俺たちの強さで回復や補助魔法に頼るのはおかしいでしょ
俺は勇者レフ。
卑劣にも追放したゴラドンに裏切られ、雑魚モンスターに化けた上位魔族が俺たちを襲ってきたが
俺とザムラが前線に立つ戦術を編み出し、なんとかそいつらにも勝てるようになった。
そして初心者の森に1週間こもってレベル上げを続けた結果、
4人全員を後衛に回すという当初の戦術でも問題なく上位魔族を倒せるほどの実力を取り戻した。
そしてもう一つ、このレベル上げの最中にわかったことがある。
それは…
「セイア。君はこのパーティから抜けてもらう」
「な、なんでよ!私が役立たずだって言うの!?」
「そうだ。よくわかってるじゃないか」
「わかるわけないでしょ!!ちゃんと説明しなさいよ!」
「セイアさん。あなたの主な仕事は回復魔法と補助魔法です。しかし今の私たちにはどちらも必要ないのですよ」
「あたしの回復魔法に何回ピンチを救われたと思ってんのよ!?」
「はて…残念だがセイア殿に救ってもらった命などありませぬ。しかるにそれはゴラドンという足手まといがいた頃の話。拙者らには関係のないこと」
「ザムラの言う通りだ。ゴラドンと違って俺たちは魔法で後方から攻撃ができるから回復魔法が必要になる頻度が低い。俺にはスキル『自動回復』もあるし、もし怪我をしてもアイテムで事足りるからな」
「いざとなったら私も簡単な回復魔法なら使えますからね」
「拙者も応急処置の心得は持ち合わせている」
「で、でも補助魔法はどうなるのよ!私がいないと…」
「簡単な補助魔法なら私も使えます。そもそも私たちの強さで補助魔法など、補助輪をつけてバイクに乗るに等しい」
バイクって…。ダイ、世界観を守ってくれ。
言っとくけど順番的に来週お前だからな?
「じゃ、じゃあ不死者が出たらどうするのよ!あたしの『天の裁き』で浄化しないと…」
「そんなもの俺の光魔法で事足りる。いざとなれば聖水をかければ大ダメージだ」
「それ以前に不死者はモンスターの中でも希少種です。この旅で見かけたことは数えるほどしかないでしょう」
「つまりセイア、お前の回復、補助、攻撃、その全てが役に立たないということだ」
「それにセイアさんは浪費癖がありますよね。今の勇者パーティの資金難はセイアさんが原因と言っても過言ではないです。こんな無能な金食い虫を今まで養っていただけ感謝してほしいくらいですよ」
「うむ。それだけでなくセイア殿は香水の匂いもキツい。正直なところこうして同じ部屋にいるのも耐えられるものではない」
「……それはあんたらが臭いから仕方なく香水を……ああもうわかったわよ!出ていけばいいんでしょ!出ていけば!」
ようやく出ていく気になったらしい。
なんかいつも匂いが決定打になっている気がする。
「待て、出ていく前に今まで買った装備品を置いていけ」
「装備品を…?まさかレフ殿そのような趣味が…?」
「ああ。…いや違う!単純に女の使った装備は高く売れるからな」
「でしたら私が個人的に買い取るというのは…」
「〜〜〜〜!!もうあんたたちなんか知らないから!!バカーー!!」
そういってセイアは部屋から出ていった。
装備品は置いていってくれなかった。
「しかしよろしいのですか?全ての回復をアイテムに頼るというのもなかなか難しいのでは…?」
「それなら心配ない。新入りを紹介しよう。さあ、入ってきてくれ」
俺がそういうと大きなリュックを背負った少年が部屋に入ってきた。
「こ、この子が新入りですか…?まだ子どもではないですか」
「はじめまして。ボクは商人のウルマ。これからよろしくね」
「ウルマは商人のスキルによってポーションとかの回復アイテムを格安で大量に入手できる。追放したセイアの代わりに回復を任せるには最適だ。戦闘もそれなりにこなせるし、まだ子どもだから成長の見込みもある」
「なるほど、それでセイアさんの追放に踏み切ったというわけですね」
「ウルマ殿、これからよろしくお願い申す」
「うん。ボクがんばるよ!」
こうして俺たち勇者パーティに完璧な布陣が整った。
ようやく俺たちと魔王軍の本当の戦いが幕を開ける……はずだったが…。