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【連載版】転生したら大好きな悪役令嬢を断罪する筈の王子だったので勿論婚約破棄せずに幸せになる所存。   作者: 豆ははこ
第二章

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43-説得のナーハルテ様と私

聖魔法大導師様、まだ鬼のままです。

「私がセレンさんを連れ戻す説得役……責任重大ですね。」


 連れ戻すとは言っても、聖女候補になった愛する娘さんを遠くの聖教会本部と王立学院に送り出して何ヶ月か、やっと帰省だね娘よ会いたかった!……と思ったら娘はまだ少し遠い七の街の手前くらい。残念、まだ会えない。

 代わりに、荒くれ者共が大切な診療所に向かって大挙してやって来た。患者さんに触れたら許さねえ!とこれを叩き潰して放り出して、やっと娘に会えたぞ、ああかわいい。もう都会には出さん!聖女候補の修行なら七の街でいいだろ!とお怒りのお父様、何も悪くない。どちらかと言えば被害者。


 愛する奥様と娘さん、聖女候補のセレン-コバルトさんの説得も空しく、お父様の怒りは収まらない。

 都会には行かせないと申されております、どうしたらよいでしょうと七の街と八の街の司祭さんから相談された聖教会本部。

 そして、本部の最高責任者のお二人、大司教様と聖魔法大導師様は考えた。

 転生してやってきた第三王子に説得に向かわせよう、と。お二人共に私の事情はご存知。

 成程、分からなくもない。聖女候補の帰省を進言した本人が説得に参りましたというのはぎりぎりありかも。まだ学院生だし、王族だけど第三王子(わたし)、ほぼ王位継承権ないし。

 一応、聖魔法大導師様の秘匿魔法、遠隔交信の聖魔法(書簡のお届けの時に掛けておられたらしい。さすが。)でセレンさんに確認したら、本人も今はもうこっちで学びたいと思ってくれているらしい。そして、説得は多分、力技になりそうだとも確認できたみたい。


「もしもの時は父君が武力を行使する可能性は我々も了承しておりました。然しながら、この私がコヨミ様の血族の貴方様を危険に晒すことなどは絶対に致しません。何でしたら、鬼の召喚獣となりまして付いて参ります。なあに、邪竜の二、三体よりはさすがに弱いでしょう。」

 うーん、聖魔法大導師様だとさすがにまずいから、鬼の召喚獣さんに戻るのか。

 ちょっと待って、セレンさんのお父様、人間ですよね?邪竜が一体なら、それよりお強いの?すごいな。ちなみにお名前はハンダ-コバルトさんで旧姓カーボンさん、現在は薬師さん。お母様はネオジム-コバルトさんで医師さん。


『冗談になっておられませぬ、浅緋殿、それは本気でございましょう?』

 寿右衛門さんが大導師様を嗜める。

『主殿、聖女候補セレンの父殿は邪竜退治の功績で一等勲章を授与されております。これは平民としては最上位の物でございます。二つ名は邪竜斬りのカーボン。』

 本当に邪竜より強かったよ!何でも、金階級という、冒険者養成学校で講師を務められる程の階級の王国最年少取得記録保持者で、残るダイヤモンド階級に目前、の時にある街に隕石(!)が落ちてきたのを一人(と相棒となった元邪竜さん)で対処して大怪我(普通は大怪我では済まないレベル)、治療してくれた医師さんに恋をして、

「薬師に俺はなるぞ!」と無理やり引退。ただし、階級返上は認められず。

 薬師になるため養成学校に入学して、冒険者時代の薬草等の実践経験と意外な才能(勘含む)で合格。その努力に絆された医師さんと結婚。そのままその街に住み、一緒に診療所を開業して愛娘セレンさんを授かる。今でも奥様命!娘も命!のお方。なかなか濃過ぎな経歴。


 ちなみにダイヤモンドの次として、伝説的なほぼ引退後にもらうウルトラという階級もあるけれど、隕石撃退でダイヤモンドは確定、もしかしたら冒険者引退前にウルトラ取得もあるかも、と噂されていたらしい。

 冒険者としての現役復帰と仕事のお誘いは引っ切りなしだけど、診療所のお仕事が大好きなんだって。希に希少薬草の採集業務で冒険者さん達と一緒に活動してたりするみたいだけど、それはあくまでも薬師さんのお仕事の為。

 ちなみに今の二つ名は『強すぎる薬師』。


 今回の騒動は、お父様の闘気の凄さに、まずは怪しい魔物使いの使い魔の魔物、次に実力のあるならず者、と順番に武器も捨てて我先にと逃げ出したから、駆けつけた辺境警備隊の皆さんも、捕縛が楽勝だったみたい。


 説得が武力メインなら、人対人だと危険だから、人対召喚獣(いいのか?)に持ち込もうという作戦。大導師様がこっそりお母様とセレンさんに訊いたら、OKなんだって。いいんだ?


