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常闇の街を今日も俺達は散歩する  作者: 和吉
1学期 連続通り魔事件編
116/155

バレました・・・・

 憂鬱な気分で授業を受け終わり、柊君との待ち合わせ場所に行くために席を立ち屋上に行くとすでに柊君は居た。さて、どうやって誤魔化そうかな・・・・昨日大蔵さんに言った通りに言えば信じてくれると思うけど。俺と陽太は扉を閉めると、柊君は、こっちをゆっくりと向いて無表情で話し始めた。


「単刀直入に言うが、昨日通り魔に出くわしたのは偶然か?」


 本当に単刀直入だな。でも、なんで柊君がこんな事聞くんだ?通り魔事件なんて普通危ない事にわざわざ近づく人は居ないし、そもそも俺達が調査してるなんて思わないはずだ。・・・・もしかして何か知ってるのか?柊君の質問に焦っていると陽太が


「当たり前だろ、わざわざ通り魔を探したりしないって」

「犯人を追いかけたのに?」

「それは、咄嗟にだよ」


 陽太が誤魔化そうとしてるが、柊君の追求は止まらない。何でこんなに追及してくるんだ?しかも、何か確信を持ってるみたいだが。


「陽太の言う通り、俺達は偶々あそこに通りかかっただけだ」

「聞きたかったのはそれだけか?」


 これ以上追及されても困ると思い、話を終わらせようとした時柊君は衝撃の言葉を発した。


「あの黒いのは何だ?」

「「!?」」


 黒いの!?もしかして、戦っているところを見てたのか!?クソ、避けるのに集中してたから周りを見るのを怠っていた。だが、まだ誤魔化せるはず。


「黒いの?何の事だ?もしかしたら犯人かもしれないな犯人は黒い服着てるってニュースでも言ってたし」

「そうだな、もしかしたら暗くてよく見えなかったんじゃないか?」


 俺達の言葉を受け、柊君は少し俺達を見つめるとポケットからスマホを出し少し弄りると俺達に見せてきた。


「あれは人じゃない」


 スマホに映し出されたのは、黒いのと戦っている俺達を撮った動画だった。暗視機能が付いているようで、暗い中でも俺達と黒いのがしっかりと撮られている。しかも動画の最後には黒いのが消える所がバッチリ映っている。やられた・・・・陽太や夢さんにも見えるんだから黒いのはカメラに映るんだ。決定的な証拠を見せられ俺達は黙ってしまうその様子を見て、柊君は畳み掛けるように話し始めた。


「君達はこの黒いのとしっかりと会っているし戦っている」

「それは、いきなり襲われたからな。俺達も吃驚したけどあいつが何なのか知らないんだ」


 陽太が畳み掛けてくる柊君に反論するように言うと柊君は少し目を細め


「嘘だな。君達は何回もこういう奴と遭遇しているんだろ?」


 それは質問ではなく確信を持った問いだった。


「は?いやいやこんなのと何回も会うはずが」

「入学2日目、突然消えた新入生代表を追いかけただろ?」

「っ!?」


 見られたのか!?あの時は緊急だったが人の気配は無かったのに。


「君達は新入生代表が消えた後、後を追うかのように消えていった。それに神隠し事件の被害者が発見された現場にも居ただろ?そして君達が発見者だ」

「なんでそれを・・・・」


 いや、そういえば確かにあの時柊君を見かけた。だが、何故発見者が俺達だと知ってるんだ?


「君達は突然家のドアから現れ、林へ少年を運んでいきそのあと救急車を呼んでいた。始めは君達が人攫いをしているのかと思ったが新入生代表は普通に生活しているし、今回は人助けをした」

「・・・・」

「何度も不思議な事件に君達が居た。つまり君達は、あの黒いの達や怪異を知っているんだろ?そして解決してる」


 柊君に言われたことは全て図星だった。陽太も全て事実であるため何も言えなくなっている。だが、一つ思ったことが有る。


「それを知ってどうしたいんだ?俺達を警察に突き出すのか?それとも学校にバラすとか?」

「何故そんな事をする必要がある?」


 ずっと無表情だった柊君が、俺の言ってることが心底分からないといった風に顔をしかめる。


「いや、じゃあ何で俺達の事を調べたんだ?」

「俺も協力をしたいからだ」

「は?」

「俺も神隠し事件や通り魔事件を調べていたんだが、あんな化物が相手となると俺だけじゃ無理だ。だから、君達の仲間になりたい」

「・・・・」


 予想外の答えが返って来て吃驚してしまった。まさか黒いの達と自分から戦いたいと言ってくる人が居るとは・・・・普通は恐怖で関わりたくないはずなんだが。まさか、黒いのや力を悪用するつもりじゃないよな?答えを聞きある疑問が生まれた。


「なんで神隠し事件を調べてたんだ?」

「?被害者の人達を助けるため以外あるのか?」

「いや、何で助けたいのかってことなんだが」

「助けたいと思ったからだが?」

「・・・・遊斗こいつ・・・・」

「あぁ・・・・」


 柊君は俺の質問の意味が分からないと頭を傾げている。嘘をついている様子は全く無いし、純粋に助けたいという気持ちなんだろう。なんか警戒して損した気分だ・・・・これは天然だな。


「はぁ・・・・ここまでバレてるんだったら仕方ないか。一応言っておくが危険だぞ。死ぬ可能性だってある」

「承知している」

「そっか・・・・人手も欲しかったし反対する理由は無い。陽太はどうだ?」

「・・・・もし、変な真似したら速攻で仲間から外すからな」

「あぁ認められるよう努力する」


 陽太が一応脅しを入れたが、まったく気にした様子が無い柊君。話した感じ悪意は無いし、何かをしでかす様子も無さそうだ。だが、柊君の事はまだよく知らない、慎重に見極めなければ。

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