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クズで無能な勇者が有能な仲間たちをパーティ追放しまくるお話  作者: 耳垢の一
鑑定士ミルソンを追放!
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チート級鑑定スキルが凄すぎた…! 貴族の令嬢に見初められた鑑定士の成り上がり!

私の名前はミルソン。

職業は鑑定士です。


まさか私が勇者パーティを追放されてしまうとは。

いえ、順番的に次は私の番なのではないかと薄々思ってはおりましたが、マナト様やシフティ様のように罪を犯したわけではございませんので、流石にそれはないだろうと。


私自身、戦闘の腕に自信があるわけではございませんが、それでも勇者パーティの皆様の足を引っ張らないよう努力してきたつもりでした。

何よりこの生まれ持った鑑定スキルが皆様の役に立っているはず、そう思っておりました。



勇者であるにも関わらずステータスもそれほど高くなく固有スキルをお持ちにならない無能勇者レフ様。

魔力量が低いのに高度な召喚魔法ばかり使おうとする召喚師(サモナー)アリナン様。

アイテムの生成速度に難がある錬成術師セイレーン様。


皆様の弱点をカバーするために、モンスターやダンジョンの地形を鑑定し戦闘が有利に運ぶよう指示を出してきたつもりでした。



しかし私は何もできていなかったのでしょう。


今まで私がやってきたことは、

「ゴチャゴチャうるさい」

「無能のくせに偉そう」

その程度にしか思われていなかったのです。



しかもちょっと秘密をバラしただけだというのに

仲間全員にボコボコに殴られて追い出されるとは。

正直者が損をするとはこのことです。



あまり落ち込んでいても仕方ありません。

勇者パーティでは給料をほとんど貰えておりませんでしたから、今の私は明日の食事さえもままならない身です。


私は国営ギルドへ向かいました。

鑑定士を雇うパーティなどほとんどございませんが、

ないとは言い切れないでしょう。


「あなたを雇いたいパーティはありません」


ありませんでした。


「では私をこのギルドで雇っていただけないでしょうか。アイテムの鑑定が必要になることはありましょう」


「ギルドで鑑定が必要なのは薬草類だけなので見分けるのも難しくはないです。ミルソンさんに需要はないですね」


ギルド受付嬢のリーン様は時に辛辣な方です。

そこが一部の冒険者から人気だったり……。


「そうそう、ライデル卿の娘カミナ様が鑑定士を募集してました。厳しい方だから無理だとは思いますが、ダメ元で行ってみてはいかがでしょう」


おお、ライデル卿と言えば王国貴族の中でも有数の権力者。その娘が鑑定士を募集しているとは。

これは千載一遇のチャンスと言えましょう。


「ご紹介ありがとうございます。その依頼お受けします」


「無理でしょうけどね……(頑張ってくださいね)」


リーンさん、逆ですよ。



翌日、私はすぐさまライデル邸へ赴きました。

鑑定士の依頼を受けに来た旨を伝えますと、使用人の方は一瞬「辞めといた方がいいんじゃないの?」という顔をされましたが、すぐに令嬢カミナ様の部屋へ通されました。


カミナ様に関する噂は聞き及んでおります。

そしてそれは大概良い噂ではございません。

噂の内容は敢えて言わないでおきましょう。


しかし通された部屋にいた女性は……

世間の噂とは正反対、見目麗しい美貌を持ち

物静かで優しそうな雰囲気をお持ちの、


「遅い、来るのが。道草でも食ってたわけ?だったら中庭に生えてる雑草でも食べて行ってもらえる?庭師が急に辞めちゃったのよね」


……失礼、前言撤回。

前評判通りのお方でした。


「カミナ様。お待たせして申し訳ございません。私は鑑定士のミルソンと申します。この度お嬢様のご依頼を受けさせていただきたく……」


「ふーん、はいはい。御託はいいのよ御託は。使えないのに限って口は達者よね。その口にうちの庭の雑草を突っ込めばちょっとはマシになるんじゃなくて?」


再度、前言撤回。

前評判以上のお方でした。

それにしても雑草にこだわられますね。


「では、鑑定が必要な品はどちらに?」


「その前にあなたを試すわ。まずはこれを鑑定してみせなさい」


カミナ様はそう申されますと2つの宝石——赤の宝石と青の宝石——をテーブルに敷いてあったハンカチーフの上に乗せられました。


「その2つのうちどちらが価値があるのか、鑑定してちょうだい」


「承知致しました」


「ただし、スキルは使わないでよね」


カミナ様のその言葉に私は耳を疑いました。


「『鑑定スキル』を使わずに、でございますか?」


「何度も言わせないで。耳に雑草でも詰まってるのかしら?」




『鑑定スキル』を使えば即座にその対象物の詳細なデータを読み取ることができます。

鑑定士はこの『鑑定スキル』を使って品を定める職業だというのに、使ってはならないとはどういうことでしょう。


これは噂に聞くカミナ様の無茶振りでしょうか。

『鑑定スキル』以外に評価されることがあるとでも言うのでしょうか。

思えば私はスキルに頼り過ぎていたのかもしれません。元来『鑑定』とは人間の目や耳、五感を通じて為されるべきものです。


私は用意されたルーペを手に取り、2つの宝石を見定めました。見た目、光の透かし具合、重さ、感触、微細な傷の有無、その全てに注意を払って観察し、

そして熟考の末、青い宝石を差し出しました。


「2つのうち価値のある宝石は、こちらです」


「理由を言ってみなさい」


「この2つの宝石、元は同じものです。『魔然鉱塊』から魔力を冷抽出した際の副生成物として赤い宝石『奇然珠』と青い宝石『偶跡珠』が同時に取り出されます。質、量共に同量が抽出されますから、この2つの宝石は同額です」


「同額なら、なんで青を選んだのよ」


「それはとても簡単なことです」


私はニヤリと笑って答えました。


「私が赤の宝石を鑑定しているときのカミナ様の目は輝いておられました。そして青の宝石には微細な複数の傷と微量の脂が付着しておりました」


「じゃあ赤の方じゃ……」


「カミナ様は青の宝石をよく箱から取り出して眺めるほどに青の宝石に価値を感じており、私が赤の宝石と間違えて答えることに期待して目を輝かせた……そうではありませんか?」



「あっははは!」


カミナ様は急に笑い出しました。

気でも狂ったのでしょうか。


「あなたまあまあ面白いことを言うわね。気に入ったわ。依頼、受けさせてあげる」


「では今の鑑定は……!」


「それはハズレよ。いい?あなたを使うのは、面白いからよ」


正直、どこまでが本当なのかもわかりません。

このお嬢様の心の内ばかりは私の鑑定スキルを使ってもわかるとは思えません。

ですが何となく、この方の下で働くのも悪くないかな、とほんの一瞬だけ思えたのでした。

続きません

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