を見て答える。この後捕まるかもしれなくても、今やるべきことをしなくては。


「みんな行くぞ」


 もうすぐ通り魔が消えてしまう急がなくては。俺の声に頷いた3人は、当てていた光を消すと無言で俺の元へ走ってくる。唖然としていた大藏刑事はハッとなり


「待て!」

「待ちません」


 3人は俺が開いた扉の中に入り、最後に俺が扉に入ろうとすると大藏刑事に腕を掴まれ後ろへと引かれる。後ろを振り返ると、険しい表情で俺を見ていた。


「何をしてるんだ、一体あれは何なんだ?」

「・・・・今それを説明してる暇は無いんです。知りたいなら後で説明します、だから手を放してください」

「俺は刑事として怪しい奴を見逃す訳にはいかない」

「逃げませんよ、明日丁度休みなので時間は作れます。なので、明日の夜9時この場所で会いましょう」

「・・・・信用できない」

「俺のこと色々調べたんじゃないですか?住所も学校も顔も知られてるのに逃げませんよ。急がないといけないので」


 俺は捕まれた腕を強引に振り払うと、扉へ一歩踏み出した。


「・・・・同行させてもらう」

「無理です。足手纏いなので、死にますよ?」

「・・・・君たちは何をやってるんだ?」

「生きてたらまた明日」


 背中に強い視線を感じながら、俺は常闇の世界に入り扉を閉めた。扉の席には3人が待っており俺に少し目線をよこすとすぐに視線を直した。視線の先にはすぐに動きそうな通り魔もう体の8割は出来ている。俺達は塀を登り物陰に隠れながら、通り魔を観察することにした。


「ごめん、俺の確認不足だった」


 俺1人ならいいが、みんなを巻き込んでしまうとは・・・・最悪だ。


「遊斗のせいじゃ無いさ。まさか、あんなところに潜んでるとは思ってなかったし。それに、遊斗と活動する時に覚悟決めてるって」

「そうよ、気にしないで。私達正しい事をしてるんだから周りに何言われようが関係ないわ。たとえ捕まったとしてもね」

「うむ、正しい事をしてるんだ。気にすることない」


 3人とも笑い飛ばしながら、言ってくれた。優しすぎるだろ・・・・絶対に通り魔を倒して後でお礼しないとな。まぁここで言ったら死亡フラグになるか言わないけど。話している間に、通り魔の体があと少しで戻ってくる。


「少し時間があったから道沿いにカメラは置いてある。それで追えるだろう」

「ナイス、流石だな」


 俺がこっちに来るまでの間に陽太の能力であるカメラを置いてくれたらしい。流石準備が良いな。大藏刑事が付いてきそうだったからあんなこと言ってしまったが、死ぬ気なんてさらさら無い。みんな無事に帰って打ち上げだ!

読んで頂きありがとうございます!

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