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【連載版】転生したら大好きな悪役令嬢を断罪する筈の王子だったので勿論婚約破棄せずに幸せになる所存。   作者: 豆ははこ
第一章

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第一章終-転生したら大好きな悪役令嬢を断罪する筈の王子だったので勿論遠慮せずに幸せにする所存。

本稿で第一章が終了となります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

「踊って頂けますか?」


 方々からこの声が聞こえる。

 ナーハルテ様とライオネア様は、できるだけ多くの学生と踊ってあげようとされている。すごい。偉い。お優しい。目に美しい。


 サードダンスを踊られたお二人のダンスの煌びやかさは、その間何度、ここでは出せないし使えるかも分からないスマホを取り出したくなったことか。そもそも、私の荷物、今どこにあるのだろう。

 勿論、婚約者がいる学院生は相手にも確認を取っておられる。素晴らしい。学院外に婚約者がいる人についてはどうされているのかな、と思っていたら、

『聖教会と王立学院の了承済ですから、もめませんよ。ていうかあのお二人なら、相手の婚約者さんの方が踊りたくなるから大丈夫!』

 音声伝令魔法が飛んできた。私は伝令鳥使えないからな。

 そもそも魔法使えるのかな。

 ひらひらと手を振る聖女候補セレン-コバルトさん。聖教会の純白のパーティー用正装が似合っている。確かキミミチだと髪と目の色よりも濃くてうわあってなるけばけばしい紫色の派手派手ドレスだったっけ。


 乙女ゲームと全然違って、とってもいい人だった。あと、第三王子が(まとい)だと知っているらしい。あとスズオミ・フォン・コッパー侯爵令息にも知られてるみたい。


 控え室から戻ってきてくれた侯爵令息、聖女候補さんと踊りたいみたいなんだけど、二人とも次々に別の人から申し込まれてたんだよね。二人はパーティーの2番手として既に踊ってるし、コッパー侯爵令息は、婚約者ライオネア様が男性役をされてるから婚約者がおらず、且つ王立学院で学んだ礼法の確認はしないといけないという聖女候補さんのパートナーを高位令息として引き受けている立場って形だから、他の方達からの誘いは無碍に断れないんだよね。お気の毒。


 聖女候補さんが何とか自分への誘いを断って、さっきから私といるの、お誘いよけなんだろうな。

 さすがに今日の断罪劇場で大活躍した第三王子殿下にダンスを申し込む猛者はいなかったし。静かなのは助かってるけど、人の輪がなくなってるの、恐れられすぎとかじゃないといいな。


「あた……私と踊って頂けますか?」

 恐れられすぎでないのなら、このまま静かに終わってくれたらいいな、と呑気に考えていたら、聖女候補さんに言われた。

 踊れるのか?いや聖女候補さんじゃなくて私がね。


 あ、曲調が変わった。

 この曲、ラストダンスの前の曲だ。割と難しくないダンス用ので、ゲームで何度も聴いた。生演奏だから音質は段違いに良いけど。

 これなら何とかなるか、と思っていたら、体が動く。第三王子殿下のポテンシャル、ちゃんとあったんだ。

「お上手ですよ。ライオネア様にはかなわないけど。コッパー侯爵令息よりは上です。」

 もしかしたら、私が自分のダンスの腕前を確認できるようにしてくれたのかな。やっぱりいい人。

「ライオネア様……ゴールド公爵令嬢と比べられるとはむしろありがたい。貴女も、憧れの方と踊れましたね。獅子騎士様応援会の事務局長さんも。」

「そうなんです!サマリちゃ……ランタン男爵令嬢、ダンスがお上手でしたよね。あた…私も、ライオネア様と踊っていただけたなんて、今でも夢みたいです!ダンスパートナーのお名前を記して頂けた手帳、宝物にします。許可を頂けたら今日のライオネア様の姿絵も製作したいです!」


 姿絵?何それ最高じゃない!獅子騎士様応援会の特典とか?第三王子は入会できるのだろうか、すごく欲しい。ナーハルテ様の姿絵は無理だろうか。あとセレンさん女の子のお友達がいるんだ。謎展開の花束の子だね。やっぱりキミミチの自滅系聖女候補さんと全然違う。

 くるくる回る聖女候補さん、可愛い。とか感心していたら、曲が終わりかける。礼をして終了。


「ほら、ラストダンスをお誘いしなきゃ。」

 パートナーを書き留める手帳に署名して渡したら、こう言われた。ちなみに筆跡は多分第三王子のそれだった。体が反応してくれているらしい。

 向こうの私もそれなりにやれてるといいなあ。ごめんね、お姉ちゃん。びっくりしてるよね。向こうの転生……上手くいったよね?


