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クズで無能な勇者が有能な仲間たちをパーティ追放しまくるお話  作者: 耳垢の一
脳筋バカのゴラドンを追放!
7/120

脳筋野郎を追放した俺たちの末路

俺は勇者レフ。

今俺たちは人生最大のピンチに直面している。


「な、なぜだ……!!」


「レフ!」

「レフさん!」

「レフ殿!!」


「なぜ俺たちは初心者の森の最初らへんのモンスターに苦戦してるって言うんだあああああ!!」


おかしい。

こんなはずじゃない。

脳筋で魔法の一つも使えないゴラドンを追い出して、俺たちのパーティは効率のいい戦闘ができるようになったはずだ。

なのに…このていたらくは一体なんだ?



「みんな!とにかく魔法で攻撃だ!」

「ダメっ、モンスターの攻撃で詠唱が邪魔されてっ…」

「わ、私もです。モンスターの攻撃がいつにも増して苛烈で…魔法が唱えられない…!」

「………」



----

俺は気づいていなかった。

ゴラドンはパーティを守る盾として敵の攻撃の9割を請け負っていたこと。

それだけのダメージを1人で喰らったのにちょっと回復の頻度が多いくらいで済んでいたこと。

ゴラドンがいなければ俺たちは魔法の一つも使えない役立たず集団だったのだ。

----



「レフ殿…!とにかくこの場は引くしかありませぬぞ!」


「そんなことお前に言われなくてもわかっている!みんな、撤退だ!」


「わかりました!『瞬間移動魔法(テレポーティング)』‼︎…ダメです!詠唱がうまくいかない!」


「ザムラっ!頼む!」


「御意……『狼煙玉(ウルフボム)』‼︎」ドロンッ



狼煙玉(ウルフボム)』とは極東の国に伝わる撤退技の一つだ。

濃い煙幕を解き放って敵の目を眩ませて、その隙にザムラ持ち前の素早さで俺たち3人をかついで逃げる。

かつぐときにセイアの胸や尻を触っているという疑惑があるが本人はこれを黙秘。



〜宿屋〜


「はあ…なんとか助かりました…面目ありません…」


「レフ殿…」


「いったいどういうことなのレフ?なんであたしたちはまたあんな雑魚モンスターたちに苦戦してるの?」



ディアの件に引き続いて今回も…。

さっきは取り乱してしまったが、俺には一つ心当たりがある。


「みんな、昨日の四天王騒ぎを覚えているか?」


「ええ、確かゴラドンが四天王ゼリガを一撃で倒したという噂の…。そしてゴラドンは行方をくらましたという…」


「それが問題だ。そもそも普通に考えてゴラドンごときが四天王を一撃で倒せるはすがない」


「確かに…ゴラドンを追放して拙者をパーティに加えたということはゴラドンは拙者より弱いはず…。そのゴラドンが四天王を一撃……げに不自然ですな」


「おそらく真相はこうだ。ゴラドンはゼリガを倒したのではなく、ゼリガと手を組んだんだ」


「ええっ…?」

「なんと…!」

「まさか…!」


「驚くのも無理はない。しかしまず間違いないだろう。ゼリガはゴラドンに倒される演技をしたんだ。そして俺たちを陥れるために強力なモンスターを雑魚モンスターに化けさせて送り込んだ」


「むう……しかし拙者にはそれほど強いモンスターには見えず、なぜ主らが苦戦していたのかがよく…」


「ゴラドンはザムラを直接恨んでいるわけではないのだろう。だからザムラが俺たちを弱いと思わせる方向に仕向けたんじゃないか?」


「……なるほど…」



「そしてこれはピンチに見えてチャンスでもある。ゴラドンを捕まえることで逆に魔王軍の内部情報を聞き出せる」


「確かにそれがうまくいけば魔王討伐に一歩近づいたということになりますね。しかしどうやってゴラドンを…」


「簡単だ。ゴラドンはまだこの町の近くにいるはず。そこで何か罠を仕掛けておびきだせばいい」



「罠…ってどうするの?そうだ!ゴラドンは肉が好きだし肉を檻の中に置いとくってのはどう?」


うーん。なかなか面白いアイディアだ。



「セイアさん。それはさすがに短絡的すぎるのでは…。やはりこういう場合は幻を利用した魔力網が有効でしょう。例えば私たちが魔物にやられて死んだような幻を出し、ゴラドンがレフ様の聖剣を回収しにきたところで網に絡め取るというのが現実的です」


うーん。ダイは難しいことを言うな。



「なるほど、ザムラはどう思う?」


「拙者は魔術の類の知識はさっぱりで…。聞く限りセイア殿の案のがよろしいかと」


「たしかに、俺が死んだ幻を出すのは勇者のプライドが許さないもんな。よし!そうと決まれば早速罠を作るぞ!檻と肉を用意だ!」


「ええぇ…大丈夫でしょうか…」



その後俺たちは肉に誘われてきたゴブリンに完膚なきまでに叩きのめされて再び撤退を余儀なくされた。

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