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クズで無能な勇者が有能な仲間たちをパーティ追放しまくるお話  作者: 耳垢の一
闇魔導師のディアを追放!
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闇魔導師を追放した俺たちの末路

俺は勇者レフ。

今俺は過去最大級の危機に直面している。


「な、なあレフ…こいつはいったいどういうことだ…?おいセイア!ちゃんと補助魔法かけてんのか⁉︎」


「さっきから精一杯かけてるわよ!!あんたたちが情けないからこうなってるんでしょー!」


「レフさん、これは一体どういう…?」


仲間が口々に好き勝手なことを言う。

リーダーの苦労も知らずにいい気なもんだ。


「あああああああああ!!!もううるせえな!くそーーー!!

なんで俺たちは初級ダンジョンの1層目のモンスターごときに苦戦してるんだよおおおおお!!」


レフがいなくなって

光魔法も使える、聖魔法も使える、

回復薬も使える、聖剣も本来の威力が出せる、

俺の光装備も真価を発揮する、はずだ。


しかし実際は、

『全て』その逆なのだ。

光魔法も聖魔法もいつにも増して弱く、

聖剣の威力もガタ落ち。光装備はまるでスポンジ。

回復薬は普通に使える。ごめん全てじゃなかった。

とにかくこの原因は、ディアにあるに違いない。



----

実際のところ俺は大きな思い違いをしていた。

ディアが魔法で発生させていた闇は光や聖を弱体化させて余りある超強力なバフだったこと。

俺たちの今までの活躍、俺のイケメンオーラさえも全てディアのおかげだったこと。

しかしそんなこと俺たちには知るよしもなかった。

----



「があ!なぜだか知らねえがスライムごときの一撃が重すぎる!!それにすばしっこすぎるぜ!」

「何やってんのよー!早くなんとかしなさいよー!」

「み、みなさんどうか落ち着いてください」


ええい仕方ない。

「お前ら!今回は一時撤退だ!」


「でもよレフ、こんな下等モンスターにやられてこのまま黙ってるわけにゃ…」


「勇者命令だ!!!」


「くっ、し、仕方ねえ、セイアもダイも一旦引くぞ!」


「わかりました。『瞬間移動魔法(テレポーティング)』‼︎」


瞬間移動魔法(テレポーティング)』とは読んで字のごとく瞬間移動する魔法だ。

あらかじめマーキングしておいた場所に一瞬で移動できる。

ディアの『闇空間(ブラックホール)』でも同じことができるのだが、すげー酔うので実用性は低い。



〜宿屋〜


「なあ、どうなってるんだレフ。なんで俺たちはスライムごときに勝てねえんだ」


「まあ、聞け、今から説明しよう。結論から言えば原因は……ディアだ」


「えっ?ディアが?」

「ディア…とは確か私の前任の?」


「そ、そうか!あいつが闇魔法で俺たちを弱体化させていたんだな?」


「おそらくそうだ。ゴラドンにしては察しがいいな」


「しかし闇魔法でできるのはせいぜい一時的なデバフだけのはずです。遠くから永続的な弱体化などというものは聞いたこともありません。それに闇の魔力は微塵も感じませんし…」


さすが、ダイは賢者を名乗るだけあって魔法の知識は豊富だ。

しかし…


「そうとは限らないぜ?闇魔法は希少性が高いから研究も進んでないし、歴史に名を刻んだ闇魔導師もいないだろう。ということは知られていない闇魔法があっても不思議じゃない」


「ふーむ、知られていない魔法ですか…。勇者様がそう言うのであれば…」


「そう。魔法、物理、装備、それら全てが弱体化して、しかも痕跡を一切残さない魔法だ」


「それはわかったけどこれからどうすんのよ?どうやったら治るわけ?」


「仮にそんな魔法が存在するならば、術者…ディアさん本人に解かせる以外ないでしょうね」


「だったらよお、国に言って探してもらおうぜ。ディアはもともと国のギルドの紹介だろ?」


「いや、俺たちが弱体化していると世間にバレたらまずいな…」


そうだ、妙案を思いついたぞ。


「いい考えがある。適当な罪状をでっち上げてディアを指名手配してもらおう。そして俺たちで捕まえれば謝礼、ディアなんかを紹介した国からの賠償金、弱体化している俺たちへの援助金増加、と3重に儲かるじゃないか」


「すげえ!そりゃあ名案じゃねえか!」

「じゃあお金がたくさんもらえるってこと!?やったあ!」

「よおし今夜はみんなですき焼きでも食うか!」

「いいですね!」


ゴラドン…中世ヨーロッパにすき焼きはないんだぞ…。



そんな俺たちの期待とは裏腹に、王国に罪状でっち上げがバレ、勇者パーティの弱体化もバレ、援助金は大幅に減額されたのであった。

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