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1-大学准教授秘書暦まとい

短編版では出ていなかった主役の紹介とキミミチとの出会いです。

「こよみーん。いつもありがとう。これあげるから明日からの連休楽しんでー。」

 私こと(こよみ)まとい(女性です。)の上司である理学部准教授(女性。一言でいえばずぼらな方。でも研究はとても緻密。)が終業近くにこう言いながら家電量販店の紙袋を渡してくれた。

 覗いてみると派手なパッケージのゲームソフトと分厚い本。

「乙女ゲーム。『キミと歩む道筋』略してキミミチ。攻略対象がしょーもなくてね。面白いよ!」


 乙女ゲーム?って、やったことないけど確か恋愛するゲームだよね。攻略対象ってキラキラな王子様とかじゃないの?しょうもなくていいの?……あ、でもこの主役っぽい可愛い子じゃなくて後ろにいる女の子達、綺麗だったり格好良かったりで、なんかいい感じだな。っていうか、この端にまとめられてるのが攻略対象なのかな。これって……。

「なんだか、この後ろにいる女の子達が攻略対象みたいですね。」

「そう!その子達、攻略対象の婚約者達でね、主役の恋の邪魔をするから悪役令嬢っていう存在なんだけど、容姿も性格もなにもかも攻略対象より遥かに上だから、イケメン令嬢って呼ばれてるの!」

 准教授の話を聞くと、最初は普通の乙女ゲーム(色々なイケメン達と恋愛するゲーム。主役は聖なる力を持つ特別なキャラクターらしい)として発売された(その時はパッケージに攻略対象達が大きく描かれていたそうだ)のに、あまりにも悪役令嬢(なのか?)達がイケメンすぎて、イケメン令嬢様達との乙女ゲーム?にしろという意見が殺到、本編発売半年後に攻略対象としてではないがイケメン令嬢様達が学院を卒業後、様々な形で成功を収めるサクセスストーリーがダウンロードコンテンツとして追加され、本編よりも好評だったという。

 准教授が今回くれた物は、本編に加えて、コンテンツも別ディスクで収められた上に、超豪華設定資料集も付いた本編発売1周年記念限定版なのだそう。

「こよみんにはー、ナーちゃんがいいんじゃないかな。」

 この子、ナーハルテちゃん。と准教授が指した女の子は、綺麗な白金(はっきん)の髪と瞳の、なんというか、素敵な女性だった。完璧そうに見えて優しさや儚さも感じられる、そんな女性。

「綺麗なプラチナの発色。白金の色彩、すごいですね。」

 そう。准教授の専攻は元素研究。元教え子の私も元素好き。プラチナ大好き(高価だからだけではなくて)。

 准教授秘書になったのも、学部3年時に唯一のゼミ生となり、研究の傍ら、研究室の整理や事務仕事他を色々手伝っていたら、もうすぐ4年生になる年度末にいきなり

「予算ぶんどれたからー個人秘書になってほしいー。有給も社会保険その他も完備ー。ぜひぜひー。」と誘われたからだ。

 妹から見ても格好良く働いている同居中の姉に相談したら、良い条件だからあとは自分次第だと太鼓判を押され、研究も好きだけれど事務仕事の方がどちらかと言えば好きで、准教授の事はずぼらなところ以外は研究は言うまでもなく、人間としてはかなり良い人なので快諾して4年生からは大学の許可を得て働きながら卒業して、現在5年目。充実した社会人生活を送らせてもらっている。

 ちなみに姉とは現在も同居中で、姉が住宅ローンを全力返済中の広めの2LDKの一部屋を、狭い1K程の金額にして住まわせてくれているのだ。

 これを言うと、

「何言ってんの!家事多めにしてくれてるでしょ!」と軽めに叱られる。実にありがたい。

 准教授も似たようなもので、良い条件で働かせてもらっていると言うと、

「こよみんのおかげで研究に専念できてる。」こう言われる。


 二人共交際相手はいる(と聞いている。時期が来たら会わせるから待っててね、と言われているので楽しみ)のだけれど、結婚したり一緒に暮らしたりはしていない。

 なぜかと聞いたら二人ともに、

こよみに(こよみんに)女性でも男性でも大切な人ができてから。」と返された。ありがたいのだけれど、こればかりはどうなることやら。


「あとねぇ、このゲームの舞台、コヨミ王国っていうんだよ。好みの元素色の()もいて、自分の名字とおんなじ名前の国名。絶対好きになるって。」


 好きになる。何故か、妙にどきどきした。

 姉は恋人さんと仕事上がりにそのまま旅行に行くから今夜からしばらくは一人暮らし。このゲームがあれば、楽しく過ごせそうな気がしてきた。

短編版では私さんだった主役の名前を出すことができて嬉しいです。次回はナーハルテ様が登場の予定です。

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