 という訳で。王立学院生で召喚魔法の名手様と言えば!ドンドンパフパフ。

 我らがナーハルテ様、でございます!勿論浮かれてはいけない。微力ながら、私も何かはしないと。頑張る。何ができるのかは微妙だけれども。

 あ、聖魔法大導師様、鬼さんのまま、いいの?


 そろそろ時間ですよ!と言おうとしたら。


 まばゆい光。転移陣だね。

『遅くなったか。すまぬ。』

「聖魔法大導師様、お目もじできまして光栄に存じます。ナーハルテ・フォン・プラティウム、参上致しました。第三王子殿下、じゅったん様、お久しぶりでございます。」

 激渋イケボの大きなふわっふわ純白シマエナガさん(あ、真のお姿!)と、声も凛々しきナーハルテ様。愛らしい、お美しい!あ、大導師様、鬼さんのまま!


「ようこそ、白様、ナーハルテ筆頭公爵令嬢殿。どうか、寛がれよ。」

 そう仰った瞬間、新しいお茶セットと美味しそうな焼き菓子の追加がテーブルの上に登場。そして、ふかふかクッションのソファーがまた増えた。


『ありがたい。』

「ありがとうございます。まあ、聖魔法大導師様、雄々しいお姿であられますこと。」

 ぽふん、と白様は掌サイズになった。かわいい。

 あれ、ナーハルテ様、驚かないの?あと、ナーハルテ様の男装というかパンツスタイル格好いい、素敵!鬼さんにもふかふかソファーにも全く動じない豪胆なお姿もいい!イケメン令嬢様万歳!


『待たせてすまぬなマトイよ。』

 ふわふわ白様はナーハルテ様のお膝に。いいな、ふわふわもお膝も。じゃなくて、今マトイて。いいの?

『よい。ナーハルテには今回の詳細、全て伝えた。誓約魔法により王家、大司教、プラティウム家の全員、ゴールド家の家長夫妻と令嬢、コッパー家の家長とその夫君と令息、あとはここにおるものと賢き竜と紫の聖女候補が事情を知ると心得よ。また、コヨミと直接関係があったもの達、またはそのもの達に近いもの達は事情を伝え聞いておったり自身の能力で知る可能性もあるが、それについては問題はなかろう。』

 今説明された方達以外の他の人には話したり文字で示したりしようとしたら(逆に相手が知ろうとしても)言えない書けないそもそも思い出せない、になるんだって。すごいな。


『ナーハルテの膝に座りたくば、地位を築き早急に婚姻の約束を堅くすればよかろう。その為にも今回の説得は良い機会。魔法循環にもなるし、召喚の実地の機会もあるやもしれぬ。』

 ちょ、白様、言わないで!ナーハルテ様、お顔が少し赤くていらっしゃる!お気を悪くされましたか?


『大丈夫、ナーハルテは気を悪くはしてはおらぬ。』

 本当ですか?

「はい、驚いただけでございます。第三王子殿下も、お気になさらないで下さいまし。そして、わたくしのことは、ナーハルテと。」

 はい?


「そうですぞ、主殿。これは私が忠言申し上げるべきでした。私はナーハルテ様、とお呼びしますがの。」

 ずるいよ寿右衛門さん。じゃあせめて私も第三王子呼びはやめてもらおう。


「はい、では、ニッケル様?」

『あ、いや、この場はマトイで良かろう。ナーハルテならその様な過ちはあり得ぬが、事情を知らぬものの前では誓約魔法でこの名前は申せぬし。』

「それでは、その、マトイ様?」

「は、ははははい、ナーハルテさ……ナーハルテ!」


 何とか、ナーハルテ様、にはしないで済んだ。あと、私の本名は禁止条項扱いなのか。取り敢えず、言ったら何かが起きる、とかではないみたいだからそれは良かった。


 これから皆で作戦確認、準備ができたら八の街へ出発、なんだけど八の街到着までになんとかなるかな、私のこれ。


 ……ナーハルテ、て、照れる。








読了ありがとうございます。ブクマも頂いております。誠にありがとうございます。雀の寿右衛門さん、鬼姿の聖魔法大導師様、ふわふわもふもふ白様など、ナーハルテ様、マトイ第三王子など、お気に入りがもしもおられましたら、感想、レビュー、ブクマ、評価のお星様で教えて頂けましたら幸いです。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

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