60-ゲームスタートな私達
始まりました。前話で話数を間違えておりました。訂正しております。済みませんでした。
「じゃあ呼びますけど、分かってますよね、浅緋さんおられますよ?白様も朱々さんも。男前、とかやったら味方から総ツッコミ来ますよ。」
『分かってます!俺も命は惜しいです!主様とか主様の奥方様とかお子様とか守って以外は命の危険は嫌だから真面目にやります!』
いやいやいや。私はともかく奥方様とかお子様て。まだ告白もしてないし。婚約者だけど。
――って、早く召喚!
「おいで、緑簾さん!」
「カバンシ、出ろ!」
あ、ハンダさん待っててくれたんだ。やっぱりいい人。カバンシさん?は美しい青色の竜だった。青が深いところは鮮やかな黒色にも見える。
2メートルはありそうな副団長さんよりは大きいかな、位。竜だとしたら小さいのかも知れない。本来の姿よりも小さくなっているとか?
……グワオ、と咆哮一つ。地面が揺れたみたいなビリビリした振動。
「行きますわよ、朱姫様!」
『お任せを。』
そんな中、え、ナーハルテ様が先陣?凛々しくて素敵だけれど。
おろおろしていたら朱々さんがくるりと巻い、朱色の粉を巻き上げる。それを全身に浴びたヒヨコちゃん軍団がうんしょ、という感じで広い平野を飛び回った。
「ヒヨコちゃん達皆頑張れ!」
多分セレンさんが遠隔聖魔法を掛けてくれているのだろう、ヒヨコちゃん達は見た目より素早かった(パタタくらい)のが、シュバババに変化した。
――すると、狐とか狸とかトカゲとか、とにかく野山にいそうな生き物がたくさん飛び出てきて、何かを吐き出して、そのまま軽快に平野の向こうに行ってしまった。
『お見事です。これで、無害な生き物達を滅せずに済みます。』
「本当にな!ナーハルテ様も朱色の方もピヨピヨ達も、皆すげえ。俺らもやるぜ、カバンシ、緑ちゃん、行くぜ!」
「おっしゃ!」『グワウ!』
貴方達、既に闘いじゃなくて共闘になってますが?
「第三王子殿下、皆様のお陰で意思に反して魔石を飲んでしまった生き物や魔力酔いを起こしていた生き物を元に戻せました。出された魔石は後で学院長先生に送りましょう。ここにいる方達であれば狩猟が終了するまでこのままで大丈夫です。」
立て板に水の様なナーハルテ様のご説明。尊い。
要するに、元々魔獣ではなかった獣や生き物達をあるべき姿に戻せたって事?
あと、この世界の『気』を魔力によるものだけにしないって、白様が言ってたのは多分こういう事なんだ。
コヨミさんとか私みたいに、生来の魔力がない人間がたまにこちらにやって来て、換気みたいに『気』の循環をする必要があるんだね。コヨミさんの時は必要に応じて、私は予防で探していたらたまたまちょうど良い存在が見つかった、と。
『主様、自分はコヨミ様の血縁だからたまたま、とか思ってねえか?白様がそれだけで選ぶ訳ねえって!』
『そうですわよ、あたくしも貴方がいらして下さって嬉しいですわ。何より、我が召喚主が喜んでおられますもの。』
『主殿にその様な不安を抱かせてしまいますとは!この寿右衛門、伏してお詫び致しまする!』
『もう我が申す事がないのう。とにかく皆が其方を好いておるという事よ。のう、ナーハルテ?』
「も、白様、何を仰いますの!マト、第三王子殿下、あ、あのその、わたくしも心より敬愛申し上げております!貴方様にいらして頂けましたこと、嬉しく存じております!」
え、えーと。そんなにへこんでなかったんだけど、何だか皆さんありがとう。感激。
あと、ナーハルテ様、襲ってきてる枯れ木の魔獣、雷撃で消し炭にされてます。豪快で素敵。
もしかしたら、照れ隠し?だったら嬉しい。
『私も貴方様がこの度の魂の転生人であられます事を嬉しく存じておりますよ!』
いや、浅緋さん、貴方は聖魔法大導師様として聖女候補さん達を守って下さい。セレンさん、あたしもです!って本当に魔力強いね貴女。
「良く分かんねえんだけど。ちょっと独り言な。」
手刀を振りかぶり、キノコの魔獣軍団の傘と胴体を切り離しながらカーボンさん。飛んでくる大きめの虫(蜂みたいな)をバクバク食べてるのはカバンシ、さん?
お腹大丈夫……だね。
「セレンがな、言ったのよ。俺がお前の帰省と冒険者崩れ共の襲来、仕組まれたんじゃねえか、って言った時に。」
『娘さん、何だって?』
緑簾さん、狼の魔獣にローリングソバットを決めながら聞く。すごいね二人と竜さん。
「仕組まれたって何!あたしを帰省させてくれた王子様がお父さんに連中を片付けさせようとしたって事?ふざけないで!あの方は大好きな方の為になりふり構わず突っ走れる方なんだからね!そんな卑怯な事、しないしさせない方なの!今度そんな事言ったり、王子様のお仲間様達に何かしたら、絶対許さないからね!」って。
『いい事を言う聖女候補様ね。』
羽からピンポイントに魔獣だけを狙い打ちした炎を出しながら朱々さん。ヒヨコちゃん達も風を起こして援護している。かわいいけど風、強い!
「――つっても、一応元邪竜斬りのカーボン、伝は一応あるから、第三王子殿下の評価は色々な所から聞いてたのよ。前はひどかったけど、最近かなりまし、と言うか良い感じになったとかも。それでも、惚れた相手の為になりふり構わず、っていうのが信じられなくて、どんな奴か確かめたくてマイコニドとの闘い、気配を消して見てたらさ。」
『ほう、やはりそうでしたか。』
寿右衛門さん、感心してるけどものすごく大きな氷の球、いくつも作ってボンボン魔獣にぶつけてるの、技巧派過ぎない?
「実にいい仲間と、本人の判断力。直に会っても、いい奴だった。緑ちゃんみたいなのを召喚獣にできる奴がまぬけなはずねえ。あと、特に中身が良いよな。セレンから聞いてるかもしれねえけど、俺、女性には優しいのよ。差別って言う奴もいるけど、これはもう性分だから。んで、心が女性って場合もやっぱりそうなんだわ。」
「なあ、王子殿下、ナーハルテ様。」
え、え、え?
「「ハンダ(コバルト)さん(様)!」」
あ、私も眼前に出てきた大きな蜘蛛、焼き払っちゃった。魔法って、出せるものなんだねえ。
「まあ、ただの独り言。気にしないでくれな。ほら、大トカゲが出てきた。」
……気にしないではいられないのですが。
でも、今は大トカゲに集中します。
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