新たな疑問
現実世界に戻ってきた俺達は、コンビニで飲み物を買い少し休憩した後結市市内を見て回る事にした。見吾曰く結市はそこそこ大きな市であり、俺達が居るのは結市の中心地とも言える場所らしい。中でも結神社は縁結びとして有名であり、わざわざ他の県から来る人もいるとのこと。俺達4人では結市全体を見て回ることは出来無いし、事件が起きた時瞬時に駆けつけることも出来ない。通り魔に会えるかどうかは完全に運しだい。少女みたいに誘き寄せることが出来ればいいんだが・・・・
「そろそろ日が暮れるな」
「うむ」
「またこの辺に現れてくれると良いんだけど・・・・」
「ここじゃ明るすぎる。もっと暗い場所に行こう」
俺達が今居る場所は人通りが多く、電灯や店の明かりで黒いのが出る可能性は極めて低い。もっと暗い場所に行かなければ・・・・俺達は人通の多い道を抜け住宅街まで来るとどんどん人通りが減っていった。道を歩いている途中よくパトカーや見回りをしている警官に出会ったが気を付けるようにと言われただけだった。連続で事件を起こしている通り魔、警察が警戒するのも当たり前だな。・・・・あれ?
「なぁ」
「?どうした」
俺はふと思いみんなに声を掛けると、急に立ち止まった俺を不思議そうに見る。
「昨日の被害者の女性何であんな真っ暗な場所を歩いてたんだ?」
「え?」
「だってこんなに事件が起きているのに女性一人であんな真っ暗な道を歩くのは不用心すぎないか?」
あの時は犯人を追いかけるのに必死だったから思わなかったが、あんな場所を1人で歩くのはいくら何でも不用心だ。しかも前日事件が起きた場所の近くなのに、わざわざ暗い道を通るか?
「確かに・・・・変ね」
「あぁ普通は警戒して電灯が壊れてる道なんて通らないはずだ」
「ふむ・・・・女性が通った時は電灯が壊れてなかったんじゃないか?」
同じ女性として、暗い道を通る危険性が分かっている夢さんが確かにおかしいと首を傾げる。見吾は顎に手を付け考えた後言う。
「あぁその可能性が有るのか」
見吾の意見に納得したのか陽太が頷く。いや、それだとより可笑しい。
「それだと黒いのが電灯を壊した事になる。それは変だ」
「変とは?」
「だって黒いのは光を避ける、黒いのが電灯を壊したってことは光に近づいたってことだ。わざわざ弱点である光に近づくとは考えられない」
「光に耐性を持っているのでは?」
「光に耐性を持っているならわざわざ壊す必要ないだろ?」
「・・・・確かに」
引っかかってた事はこれだ。黒いのが電灯を壊すなんてほぼ無い。光に耐性を持っているならもっと早い時間に行動できるはずだし、わざわざ弱点である光に近づかない。それじゃあ、誰が電灯を壊したんだ?
「・・・・一回現場に戻り調べてみた方が良さそうだな」
「出来るなら昨日の被害者から話を聞きたいんだが・・・・」
「荒川さんに聞いてみたらどうだ?」
「そうだな、頼んでみる」
引っかかってた事は分かったったが新たな疑問が生まれてしまった。俺達はTだの高校生被害者と話すのは難しいし、何より何処にいるかさえ分からない。ここは荒川さんに頼った方が良さそうだな。
「それじゃあ一旦昨日の現場に行くか」
「そうね、もう辺りも暗くなってきたしいつ通り魔が現れても可笑しくないから警戒しながら行きましょ」
「俺は被害者について色々調べてみる」
「頼んだ」
俺達は、周囲を警戒しながら昨日通り魔と会った現場まで歩く。
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