ここからが勝負
数秒間落下した先は黒く何もない空間だった。着地した衝撃は無く、いきなり地面が足元に現れたような感覚だった。警戒して周りを見てみると、中央に俯いている少女の姿が。これで4回連続で遊びに勝っている、少女の姿はノイズが走ったようにブレており明らかに弱っている。今攻撃すればきっと!少女の姿を見た夢さんと陽太は走り出し、少女に斬りかかる。
少女は何も抵抗せずに切られたが切った場所から、黒い泥のようなものが溢れ出し急速に質量を増していく。
「2人とも下がれ!!!」
まるで意思があるかのように黒いどりはブクブクと膨れ上がり、枝分かれしていく。何百と枝分かれした泥はまるでいくつもの腕が生えたように動きだし、いくつもの顔が浮かび上がる。泣いている顔、起こっている顔、叫んでいる顔どれも嫌悪感を抱くほどの邪悪な顔。しかもすべての顔が子供の顔であることがより恐怖を煽る。ビチャビチャと音を立て生まれたのは少女の体に繋がった顔と腕が生えた闇に染まった木のような物。
「趣味悪いわね」
「見てるだけで発狂しそうだな」
泥が膨れ上がった瞬間に2人は距離を取り、異形が生まれるまで見守っていたが現れた異形は想像を超えた物だった。笑い声や叫び声が顔から常に発せられており、長い間聞いていれば精神に異常きたす。腕はビチビチ自由に動き回り、俺達に向かって伸ばされている。
「ここが正念場、気を引き締めるぞ」
「そうね・・・・これと長い間戦ってられないわ」
「だな、速やかに倒そう」
攻撃される前に先制攻撃として今では付属品と化した少女の体を狙ってアサルトライフルを放つと、異形から腕が伸びて来て少女を庇った。そして別の腕が俺達に降り下ろされる。
「庇った?」
「その腕伸びるのかよ!」
「じゃあこれは?」
異形から、伸びて振り下ろしてきた腕を避けその上に乗りショットガンを3発撃ちこむが効いている様子は無く腕が夢さんを退かそうと動いた。
「きゃっ」
勢いよく上に動いた腕に驚きながらも、地面に着地した夢さんは
「まったく効いてないみたいだけどあれが本体じゃないの!?」
「分からない。腕が利かないんだったら顔なら!」
異形に数えきれないほど付いている顔に、弾を撃ちこむがまったく効いている様子無く腕を何本も伸ばし俺達に反撃してきた。腕の形をしているにまるで関節が無いかのようにウニョウニョと俺達を薙ぎ払おうと伸ばしてくる。一つ目は夢さんを狙った振り下ろし、二つ目と三つ目は開いた手が俺を握りつぶそうと、俺に向かってまっすぐ伸びてくる。
「動き気持ち悪!!!」
後ろに下がりながら、避けてはいるが腕は絡み合いながらうねうねと獲物を狙う蛇のように追ってくる。俺を追っている腕は太さが1m有る。夢さんの事を追っている腕は、俺の倍ぐらいはあるから大きさも変幻自在みたいだな・・・・
「ハッ!!」
俺を追っている腕を陽太が切りつけ、一瞬だけ千切れたが千切れた場所から新たな腕が生まれ陽太に襲い掛かる。
「まじかよ!」
陽太の事を狙う腕もウネウネと動き陽太を追尾している。やばいな、攻撃した場所から新たな腕が生えてくるのか、迂闊に攻撃できないな。
「2人とも離れて!」
夢さんが俺達の所に走ってくると、大きく跳躍し俺達を追っている腕の上に着地すると夢さんを追っていた大きな腕が俺達を追っている腕に大きく振り下ろされた。夢さんは間一髪で避け、陽太の隣に着地する。
「これで自爆してくれてると良いんだけど・・・・駄目ね」
「良い作戦だったんだがな」
振り下ろされた腕によって潰された腕は、一瞬で再生しまた俺達を追ってくる。こいつの弱点は何処だ!?
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