知らない場所だ
目を覚ますと、見覚えのない天井に腕には点滴が繋がっていた。横を見てみると、カーテンで仕切られており、病院独特の薬のような消毒されたような匂いがする。
あれからどうしたんだっけ・・・・?
腹に感じる痛みを我慢しながら起き上がると、看護師が色々と棚を見ながら仕事をしているのが見えたので声を掛けた。
「あの・・・・」
思ってたより小さな声だったが、俺と看護師以外人の気配を感じない部屋だったのでしっかりと届いたようだ。声を掛けた俺に気付くと看護師は俺のベットの横に立つと
「目覚めましたか?気分はどうですか?気持ち悪いとか何処か痛いとかはありませんか?」
「腹が痛いだけで大丈夫です」
「良かったです」
「あの此処は?」
「ここは処置室ですよ、診断している際に気を失われたのでもう治療と診断は終えています。今先生を呼びますね」
「ありがとうございます」
看護師は話しながら顔色や点滴の具合を確認すると、少し離れてPHSで何処かに繋げる。先生を呼び出しているのだろう。そっか俺、気失っちゃったのか・・・・まだ腹は痛むがだいぶ落ち着いている。打撲って時間が経つほど痛みが増していくって言うけど、早く動けるようにならないとな。しばらく待っていると処置室の扉が開き何処か見覚えのある先生が入ってきた。
「おはようございます。痛みは大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫です。マシになりました」
「良かった。自己紹介がまだだったね。日月さんを診断させてもらった医師の松井です。僕の事覚えてるかな?」
「・・・あ、蓮君の時の」
見覚えがあるなと思ったら、蓮君と救急車で来た時に治療してもらった先生だ。そっかこの人救急担当の人だったのか。
「覚えててくれたみたいだね。それで日月君の診断結果なんだけど、少し時間かかるけど大丈夫かい?辛かったらもう少し後にするけど」
「大丈夫です」
松井先生は心配そうに俺の顔を見るので俺は笑って返した。事実もう痛みはマシになっているし、少し動くと鈍い痛みが腹に走るが動けない程じゃない。
「そう?辛くなったら我慢せずに言ってね。それじゃあ、診断した結果だけど重度の打撲だね。腹部の広範囲に内出血を起こしてる。何で怪我したのか教えて貰っても良い?」
あ、ヤバ。この怪我の言い訳を考えてなかった。どうする?素直に蹴られたなんて言えないし、ぶつけたと言い訳するにも何にぶつけたんだ。腹にぶつかる物なんて・・・・ヤバい早く答えないと怪しまれるな。もしかしたら、陽太達から聞いてるかもしれないけど、それと合って無かったら不味い。え~と・・・・
「一緒に来た友達から聞いてなかったんですね」
「うん、ここまで広範囲の酷い打撲なんてどうしたのかなって」
良かった~陽太達からは聞いてないみたいだな。・・・・そうだ!
「友達と公園で遊んでたんですけど、躓いてブランコの柵に腹ぶつけちゃったんですよ」
「そうなのかい・・・?元気だからって気を付けなきゃ駄目だよ」
松井先生はあまり納得してないみたいだが、気を付けなきゃ駄目だと真剣な表情で言う。
「はい、次から気を付けます」
「うん、遊ぶのは良いけど気を付けてね。それで、酷い打撲だったから超音波でお腹の中を見たんだけど内臓の出血は見られなかった。だから、安静にしておけば大丈夫。ここまで酷いと炎症を起こして晴れると思うから、湿布と痛み止め出しておくね」
「分かりました。ありがとうございます。治るのにどれくらいかかりますかね?」
「そうだね~完全に治るのは2週間ぐらいかな。4、5日経てば痛みもだいぶ楽になると思うよ。早く治したいならしっかりと安静にしておくこと、激しい運動とかはしないこと」
思ったより治るのに時間掛かるな・・・・最悪だ。早く行動するのが大事なのに。
「良いね?」
「はい」
俯く俺に言い聞かせるように言う松井先生の言葉に頷くと
「よろしい、点滴が終わったら帰って大丈夫だよ。診察券持ってないよね?」
「持ってないです」
「それじゃあ、これ受付に持って行ってね」
診断書を貰った俺は松井先生にお礼を言うと、お大事にと松井先生は部屋から出ていった。それを見送ると、俺はベットに横になって腕で目を覆った。
最悪だ・・・・完全に俺が足を引っ張ってる。俺が一番あそこの危険性を知っているのに、俺が一番経験を積んでいるのに情けない。俺達しかやれないのに。
自己嫌悪に陥っていると、また部屋の扉が開き見てみると、陽太達が心配そうな顔でベットまで早歩きで近寄ってきた。
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