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常闇の街を今日も俺達は散歩する  作者: 和吉
1学期 連続通り魔事件編
150/155

追い返す通り魔

 懐中電灯を持った見覚えのある人物はなんと、何度会った事がある大藏刑事だった。大藏刑事は周囲を探るように懐中電灯を動かし何かを探している様だ。俺達が居る林の方にも光が当たったが、木や草が俺たちの姿を隠してくれている。音を立てない限り見つからないとは思うけど・・・・もし見つかったら・・・・

 俺達は世間の注目を浴びている事件現場に2回もいた。俺が大藏刑事の立場ったら絶対怪しむし第一発見者を疑う定石だ。しかも、今この状況で見つかったら言い訳の仕様がない。さっさとどっか行ってくれ・・・・3人の方を見てみると出来るだけ身を屈め、音を出さないように微動だとしていない。林の方を注意深くなぞる様に照らす光に、汗が額から伝う。心拍が上がり息が漏れてしまいそうだが、口を手で押さえ何とか抑え込む。光が当たったのは一瞬だが心臓に悪いな・・・・林から光が外れると大藏刑事は電灯を見上げ


「外れだったか・・・・ここしかないと思ったんだがな」


 そう、ぼそりと呟くと道を進んでいった。遠ざかっていく光が消えるまで俺達は一歩も動かず、息を殺して光が完全に消えるまで林から出ることが出来なかった。光が見えなくなって5分くらい経っただろうか、ようやく俺達は林から出ると、大藏刑事が過ぎて行った方を見ると、俺は大きくため息をつきながら


「大藏刑事、勘が良すぎるだろ・・・・」

「もしかしたら敢えてここだけ巡回を甘くしたのかもな」

「厄介ね・・・・」

「うむ、その可能性はあるな」

「だとしたらさっさと終わらせた方がいいな、いつ戻ってくるか分からないし」

「だな」


 大藏刑事の言葉から恐らく通り魔のパターンに気づいている可能性がある。伝統を見上げてたってことは、電灯を壊すことにも気づいてるんだろうな・・・・優秀なんだろうけど俺達からすると困った存在だ。まぁこんな大きな事件に関わることなんてそうそう無いだろうけど。俺は3人に目配せすると勢いよく石を電灯へと投げた。


さて・・・・出番だな。


 俺達は携帯を取り出しライトを付けると同時に電灯の真下に通り魔が現れた。いつも通り俺達を襲おうとする通り魔を躱し、4人で取り囲み前回と同じく光を通り魔に当て続ける。光が当たった通り魔は何とかして俺達から逃げようとするが、絶対に逃がさない。前回と同じなら1分くらい当て続けていれば常闇の世界に帰せるはずだ。逃がさないように取り囲みながら光を当てていると道の奥からかすかに光が見えた。


やばい!!!大藏刑事が戻ってきたんだ


「やばい、奥から人が!」

「えっ」

「不味いな」


 こんなところ見られたら一発アウトだ。だけど今やめてしまうと通り魔を解き放つことになる。こっちに来る前に追い返したいけど・・・・!


「前より暴れるな・・・・」


通り魔が暴れて上手く光を当て続けることが出来ない。あまりに近付き過ぎてしまえば、通り魔に攻撃されるし逃げられてしまう。だからと言って遠くでは効果は薄いし、光が弱い場所から逃げてしまうかもしれない。こうしている間に光は段々と近づいてくる。しかも大藏刑事なら電灯が消えてることに気づくだろうし、真っ暗な中に俺達の携帯のライトが光って見えて不審に思うだろう。早くしないと・・・・!


「全員、近づいで至近距離で光を当てた方がいい」


 近づいてくるスピードが速くなったことに気づいた見吾が、静かに強く言う。その言葉に反応して全員で近づき、光をより当てようとするがそれを通り魔が許さない。近づく俺達にナイフを振り回し寄せ付けないように攻撃してくるが、それを4人の位置を入れ替え走り回ることによって躱していく。15秒ほど近くで光を当て続けたら、やっと通り魔が常闇の世界へ帰ろうとし始めた。


よし、この状態になったらもう大丈夫だ。早く逃げないと!


 大藏刑事だと思われる光はどんどん近づいてきている。その光から逃げるように形態のライトを消し反対方向へと走り出そうと体を背けると後ろから


「誰だ!動くな!!!」


 光を期したことによって俺達が逃げようとしているのが分かったのか大きな声を上げる大藏刑事。その声と共に走る音も近づいてきている。


「やばっ!」

「急ぐぞ!」


 ここで見つかったら大変だと全速力で反対側へと走り出す俺達。幸い道が真っ暗なので誰か分かるほど見えてはいないだろう。後ろから追いかけてくる足音を聞きながら、道を先導する見吾。一本道の出口を右へと曲がり走ったその先は倉庫があるだけの行き止まりだった。


「行き止まり!?」

「追いつかれるわ!」

「遊斗、ショートカットを!」


 後ろからどんどんと近づいてくる足音にパニックになりかけたが、見吾の言いたいことが解り急いで倉庫の扉を握りショートカットへつなげる俺。こうしている間に愛音は近づき増えている。ショートカットへ繋ぎ扉を開くと俺達は雪崩れ込むかのように中に入り急いで扉を閉めた。

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