明確な悪意
取りあえず、石は後で適当な場所に捨てるとして先ずは通り魔を倒したことを祝おう。
「今って何時くらい?」
「10時半前くらいだな」
「全然経ってないのね」
「早めに片付けれたからな~」
明日も学校が有るしあまり夜遅くになるのは良くない。という事で通り魔を倒したお祝いは明日の放課後にすることにした。俺はみんなを最寄り駅に送ると、陽太と別れ自分の部屋に帰ると通り魔の儀式が分かった時から考えていることを整理することにした。考えをまとめるためにノートを引き出し、書き起こしてみる。
まず、通り魔の出現条件だ。通り魔を現実世界に出現させるためには、夕方から夜明けまでの太陽が落ちた時間帯に道にある電灯を壊す必要がある。つまり、見吾がやったように誰かしらが電灯を壊さなければならないのだ。何かの事故で、電灯を壊してしまい通り魔の出現条件を満たしてしまったという事は無くはない。だが、昨日までの通り魔事件の件数を数えると13件、しかも毎日起きているのだ。絶対にこれは意図的だ。
最初は通り魔が自分で電灯を壊しているのかと思っていたが、今日会った様子と見吾の分析では光に弱いという事が分かった。そのため、わざわざ光に近づくようなことはしないだろう。そもそも、出現条件が電灯を壊すことなので通り魔が壊すことは不可能なのだ。
つまり、通り魔を意図的に呼び出し人々を襲わせている人間が居るってことだ。どうやって、通り魔の儀式を知ったのか分からないが何回も呼び出しているという事は完全に悪意があるだろう。今回は、通り魔を倒したのでそいつの手段を奪ったが、引き続き調べた方が良いだろう。きっとそいつは、通り魔を呼びだせなくなったことに怒り何か行動するかもしれない。もしくは新たに黒いのを呼び出す儀式を模索する可能性もある。一回こんな犯罪をしておいて大人しくしてる訳ない。
分からないのが、どうやって電灯を壊しているのか。何故こんな事をするのか。常闇の世界についてどこまで知っているのかだ。こんな事を仕出かす奴が常闇の世界について色々知ったら危険すぎる。あそこは、簡単に完全犯罪を成立させる事が出来る。みんなには通り魔に集中して欲しかったから言わなかったが、この事を伝えた方が良いか・・・・・
俺はペンを置くと、ソファーに寄りかかり腕で目を覆う。
はぁ・・・・どうしようかな。黒いの相手ならまだいいけど人間相手はな。隠し事をするみたいで悪いけど、暫くの間は黙っておくか。
人間を相手にするのと黒いのを相手にするのは勝手が違い過ぎる。人間同士の戦いは、卑劣で心を蝕まれる事だってある。みんなには体験して欲しくないな・・・・
俺は、人が関わっている事を秘密にすることを決め密に通り魔事件を調べ続けることを決めると、さっさとシャワーを浴び眠りについた。
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