撃たれるのは勘弁
陽太の盾は今まで全てを受け止めてきたが、バリスタによっていとも簡単に貫通してしまったことに開いた口が塞がらない。
「流石に威力高過ぎじゃないか?」
「これ全部避けなきゃ駄目って事よね」
「当たったら一発アウトだな」
一応通路には遮蔽物となる壁が、あるためあそこに隠れながらこのステージを突破しろって事なんだろうが・・・・当たったら一発アウトってのが難し過ぎるな。
「全員で一斉に走っていく?」
「いや、動くものを狙ってくるなら全員で言ったら自分以外を狙った奴に当たるかもしれない」
「あ~確かにな」
さっき手榴弾を撃ち抜いたところを見ると、狙いはきわめて正確だから分かっているなら避けやすい。そして、銃弾じゃなく矢だからスピードも遅いが自分を狙った矢以外に当たることが有るため全員で走っていくのは得策じゃない。剣や銃で矢を防御する事も出来ないだろうから全て避けるしかない。
「じゃあ俺が先に行くからある程度離れたら続いて」
「分かった」
「じゃあさっきみたいに次は私ね」
「安全第一で」
通路はまっすぐで途中で動く壁によって時折左右のバリスタを防ぐ遮蔽物になるタイミングがある。それを狙って・・・・今だ。全力で走り、左右から飛んでくる矢をバックステップしながら躱し壁が上がってきたタイミングで滑り込む。
よし、狙いが正確過ぎて避けやすいな。
いったん落ち着いて壁から出ようとした瞬間正面の地面からバリスタが上がってきた。
「ちょっ!?」
壁を蹴り上げ正面から来る矢を避けたが、そのタイミングで壁落ちてきて左右の矢も飛んでくる。急いで壁に手をかけ乗り越え着地したと同時に前転し、すぐに態勢を整え走る。
「やっぱり性格悪い!!!、壁に隠れたら正面にバリスタ上がってくるから気を付けて!」
「えっ!キャッ危ない!もう怖すぎ」
後ろから夢さんの気配がしてたから、言っておいたけど間に合ってよかった。壁に隠れてもこれは安心できないな・・・・止まらず一気に抜けた方が良いか。壁に隠れてやり過ごすより、壁を使って避けながら通り抜ける方が安全だと思い隠れる事無く進んでいくと、
「全部が動く床かよ!」
進んだ先は地面がすべて動くようになっており引っ込んだり上がったり下がったりと忙しい通路になっていた。足場が動くと矢の狙いも少しずれるし、なにより動きづらい。姿勢を低くし、力強く地面を蹴り上がってく床にのり立ち止まることなく次々と壁を蹴り進んでいく。昇ったり着地した時に止まってしまうのが危険なので、着地する際は全て受け身を、登る時はよじ登るのではなく駆けあがっていく。絶え間なく飛んでくる矢を何とか避け、もう少しでゴールが見えたと思ったら・・・・
「やっべっ!」
最後の最後で左右ではなく正面に3つ並んだバリスタ。しかも壁を乗り越えた先に有り見えていなかったので対処が遅れた。このまま進むことは出来ないので全力で後退し壁に隠れたのと同時に壁にいくつもの矢が刺さった音が聞こえた。
「完全に初見殺しだな」
後ろを見ると陽太と夢さんが順調にこっちに進んできており、止まっている俺を不思議そうな顔で見ていた。
「この先正面一列にバリスタが並んでる。下手に出たら蜂の巣だ」
「分かったわ」
「どうするんだ?」
正面には3つバリスタが並んでいた。バリスタ同士の距離は5mほど離れているようだったし・・・・
「バリスタが3つ並んでいたからそれぞれ一つずつ正面に立てば他に狙われる事無く正面に集中して進めると思う」
「なるほどね・・・・3つならその手が良さそうね」
「正面から来るのを避けるだけなら訳ないな」
「それじゃあ俺の合図で行くか・・・今だ!」
俺達は勢いよく壁から飛び出しバリスタの前に立つと反応し矢を放ってきたが、思惑通り1人1台避ければいいだけ。ただ誤算だったのは今までのバリスタと違って正面に在るバリスタは連射が効くようだ。1秒間隔で撃たれる矢を避けるのは大変だが正面だけに集中すればいいので突破は困難じゃない。順調に避けバリスタを抜けると、そこには地面が無かった。
「「「は?」」」
まさか地面が一切ないとは思っていなかった。あまりの衝撃に3人とも間抜け面をしてしまったが、いきなり地面がパッと消え間抜け面は驚愕の表情へと変わった。
「「「嘘だろ/でしょ~!!!!/」」」
そう叫びながら落ちていく俺達だった。
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