 そうそう、それもだけれど、自分の現状。誘うって誰を?と思っていたら、視界に輝かしいお方が。

「僕とラストダンスを踊って頂けますか?」

 こんな台詞、自然に出てくるものなのか。でも出てきた。さすがは一応攻略対象者。

 ライオネア様は、と探したら、婚約者スズオミ君と踊ってる。スズオミ君が女性のパート。あ、リフトされてる。格好いいなあ。聖女候補さん大うけしてるよ。


 ラストダンスの曲が流れ始める。ゲームではこのパーティーはまぬけ王子以下略がラストの時には連行されているから聴けない曲。だからこれは、三年次の最後の卒業パーティーのラストダンスの曲。そうだ、私、この曲で踊るナーハルテ様を見たかったんだ。


 ゲームでは本当のラストダンスの曲なのに、まだ一年以上時間があるのは不思議だ。

 ナーハルテ様の御手に触れている。まだ信じられない。手汗大丈夫かな。手袋してるから平気かな。ホールド、っていうんだね。しっかりと抱きしめる。うわ、いい香りがするよ。持ちこたえろ私の平常心。


 改めて、ダンスを踊られるナーハルテ様の気品溢れる所作。できるだけこのお美しさを引き立てるダンスを踊れたら、と思う。ただ、このドレスと装飾品、第三王子の色なんだよね。

 今は確かに私なんだけど、でも、なんか悔しい。

「この色は、第三王子殿下のものでございます。―できることならば、いつか、黒曜石(あなた様)の色も、()()たく存じます。」


 え。ナーハルテ様のお姿、今白金(しろがね)色。え、あー、あれ?私の色?(まと)い、まといたいの?纏ってくださるおつもりなの?


 動揺してダンスがおろそかになったらいけない。気をつけていたら、


『我が名前は寿右衛門(じゅえもん)。チュン右衛門は当代にございます。私は初代国王陛下の異世界転生を手伝った雀。その功で、没後、こちらの世界の精霊界の精霊獣の鳥として転生させて頂きました。私が召喚されましたことこそ、貴方の魔力が満ちた証。ぜひ貴方の伝令鳥として侍りたく存じます。どうか、我が真名(まな)をお受け下さいませ。』

 突然ぽふん、とものすごくかわいいふわっふわの雀さんが現れた。えーと、チュン右衛門さんのご先祖様、なの?私の魔力、伝令鳥、真名?情報過多なんだけど。


「愛らしいお姿にございますね。異世界のお姿にあられますか?」

『そうです、麗しの白金のご令嬢。以降、宜しくお願い申し上げまする。真名は我が(あるじ)のものにございますが、じゅったんとお呼び下さればご令嬢のもとにも馳せ参じます。』


 じゅったん。かわいい呼び名。いやまだ主だって認めてないんだけど。それに異世界、って肯定しちゃってるよ!

 こっちの伝令鳥ってゲームでは格好良かったり綺麗だったりで、雀さんは確かにいないかもだけど。ナーハルテ様も!自然に受け入れておられるけど、異世界だよいいの?いやいいんですか?


『私の姿は今はお二方にしか見えておらぬし、聞こえてもおりませぬからご安心を。第三王子殿下も無事に転生を終えられました。白き高位精霊獣殿から承りましてございます。』


「「良かった(ですわ)。」」

 あ、ナーハルテ様とハモった。 嬉しいよ。嬉しいのだけれど。


「これから貴方様のことを色々お話頂けることが楽しみでなりません。はしたなくて申し訳ございませんが、このように早く踊って頂けた幸福をかみしめております。」


 先に言われてしまった。

 大好きな方と今、ここにいる。不安が全くないと言ったら嘘になる。けど。

 きっと大丈夫。このどきどきは、ときめきだ。ナーハルテ様も少しでもどきどきしてくれていたらいいな。


 もうすぐラストダンスが終わる。だけど、私のラストダンスはこれからいつでも貴女と踊りたい。


 お姉ちゃん、まといは大好きな人と、今、異世界にいます。これからも、ずっと。


 チュンチュンチュン!(私もおりますしな)


 そうだね、寿右衛門さん。興奮して雀語になってるよ。何故か理解できるけど。

 あ、異世界になってしまったあっちの世界にチュン右衛門さんがいてくれると思うと安心できるな。


「「ありがとうございます。これから、宜しくお願いします(ね)。」」

 また、ハモった。


 ふふ、と微笑まれるナーハルテ様のお美しさ。正に、キミミチのイケメン令嬢様達のファン層をとろけさせたあのお顔。だけど。


 私が見ているこの笑顔は、私だけのもの。今だけは、そしてこれからも、そうであってほしい。


 大好きです、ナーハルテ様。貴女の為に私は異世界から転生致しました。お覚悟下さい。貴女を幸せにする為に、全身全霊で尽くす所存ですから――。


 第一章〈終了〉

読了ありがとうございます。皆様のおかげで第一章終了とすることができました。これまでのPV、ブクマ、評価を本当にありがとうございます。短編版とは内容と時間軸がかなり変わりましたが、ダンスパーティーまでを第一章としたいと考えておりました。少しお休みを頂きまして、短編版の先のお話、第二章を投稿していきたいと思っております。もし宜しければ、第一章までの評価を頂戴できれば幸いです。また、ご感想、レビューなどでお好きな登場人物、もふもふさん達をお教え頂けますと、たいへんに嬉しく存じます。できるだけ早く第二章を開始したいと考えておりますので、これからも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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